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(4)

「今日は本当に、本当に助かったわー! どうもありがとう!」

「こちらこそ! いっぱいご馳走になりました!」

「おやつまでいただいちゃって。ご馳走様でした」


 お昼休憩の後に洗濯物の取り込みやアイロンなどのお手伝いをして、お手伝いは終了した。いつもは午後からする夕食の仕込みと調理も、既に終わっていた。夕食はすでにできているものを寮生たちに自分たちで取ってもらって、その間、アニーは病院へこどもたちを連れてお見舞いに行き、ついでに入院生活に必要なものを届けに行くのだ。


「あのひとが良くなったら、お礼と快気祝いを兼ねて、盛大にパーティーしましょうね」

「わぁ! いいな!」

「コルジくんも呼ぶわよー」

「やったー!」


 コルジの前でにこにこするアニーだが、実は夫が心配で仕方がない。朝、少しだけ時間を取って説明を聞きに病院に行ったが、医者の話によると、昔の大怪我の治療の際に身体に入れた金属が摩耗したり変形したりして、体内のあちこちを傷付けていたらしい。毎日の労働も手を抜かないひとだから、痛みがあっても無理をしていたに違いない。

 まだ公安の誰にも報告していないが、大きな手術が予定されている。しかし、元通りに回復する見込みは薄い。もう、ふたりで管理人を続けられないかもしれない。そうなったら、今の忙しい毎日では夫を支えられないかもしれない。大好きな管理人の仕事だが、いっそ、別の道を探すか……


「じゃあ、そのパーティーのためにも」


 密かに思い悩むアニーに対して、コルジは素晴らしい笑顔で


「アレックスさんが早くよくなりますように、すごく元気になりますように、お祈りしますね!!」


 あっさりと奇跡を起こしたのであった。





「あー……その、コルジエル、くん。本当に、どうもありがとう」


 運ばれたその日の内に、本当に早くすごく元気になったアレックス・アラガミは、翌朝、妻のアニーと共に一課十二班を訪れていた。


「いえ、俺はちょっとお手伝いしただけです! こちらこそ、たくさんおいしいごはんをいただきました!」

「……そういう話では……」

「まあまあ、アレックス先輩」


 クラウデンがにこにこしている。世話になった先輩が回復して嬉しいのだ。


「コルジくん、君のお祈りが効いたんだと思うよ。僕からもありがとう!」

「ああ、お祈りですね! 効いたならよかった! あ、相談する前にお祈りしちゃだめでしたか!?」

「ううん、すごく良い判断だったよ!」


 褒められて、えへへ、となるコルジである。

 実はクラウデンは、アレックスの元の状態と回復を昨日アニーから聞いていた。昨日、謎の回復を告げるため、病院から鳥人職員が高速飛行でやってきてくれたのだ。アニーはすぐに病院に行き、回復を確認して喜んだ後、定時後ではあったが十二班に駆け込んできた。ひとり残っていたクラウデンに、そこで説明したのである。


「昨日、急にサンリくんから、今日か明日には退院になりますよって言われたときは不思議だったけど、本当だったわねー!」

「ははは……まあ、はい」


 アニーが昨日駆け込んだのは、コルジのお祈り直後、サンリから退院云々に続いて「先輩のお祈り、効くんすよ……」と遠い目をして言われていたからである。すぐにコルジにお礼を言うために病院から直行したのだ。

 エンジェリアの力は、なるほど、奇跡だ。


「コルジくん、約束通り、パーティーに呼ぶからね! 明日の夜は大丈夫?」

「はい! 楽しみです! アレックスさん、本当によかった!」


 素晴らしい笑顔のコルジは、今日もしあわせそうだ。


 なお、アレックスの身体は本当にすごく元気になった。具体的には、古傷が全て癒え、体内の金属類は何故か全て消え失せ、失った組織や骨や臓器が全て復活していた。体力的にも現役捜査官の全盛期よりも元気になっていた。

 末永くしあわせに、夫婦で大好きな管理人業務を続けられるだろう。

 コルジの純粋なお祈りは、ひとをしあわせにするのだ。


 また、コルジが料理のお手伝いを覚えたことにより、いっしょに作業できるようになったあの執事もしあわせにしたのは、別の話である。


(END)


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