ミーアを引き取りに行く
「こんにちは〜」
トーマは奴隷商館へとミーアを引き取りにやってきていた。
「お待ちしておりました。トーマ様。準備はできております。こちらへどうぞ」
昨日対応してくれた執事のような男性が出てきて昨日と同じ部屋にトーマを案内する。
「ミーアをお連れする前に手続きと支払いを済ませてよろしいでしょうか。残りの金貨4枚をお支払いいただいた後にこちらの契約書にトーマ様の血を垂らして頂けますでしょうか。まずは契約内容をお読みください」
奴隷商は契約書をトーマの前に差し出した。
契約内容を要約するとこう書いてある。
・ミーア(以下奴隷)はトーマ(以下主人)の奴隷とし、奴隷は主人に危害を加えることができない。
・奴隷に命の危険が迫った時は、奴隷は契約より命を守ることが優先される。
・主人の意思によって奴隷契約は解除することができる。
・契約を解除する際は契約書に魔力を注いで契約解除を願いながら契約書を破る必要がある。
・契約書は主人の体に封印され、出す場合は魔力を少量消費する。
「契約内容は確認できました。こちらが金貨4枚になります。後はこの契約書に血を垂らせば良いのでしょうか」
「はい。こちらに針がございますので一滴だけ垂らしてください」
奴隷商はそういうと懐から布に巻かれた鋭そうな針を取り出してトーマに手渡した。
「わかりました。やってみます」
トーマは迷うことなく指に針を刺し血を一滴契約書に垂らした。
契約書が輝いたと思うと契約書はほんの一瞬淡く輝きトーマの胸の中に消えていった。
・・・あぁ、これでミーアさんが俺の奴隷になるのか。トーマは胸に手をあてながらそう思った。
「ありがとうございます。これでミーアはトーマ様の奴隷となりました。今、ミーアをお連れいたしますので少々お待ちください」
昨日のように結構待つことになるかと思ったが予想は裏切られ数分後奴隷商はミーアを連れて部屋へやってきた。
「お待たせしました。トーマ様。ミーア、今日からお前のご主人になられるトーマ様だ」
「今日からよろしくお願い致しますトーマ様」
トーマはミーアが昨日見た様子と変わりはなくなんだかほっとした。服装は村娘のようなワンピースだ。おそらくトーマの服装のレベルに合わせて見繕ってくれたものだろう。気が利く奴隷商だ。
「はい、こちらこそよろしくお願いします。ミーアさん」
「最後に改めて注意事項をお伝えしておきます。奴隷には基本的に何をさせても自由ですが奴隷の命に関わることであれば奴隷は自由に行動することができます。過度な危害を加えようとすると反撃をされて命を落とすこともありますのでご注意ください」
「わかりました。ミーアさんも命の危険があるときは迷わず行動してくださいね」
「はいトーマ様。ご配慮ありがとうございます」
「それではトーマ様。手続き等は以上になります。この度は本商館をご利用いただき誠にありがとうございました。今後何かご入用であれば気軽にお越しください」
奴隷商はトーマに丁寧に頭を下げた。
「はい、こちらこそ貴族でもない私に丁寧にご対応いただきありがとうございました」
奴隷商館での手続きは終わりミーアはトーマの奴隷となった。
「ミーアさん。ひとまず俺の家に帰ろうか」
「はい。トーマ様」
トーマとミーアは二人で奴隷商館を後にした。