第十四話 雪山怪異事件(仮)(1)
「あの館は呪われておる」
山の麓の老婆はそう言った。
「はい! 浄化してきます!」
我らがコルジはそう答えた。
☆
「俺ぇ、あちこちに物件持ってるんだけどさ、あ、事故物件」
ダライアウツ・ダンバー・ダインが一課十二班に駄弁りに来たのは、五日前。来客用のソファで棒の付いたキャンディーを舐めながら、だらりとしている。多少見慣れた光景になってしまったことを、クラウデンもデルタもサンリも残念に思っている。コルジは遊びに来てくれるのを嬉しく思っている。
「一応、買ったときに一通り祓うわけよ、諸々。でもねぇ、場所柄とかの問題で、どんどんまた集まっちゃって、定期的に祓わないといけないとこもあるんだわ」
「なるほど! 集まりやすい場所があるわけですね!」
同じキャンディーを貰って隣でちろちろ舐めていたコルジが、元気よく反応する。
「そうそう! でさぁ、コルジくん。雪山の山荘に興味ない?」
「雪! 山! 山荘!」
「めっちゃ興味ありそうだね~」
よしよしと頭を撫でてやって、ダライアウツは続ける。
「山自体も俺のなんだけどさ、眺めはすごくいいし、天然のイイ感じのゲレンデがあってスノースポーツも楽しめるし、雪だるまも作り放題。建物もちゃんとした館って感じで、少し古いけど結構綺麗でデカいし。大きな暖炉があって雰囲気もいい。そして今週末から三連休。ばっちりじゃない?」
「雪だるま!」
「……先輩に行けって言ってるんすよね?」
「サンリくんも行くといいよ〜」
「えぇ……やめてくださいよ、俺は保護者じゃないんですよ」
「サギリくんも呼ぶか!?」
「……」
もうコルジの中ではサンリが来ることになっていた。
「おや、スキーができるのかい?」
何故か班長も行く気になっている。いや、当然と言えば当然か。アウトドアが大好きな人だった。
「お祓いはコルジくんが居れば万全でしょ? だったら最高のバカンスだよね」
タダでプライベートゲレンデと立派な宿泊施設まで使えるなんて、スノースポーツをするなら本当に最高に違いない。ついでに最近キャンプ飯で鍛えているので、なにかしら食事を作るのも楽しそうだ。クラウデンは早速脳内で準備するものを考え始めている。
「そうそう、そうなんだよ! 土地も館も遊ばせとくのは勿体ないから、よければ行ってくれない? 使わないと痛むし」
「ダライアウツさんは来られないんですか?」
「俺は別の物件を祓いに行くんだ……三つほど……」
「不動産も持ちすぎると大変だね」
それまでにこにこと見守っていたデルタは、綺麗な指を口元に当てて少し考える。
「う~ん……私もご一緒しようかしらぁ」
「え!?」
サンリは思わず身を乗り出す。
「学生の頃、よくスキーしてたのよねぇ。道具もあるし。スノボも買ってたから、勿体なくて」
「俺! スノボしてみたいです!!」
サンリも当然ご一緒することになった。




