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第十九話 冬の河川における水難事故調査 (1)

ちょっと更新頻度遅くなるかもですが、私は元気です。

誤字報告ありがとうございます! 助かります!

 寒い時期には寒い時期なりの楽しみがある。

 公安本部のある都市からみて東の一部地域では、この時期、広く緩やかな流れの川の上を、舟上に設置された暖房器具に入って飲食しながら、のんびり下るという娯楽があった。川下り自体は通年あるのだが、暖房器具……「コタツ」と呼ばれるそれに入って、その暖かさと外の寒気の差すら楽しみつつ、酒など飲みながら、時には雪などを見ながらというのは、風情のある娯楽として人気があった。


 だが。

 ここ最近、その川下り中に、転覆事故や転落事故がちょくちょく起こっているという。


「それがね、普通の事故なのか、水棲生物の仕業なのか、水棲種族の仕業なのか、あるいは幽霊の仕業なのか、全くわからないって話だったのよ」


 長く美しい睫毛を伏せ気味に溜息を吐くのは、六課一班班長、キャロライン・キャロライルである。この時期、鳥性の強い脚を包むパンツは、ホットパンツ丈ではなく普通のロング丈だ。自前の羽毛で暖かい。

 彼女は今、一課十二班の来客用ソファで、十二班の面々に案件の説明を行っている。


「それまでと川の流れや石とか岩の位置が変わってないようだし、船頭はベテランも多い。それなのに頻度が多いから、事故にしては妙なのよ。それで六課にその辺の生き物になにか心当たりはないか、って話が来たのだけど、調査に行ったら特段変わったことはなかった。あの辺りに棲息する生物は、舟をどうこうできるような大きさのものはいないし」

「それで水棲系の獣人とか魚人の犯行を疑ったわけだね? でもここに話が来るってことは、どうやらそれも違うと?」


 クラウデンが話の先を推測すると、キャロラインは頷いた。


「夜とはいえ、沢山の灯りの灯った舟が行き来する場所だから、水中に人間くらいの大きさのものが潜んでいれば影くらいは分かるって話よ。たまに流木とか生物の死体とかが流れてくることもあるそうだから、気を付けているらしいわ。それに、水中に落ちてしまった被害者も結構いるけど、彼らも水の中で自分たち以外の人間は見なかったそうよ」

「なるほどね……それで一応霊障も考えた、と?」

「そういうこと」

「じゃあ、俺の出番ですか!? あれ、でも零室では?」


 大人しくお話を聞いていたコルジが身を乗り出した。だがすぐに、零室からの話でないことに疑問を持つ。零室案件はそっちから依頼が来るのが通常の流れだ。


「まだ確定じゃないから、零室案件かどうかの調査も兼ねて、ってところだけど……一応レイコにも話を持って行ってるわ。あの地域独特の……私にはよくわからないけど、霊的な環境っていうのもありそうだって言ってたから、彼女も行くんじゃないかしら」

「おお! レイコさんもごいっしょできるなら、嬉しいです!」


 なんとなく浄化してしまうコルジより、きちんと現象の原因などを把握して解決できるレイコは、霊障事件の捜査に向いている。


「まず、他の可能性を調査して、その上で零室案件かそうでないかの調査をあなたたちにお願いしたいの。できるなら、レイコと協力して解決してちょうだい」

「わかった。まあ、場所が川で、霊障が絡む可能性があるなら、確かに僕ら十二班が便利かな」


 コルジは不明だが、他三人は実は泳ぎが得意な獣性を持つ獣人である。しかも捜査能力も高い。そしてコルジは霊障に対応できる。なんなら光の環で夜の闇でも安心だ。


「明るい内と、夜の調査が必要でしょうねぇ。二、三日の出張での調査になるかしら。ふふ、無事終わったら、のんびり川下りも出来るわねぇ。コタツ舟、乗ってみたかったのよ」

「デルタ先輩と川下り……俺、がんばります!」

「うむ、がんばります!」


 ちょっと真顔気味の怖い笑顔で張り切るサンリと、素敵な笑顔で張り切るコルジである。お手伝いできる上に、川下りもできる! 楽しみだ!


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