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(5)

「えらい! えらすぎるわぁ!」


 先程からデルタのコルジ(幼)に対する抱擁と頬ずりが止まらない。周りは犯人たちの確保と被害者対応と各所への連絡等で大忙しであるが、今のデルタは止まらない。


「ありがとうございます!」


 褒められまくって嬉しいコルジである。ちなみにクラウデンは今、一応仕事をしている。その前にコルジの頭を撫でて褒めていった。

 あと、同じく作戦に参加していたガイもやってきて散々頭をぽふぽふして褒め称えたり小さな身体を抱えあげてぐるぐる回ったりしてくれた。コルジもきゃっきゃである。


「コルジくん、お疲れ様! なんか、すごかったね……?」


 そこへ、制圧から戻ってきたサコンがやってきた。先程目の前で起きたことがよくわからなかったが、これが一部で噂の「エンジェリア健康法」なのだろうか、と思っている。

 実際、エンジェリアの浄化能力は病んでいれば病んでいるほど効くのだ。


「うむ! あのおじさんが、自ら罪を悔い改めてくれた! 素晴らしいことだ!」

「う、うーん、まあ、そういうこと……かな!」


 あまり深く考えると大変そうなので、サコンは思考を切り替える。賢い。それはそうとして、様子のおかしい美女になっている先輩に、恐る恐る声を掛ける。


「あ、その、デルタ先輩、コルジくんを連れて行っていいですか? 報告とか統括とかあるんで……」

「……仕方ないわね……っ! じゃあコルジくん、また明日ね?」

「はい! 先輩もお疲れ様でした!」


 解放されたコルジは軽い足音でサコンに駆け寄ると、自然に手を繋いだ。


「では行こう! 報告までが任務だ!」

「うん、そうだね!」


 そうして歩く二人の遥か上空で、ひとりのオオハクチョウの鳥人は感涙を流しつつ拍手をしながら職場である邸宅へ帰っていくのであった。





 程なくして、組織は完全に壊滅し、多くは厳罰に処せられた。例のオランウータンの獣人は、自主的に罪を認めて協力したことによって特別な功労を認められ、幾許か減刑された。今は亡くなった娘とともに、犠牲になった誘拐被害者を、塀の中で弔う毎日である。


「はー、つまり先輩が大活躍だったんすね」

「よくわからないが、たくさん褒められた!」


 顛末を聞いたサンリの感想に、コルジは胸を張る。本人としては、ちょっと歩いたらおじさんがやってきて、急に公安に拠点を案内してくれた、という認識なのだが、周りがたくさん褒めてくれるので、自分はきっと何かしら活躍したのだろうと思っている。


「いいことっすよ。こどもがいっぱい助かったなら」

「うむ!」


 力強く頷くコルジである。その後ろで、デルタはちょっと残念そうな顔をしている。


「ねぇコルジくん、またちっちゃくなったりしない……?」

「今回のような機会があれば、なります!」

「そ、そう……」


 デルタはちらりと己の机に視線をやった。かわいいこども服やきぐるみパジャマなどを買ってきているが、しばらく出番はなさそうだ。


 なお、クラウデンは十二班の部屋の片隅にかわいい木馬(鹿の角つき)を設置したし、ガイは鳥人のこども用グッズをあれこれ見つけるたびに買っちゃったりしていた。実は他の、今回任務に参加して小さいコルジを目にした職員たちの一部も、似たような症状を呈していたのだが、それは別の話である。


 また、今回救出されたこどもたちの間では、自分たちを救けに来てくれた、かっこよくて凛々しくて無闇に強くてやたら古風な言動のカブトムシの蟲人が大人気で、彼らの将来の夢が公安職員になった、というのも別のお話。


(END)


今年最後の更新です。

本年はコルジたちにお付き合いいただき、本当にありがとうございます!

皆様、良いお年を……

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