母も苦労しているんだなぁ……
娘に同情されるなんてかなり酷いぞ……。
父親、どんだけ変人なんだよ……。
「はぁ……」
森岡きょうだいの母親、涼花がため息をつく。
「どうしたの?お母さん」
涼恵が尋ねると、「ちょっとね……」ともう一度ため息をついた。
「お茶を準備するから待ってて頂戴」
涼花が立ち上がり、台所に向かう。そして紅茶とケーキを持って戻ってきた。
「それで、何があったの?」
「あの人がね……いろんな服を買ってくるのよ」
「服?自分の?」
「自分のだったらここまで悩まないわよ」
それもそうか、と涼恵は紅茶をすする。……これはアールグレイだろうか。
「子供のよ。しかもかなりきわどい服」
それを聞いた途端、思わず紅茶を吹き出してしまった。
「ゴホッ、ごめん、お母さん……」
「大丈夫。あの人の趣味嗜好に口出しするつもりはないけどね……子供に着せようとするのは……」
いったいどんな服を買ってきたんだ、私達に。
この母ですら引くなんてかなりのものだぞ。
「涼恵、今失礼なこと考えていなかったかしら?」
「気のせいだよ」
「まぁ、いいわ。……これよ、買ってきたの」
母に見せられた服を見て、涼恵は遠くを見つめる。
……お母さんも苦労しているんだなぁ……。
呆然と、そんなことを思った。




