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(3)

 コーネリエルがダーケンと出会って百年が経つ頃には、ダーケンの研究は魔法の一部を蒸気の力で再現することに成功し、そして電気を利用した技術開発へと変遷した。おかげで世界全体の技術はかなり底上げされて、進化した。ひとりの天才の発明と、それを発展させた人々の努力の賜物である。ダーケンが発明の種を渡せば、人々が……予想外だったが、その多くはヒュームが更に発展させた。自分たちにできないことが多い分、道具や技術に対しての創意工夫に秀でているようだ。


「君は本当に偉大だよ、ダーケン」

「それはどうも」


 芝居がかった一礼をしてから、ダーケンはコーネリエルと笑いあう。場所はとある高山の山頂だ。エンジェリアのコーネリエルと、魔法の応用で寒さや高さに対策できるダーケンにとっては、誰にも邪魔されない優雅な休憩場所だった。空気も澄み、星がとてもよく見える。


「そうそう、今は他の星や世界といった概念に興味があってね」

「え、なんだいそれ!?」


 色々な技術については人々が勝手に発展させてくれるので、彼はどんどん先へ、己の興味の赴くままに研究できていた。


「僕たちの存在するこの星のほかに、生命体が存在する星もあるんじゃないかと思ってな。それと、そもそも魔法はどうやってどこからエネルギーを引っ張り出してるのかを考えていたら、時空とか次元とかに考えが及んでだな……」

「う、ううん、難しいね?」

「まあ要するに、別の世界とかあったらいいなって、そういう話」

「そうか、うん、それは楽しそうだ。まだまだ知らないことがあるなら、とても楽しいね」

「だろう? まあ、一朝一夕でわかることじゃないしな。気長に研究しようと思うんだ」

「そうだね。……あ、そうそう、大概の種族からみたら、エンジェリアは空想上の生き物らしいね? それこそ、別世界の」

「ははは! 確かにな!」


 ダーケンは快活に笑った。

 なお、彼の気長な研究は本当に気長に、数千年続くのだ。


 その中で、彼はこの世界の謎や、別の世界の存在や、時空の超え方を解明していった。この世界にはない「神」の概念を知ったのも研究の過程でだ。そうなると、エンジェリアという存在の、本当の意味での不思議さに気づく。


 だが、彼にとってはそれはどうでもよかった。知らないことや謎を知るのは大好きだが、エンジェリアがなんであろうと、友が友であればそれでよかった。踏み入るのは、スマートでない気がした。彼はそういう部分は大事にする。それに、自分たちの種族だって人のことは言えない。

 生えたばかりの三対目の翼を羽ばたかせる友の横で、自分の張りぼての蝙蝠の翼を見る。


「君がエンジェリアなら、僕はデヴィリアだな!」


 不思議そうに首を傾げる友を見て、彼は満足そうに笑った。


(END)

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