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本日二話目の更新(同時更新)です。
翌朝早く、元気よく目覚めたコルジの「おはよう! コルジエルだ!」を至近距離で浴びて目を覚ましたサンリは、朝食と庭園の散歩に付き合い、昼食まで粘られ、昼過ぎにやっと帰れることになった。
やっぱりぬいぐるみ抱っこスタイルである。
「これ、もうちょっといい方法ないすか……?」
「うーむ……やはり肩と両膝の裏を……」
「それはいやっす」
「わがままさんだな! ははは!」
使用人たちは皆鳥人で、自力で行き来できるのが雇用条件でもある。そのため専用の気球船などがあるわけでもない。保護の観点からすれば結構よい条件なのかもしれないが、他種族の客人にとっては不便だ。
「今度来るときのために、なにか考えておくぞ!」
「今度があるんすかね」
「え」
「え」
心の底から驚いた顔で見られ、心の底から驚くサンリであるが、甘やかしはしない。
「……いいすか? 俺はいつも先輩の面倒を見てられる訳じゃ」
「そうか! 今度は俺がサンリの部屋に行く! かわりばんこだ!」
「いやマジやめてください」
真顔の早口で拒否するが勿論通じない。
「楽しみだな! 寮ってどんな感じかな!」
今日も素敵な笑顔を振りまくコルジであった。
なお、後に公安の寮に訪問はできてもお泊りはできないと知ったコルジが、「じゃあ中庭でいっしょにキャンプしよう! ……そういえばそういうお手伝いがあったな!」といらん記憶を掘り起こして、結局こどもたちのキャンプのお手伝いに参加し、中庭の巨大樹が育ての親であるコルジの「こどもたち、よく眠って元気に大きくなぁれ!」という無邪気な寝かしつけで更に大きくなって大混乱が起こったのは別の話である。
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