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第十三話 対峙

ナチスの理想郷は能動態でしか語られることはない、、、

 一人の死は悲劇だが、数百万人の死は統計上の数字に過ぎないーアドルフ・アイヒマン(ヨシフ・スターリン)


 「結局、正義や倫理や人道なんてものは後付けにすぎない。全てにおいて決定づけられるのは力だけだ。力こそがこの世の全てを変えることができる唯一のものである。逆に言えば、力さえあれば他は何もいらない。感情?友情?愛情?同情?そんなものは力の前では全くもって無意味だ。


 だからこそ、神に選ばれた民族のゲルマン民族である我々こそが圧倒的な力を持たなければならないのだ。それでは諸君に問おう。


 力とは何か?力とは何によって構築されていくものなのか?


 それは忠誠だ。つまり、総統閣下に絶対的な忠誠を誓った親衛隊こそ圧倒的な力を有しているのだ。では、力は一体何に用いられるべきものなのであろうか。


 それは総統閣下の理想の世界、すなわちゲルマン民族にとっての理想郷を築くために用いられるべきである。我々の力は今の混沌とした世界に新秩序をもたらすためにある。力を持つ者には、歴史を生み出す義務がある。我々の理想に逆らう奴らは理想郷には不要だ。容赦はいらない。世界から抹消してやれ」


 「総統(Heil )万歳(Hitler)!」


〜ヴォルガ川〜


 美しい木々の緑と広大な川が織りなす雄大な景色には到底似合わない二つの旗と大量の軍人がこの川を挟んで睨み合っている。


 どちらがこの戦いに勝つにせよ、大河が互いの旗のような赤色に染まるのは避けられないだろう。


〜赤軍総司令官宿泊所〜


 「諸君。人は考える葦であるとよく言われるが、本当に考え、学んでいく生き物なのだろうか。1914年、第一次世界大戦が勃発した。1600万人程が死に、ほとんどのヨーロッパ諸国が戦場となり、街は廃墟と化した。誰もが戦争の恐ろしさを目の当たりにしたはずだった。しかし、それは思い込みであった。一部の狂人は戦争の恐怖を微塵も感じていなかった。仮に不安を感じたとしてもそれは生理的や心理的なものでは到底なく、ただの軍事的不安だけだった。彼らに残ったのは恐怖ではなく、怒りと破壊であった。こうして戦争は化け物を生み、化け物は再び戦争を生んだ。悪の中にも必要悪は存在し得るかもしれないが、戦争は絶対悪だ。良い結果を何も生まない。悪い結果だけを瓦礫の大地に残していく。今のロシアでもそうだ。街は未だ完全には復興せず、賑やかだった笑い声は消え、建物の壁はどこもかしこも黒ずんでいる。人々はどこかへ消え、街は徐々に廃れていく。新しく街にやって来たのは静寂と虚無感だけだ。悲しいかな、これが今のロシアの現状だ。それでも、我々はこの戦いに勝たなければならない。希望の光が今消えようとしているからこそ、我々は勝たなければならない。心から安寧を願うからこそ、我々は勝たなければならない。狂人をこの世界から排除し、我々の手でこの世界を平和な世界に戻さなくてはならない。この戦争に勝たなければ「日常」が訪れることは二度とないだろう。母なるロシアの大地を犯し続けている不届き者を追放せよ。憎きナチスを殲滅し、鉤十字の旗を切り裂き、ゲルマニアまで行進を開始せよ。諸君らの奮闘を期待している」

総統という地位はヒトラーのみしか用いることができないのですかね、、、


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