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軽めのお昼寝を経て、コルジお待ちかねのおやつの時間になった。本人がシキを呼びに行っている間に、十二班の他の三人はお茶を淹れたり皿やカトラリーのセッティングを済ませておく。
「戻りました! シキさんと、途中で見かけたのでリヴァイアサンさんもご一緒です!」
「失礼します」
『こんにちはぁ。ケーキ、嬉しいなぁ!』
なんか増えている。
「いらっしゃい。どうぞ」
だが動じるクラウデンやデルタではない。こういうこともあろうかと、ささっと場を整える。サンリも、ちょっといい感じに止まり木代わりになりそうなコート掛けを持ってきた。案の定、リヴァイアサンが吸い込まれるようにそれに巻き付いて落ち着いている。
「さっき箱から出したのだけど、見た目も綺麗でかわいいわねぇ。皆でちゃんと見ようと思って、切るのを待ってたの」
『本当だ! 綺麗だねぇ~。器用なひとたちなんだね』
「はい! いつもきれいでおいしいごはんやおやつを作ってくれます!」
「参考になるな」
興味津々のリヴァイアサンと、お菓子作りが趣味のシキは、ケーキをじっくり眺めている。
大人数で切り分けることを前提とした、長方形の大きなケーキだ。白い生クリームが、ふんだんに複雑かつ繊細に飾りのように絞られていて、エンジェリアの白い翼を模ったと思われるアイシングクッキーが、あちこちに羽ばたいている。彩りも鮮やかに色々な果実も飾られている。流石に青緑色そのものではないが、コルジの色彩をイメージしているであろう緑系の果実が特に多くちりばめられており、白いクリームと相俟って爽やかな印象だ。
「じゃあ、切るわねぇ」
「わー!」
『わぁ~!』
コルジとリヴァイアサンの歓声を受けながら、デルタが上手にカットしていく。ふわふわの生地の間には、コルジの好きな甘いベリー系のコンポートが、種類違いで何層か挟まっている。とてもよい香りだ。
ちなみに皆の注目をケーキに集めている間に、クラウデンは急遽やってきたリヴァイアサンのために大き目のスープボウルを準備した。ティーカップは竜には不向きだ。これでよし。
「じゃあ、いただこうか!」
「はい! いただきます! ……おいしい!!」
クラウデンの号令でおやつの時間が始まったが、見た目だけでなく味もよい。シキは真剣に味わっている。
『美味しいねぇ。シキのお菓子も美味しいけど、こういった生クリームのお菓子もいいものだねぇ~』
「はい! あ、シキさんの作ってくれた生クリームいちご大福は、どっちも味わえてとってもおいしかったです!」
「ふふ、ありがとう。……このケーキは、甘いはずなのに爽やかだな……なるほど、クリームチーズとレモンが……ここの部分の甘さは杏……?」
シキはお菓子作りの参考にしようと、真剣かつ楽しく味わっている。きっとまた美味しいものを編み出してくれるに違いない。
「それにしてもまだまだ沢山あるっすね」
それぞれ食べ終わりつつある中、サンリは残りのケーキに目をやった。かなり残っている。
「そうだねぇ。配るかい?」
クラウデンがコルジに聞いてみると、嬉しそうに挙手された。
「あ、だったら、ダライアウツさんとレイコさん、あ、レイコさんはご家族の分も! それに寮の管理人さんご一家! こどもたちが喜ぶと思います! あと、ガイ先輩に、サコンに……あ、そっか、五課の皆さんはお疲れだから、五課にも持っていきます!」
「うんうん、いいと思うよ。じゃあ分けようか」
「はい!」
というわけで、ケーキは綺麗に分けて包まれ、十二班四人でお届けにあがることになった。あちこちで喜ばれたのは言うまでもない。
だがもらった人たちだけでなく、「今日はたくさんお届けものができて、楽しいな!」とご満悦のコルジも、空になった箱を振り回してしまうくらい嬉しいのであった。
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