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ともくんのふるーいカメラ

掲載日:2021/01/12

 ともくんは小学3年生です。おねえさんは6年生です。

 ともくんは、お正月に家族かぞくで、おじいさんおばあさんの家に行きました。

 戸だなに、いろいろなカメラが10だいかざってありました。ともくんは、おじいさんに聞きました。

「おじいちゃん、これ、どうしたの」

「もう、おじいちゃんが使わないカメラを、ならべてみたんだ」

 おじいさんは、ともくんがカメラにきょうみをもってくれたのが、うれしいようでした。

 10台もあると、けっこうあたらしいのや、だいぶふるいのがあります。

「おじいちゃん、これ、ぜんぶ動くの?」

「手入れしてあるから、動くよ」

「おじいちゃん、ぼく、どれか使ってみたい」

「じゃあ、おじいちゃんが最近さいきんまで使っていたデジタルカメラをかしてあげる。5年前のもの」

「そういうのは、うちにもある。ぼくは、せっかくだから、ふるくてふるくてふるーいカメラを使ってみたい」

「じゃあ、ふるーいカメラをかしてあげる。60年前のもの。でも、ふるーいカメラで写真しゃしんをとると、おじいちゃんでも、よくしっぱいしたんだよ」

 おじいさんは、しんぱいそうなかおをしました。

 ともくんは、かしてもらえないのかな、という顔をしました。

「わかったよ、ともくん、こうしよう。デジタルカメラもかしてあげる。2台でかわりばんこに、写真をとればいいよ。そうすれば、ふるーいカメラでしっぱいしても、だいじょうぶ」

 おじいさんは、あたらしいのとふるーいのと、カメラを2台かしてくれました。


 ともくんは家にかえりました。すぐにふるーいカメラをためしてみたくて、でかけようとしました。

「おうい、とも。ふるーいカメラは、フィルムを入れて使うんだよ」

「おとうさん、うちにフィルムある?」

「ああ、お父さんが前に買って、使わないでおいたのがあるはず」

 お父さんは、部屋へやにもどりました。

 どたばた、音がします。

 そうとう、さがしているようです。

「あった、あったよ」 

 お父さんがもってきたフィルムは、小さいつつに入っています。お父さんはそのつつを、じょうずにカメラに入れてくれました。

「これでだいじょうぶ」

「ありがとう、お父さん」

「とも、使いかたは、わかっているのかい?」

「このはじっこのガラスまどからのぞいて、シャッターをおすんでしょ?」

「まあ、そうだけど」

 ともくんは「もう、あれこれ言われたくないや」とばかりに、家をとびだして行きました。

 もう1台のデジタルカメラをもって、お姉さんがついて行きました。


 ともくんは、うつすものをさがしました。


 公園こうえんでともくんは、かずくんに会いました。

「やあ、ともくん。ぼくの、ようちえんおとうとが、自転車じてんしゃにのれるようになったんだよ。何それ、カメラ? ねえねえ、ぜひとってあげてよ」

 かずくんの弟くんは、ついさっき自転車にのれるようになったばかりのようです。

 これは、きねん写真のとりがいがありますね。

 ともくんは、かずくんの弟くんに、自転車を走らせてもらいました。

 しゃーっ。おお、なかなか、さまになっている。さっき、のれるようになったばかりなのに。

 ともくんはふるーいカメラで、お姉さんは5年前のデジタルカメラで、写真をとりました。

 ともくんが「いいのがとれたんじゃないかな」と思って、もうやめようとすると、お姉さんが、ともくんとカメラをとりかえました。お姉さんはかずくんの弟くんに「もう一回走って」と、たのみました。

 しゃーっ。おお、こんども、さまになっている。もうすっかり、のれるようになったね。

 ともくんがデジタルカメラで、お姉さんがふるーいカメラで、写真をとりました。

「ともくん、どうもありがとう。写真ができたら、おしえてね」

 ともくんとお姉さんは、かずくんたちとわかれました。


「ねえ、お姉ちゃん。はやく写真を、かずくんと弟くんに見せてあげたいよ」

「フィルムというのはね、24まいくらいとらないと、おわらないのよ。たしか」

 ともくんは、早くフィルムをおわらせたくて、お姉さんにジャングルジムにのぼるよう、たのみました。

 かしゃかしゃかしゃ。

 ともくんは、お姉さんにカメラをむけて、やたらにシャッターをきりました。

「こら、とも。フィルムが、もったいないでしょ」

「いいねー、いいよー。重心じゅうしんを、もう少しこっちに」

「カメラマンのひとのまね? どこでそんなの、おぼえたのよ」

 ともくんは写真のなかみはともかく、フィルムをつかいつくしました。


 ともくんはお姉さんといっしょに、えきの近くのお店に行きました。文ぼう具のお店ですが、フィルムを30分で現像げんぞう(フィルムから写真をつくるのに、ひつような処理しょり)してくれるのです。

 いまは、こういうお店も少なくなりました。

 ともくんは写真ができるのを、いまかいまかと、まちました。

「はい、おまちどう。デジタルカメラのほうが2枚。ふるーいカメラのほうは、1枚もうつってないよ」

 お店のおじさんが、いいました。

「えーっ! なんでだろう。こわれてるの?」

 お店のおじさんは、ともくんのふるーいカメラをみて、気のどくそうな顔をしました。

「なんでうつらないか、わかったよ。そういうかたちのふるーいカメラは、レンズのふたをとらないとだめなんだ」

「えーっ! ガラスののぞきまどからは、むこうが見えるのに!」

「おじさんもむかしは、おなじしっぱいをしたものさ」


 ともくんはとぼとぼと、お店をあとにしました。お姉さんもついて行きました。

 ともくんは公園にもどりました。まだ、かずくんと弟くんがいました。

「写真できたの、うわあ、じょうず! 弟、かっこよくうつってる! すごい、きねんになるよ! ありがとう、ともくんとお姉さん!」

 かずくんは、おおよろこびです。

 ともくんの写真も、ほめてくれました。

 めでたしめでたし、となるかと思いきや、ともくんは

「何かがちがう・・・」

 と思ったのです。

「ふるーいカメラでとった写真でほめられないと、ほめられたことにならない」

 ともくんは、ふるーいカメラで、ちゃんと写真をとりたいのです。

 とっても、やる気に火がついたのです。


 お姉さんが、さっきのお店で買ったフィルムを、じょうずに、ふるーいカメラに入れてくれました。

 ともくんは、また、うつすものをさがしました。

 お姉さんといっしょに歩いていくと、こんどはコンビニの前で、えいくんに会いました。

「ともくん、これ見てよ! コンビニくじで1とうが、あたったんだよ! ぼく、はじめてだよ! もう、ないかもしれないよ!」

「えいくん、ぼくはいま、カメラをもっているんだ」

「だったら、とってとって! いいからとって!」

 ともくんはゆっくりと、ふるーいカメラのレンズから、ふたをはずしました。

 そのそぶりが、お姉さんのわらいのつぼに入ったらしく、お姉さんは笑いだしました。

 ともくんは、ふるーいカメラで、写真をとりました。

 おねえさんは、デジタルカメラでとりました。

 ふたりはカメラをとりかえました。コンビニくじの1とう賞品しょうひんをだいじそうにかかえた、えいくんの写真をとりつづけました。

「ありがとう! ともくんとお姉さん! いやー、このかんどうよ、えいえんに」

 ともくんは、えいくんとわかれて、まちを歩きました。


 いつもの年とおなじような、いつもの年とちがうような、風景ふうけいでした。


 ともくんとお姉さんは、海の近くまで来ました。

 波のうちよせるさま、海鳥うみどりちゅうをまうさま、海岸かいがんにうちよせられた木。

 ともくんとお姉さんは、カメラをとりかえながら、写真をとりました。


 ともくんがお姉さんといっしょに、お店にフィルムをもって行ったのは、次の日でした。

 お店のおじさんは、写真ができるとすぐに、ともくんに見せてくれました。

 こんどは、ふるーいカメラの写真も、うつっていました。

「あ、やったあ、うつってる! ねえ、お姉ちゃん」

「とも、この海の写真、よくとれてる」

「うわあい!」

 ともくんは、大よろこび。

 ともくんは、もともと、なんの写真をたのまれていたか、わすれかけていました。

 ともかく、ふるーいカメラで写真がとれました。ともくんは、やりとげたのです。

 めでたしめでたし、となるところだったのですが。

 ともくんは思いだしたように、えいくんの写真に目をやりました。

「ええー?」

 ともくんは、がっかりしました。

 えいくんの写真はぼけぼけ。えいくんはかろうじて、だれだかわかりますが、1とう賞品は何が何やらわかりません。

 ともくんは、何があったのだろう、と思いました。

 お店のおじさんが言いました。

「ふるーいカメラは、とおくをうつすときと近くをうつすときで、レンズを調節ちょうせつしないといけないんだ。ピントっていうんだけど」

「じゃあ、海がちゃんととれて、えいくんがぼけぼけなのは」

「ピントが遠くに合っていたんだね」

 ともくんは、レンズのつつの部分ぶぶんについているをまわしてピントを合わせるやりかたを、おしえてもらいました。


 ともくんは、お姉さんといっしょに、えいくんの家に行きました。

 ともくんはえいくんに、デジタルカメラの写真だけをわたしました。

「ありがとう、ともくん、お姉さん。ぼく、この写真、たからものにするよ!」

 えいくんは、きのうの感げきぶりもそのままに、たいそう、よろこんでくれました。

 ともくんとお姉さんは、えいくんの家をあとにしました。


 ともくんは、また写真で、よろこんでもらえました。

 でも、やっぱり、ちがうのです。

 ともくんは、ふるーいカメラの写真で、よろこんでもらいたいのです。

 ともくんは、ふるーいカメラを、使いこなしてみせたいのです。


 ともくんとお姉さんが歩いていると、お姉さんのお友だちの6年生の女の子に会いました。

「ちょうどいいわ。とも、あたしたちふたりの写真をとってよ」

「うん、いいよ」

 お姉さんとお友だちは、ふたりならびました。

 ともくんは、おしえてもらった通りに、ふるーいカメラのピントを合わせました。

 かしゃかしゃかしゃ。

 デジタルカメラでも、かしゃかしゃかしゃ。

 三人は、海辺うみべへ行きました。


 お姉さんとお友だちは、少しきょりをとって、ふたりともマスクをはずしました。

 海辺であそぶ、お姉さんとお友だち。ともくんはシャッターをきりました。

 フィルムがなくなると、デジタルカメラで、とりつづけました。

 たくさん、とりました。

 

 夕方になりました。お友だちは「たのしかった」と言って、お姉さんとわかれて歩いていきました。

 お姉さんとともくんも、家にかえりました。

  

 お店で写真ができあがったとき、お姉さんは、ともくんに「ありがとう」と言いました。 

 お姉さんとお友だちはべつべつの中学校にすすむので、3月ではなればなれになるのだと、ともくんはあとで聞きました。


 ふるーいカメラでとった、お姉さんとお友だちの写真は、ともくんの自信作じしんさくです。

 なんどもしっぱいして、くろうして、やっととれたというのもありますが、お姉さんとお友だちの、生き生きとした表情ひょうじょうを、うつせたのです。

 ともくんは、とっても、ほこらしげです。

「たいした写真だ。じょうずだね」

 写真を見せたおじいさんにも、ほめてもらいました。

 おじいさんは「ともくん、ぜひそのままカメラを使ってほしい」と言いました。

 ふるーいカメラとデジタルカメラは、ともくんのものになりました。


 ともくんは学校がはじまったら、みんなに「カメラをもらったんだ」と言おうと思います。

 みんなとまちであったとき「写真をとって」とたのまれないかなあ、とわくわくしています。

「ふだんはデジタルカメラでとるけれど、ここぞというときには、ふるーいカメラでとってやるんだ」

 そうおもっています。

                              おしまい



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【発表時の全文かなバージョン】



 ともくんは、しょうがく3ねんせいです。おねえさんは、6ねんせいです。

 ともくんは、おしょうがつにかぞくで、おじいさんおばあさんのいえに、いきました。

 とだなに、いろいろなカメラ(かめら)が10だい、かざってあったのをみて、おじいさんにききました。

「おじいちゃん、これ、どうしたの」

「もう、おじいちゃんがつかわないカメラ(かめら)を、ならべてみたんだ」

 おじいさんは、ともくんがカメラ(かめら)にきょうみをもってくれたのが、うれしいようでした。

 10だいもあると、けっこうあたらしいのや、だいぶふるいのがあります。

「おじいちゃん、これ、ぜんぶうごくの?」

「ていれしてあるから、うごくよ」


「おじいちゃん、ぼく、どれかつかってみたい」

「じゃあ、おじいちゃんが、さいきんまでつかっていたデジタルカメラ(でじたるかめら)をかしてあげる。5ねんまえのもの」

「そういうのは、うちにもある。ぼくは、せっかくだから、ふるくてふるくてふるーいカメラ(かめら)をつかってみたい」

「じゃあ、ふるーいカメラ(かめら)をかしてあげる。60ねんまえのもの。でも、ふるーいカメラ(かめら)でしゃしんをとると、おじいちゃんでも、よくしっぱいしたんだよ」

 おじいさんは、しんぱいそうなかおをしました。

 ともくんは、かしてもらえないのかな、というかおをしました。

「わかったよ、ともくん、こうしよう。デジタルカメラ(でじたるかめら)もかしてあげる。2だいでかわりばんこに、しゃしんをとればいいよ。そうすれば、ふるーいカメラ(かめら)でしっぱいしても、だいじょうぶ」

 おじいさんは、あたらしいのとふるーいのと、カメラ(かめら)を2だい、かしてくれました。


 ともくんは、いえにかえりました。すぐにふるーいカメラ(かめら)をためしてみたくて、でかけようとしました。

「おうい、とも。ふるーいカメラ(かめら)は、フィルム(ふぃるむ)をいれてつかうんだよ」

「おとうさん、うちにフィルム(ふぃるむ)ある?」

「ああ、おとうさんがまえにかって、つかわないでおいたのが、あるはず」

 おとうさんは、へやにもどりました。

 どたばた、おとがします。

 そうとう、さがしているようです。

「あった、あったよ」 

 おとうさんが、もってきたフィルム(ふぃるむ)は、ちいさいつつに、はいっています。おとうさんはそのつつを、じょうずにカメラ(かめら)に、いれてくれました。

「これでだいじょうぶ」

「ありがとう、おとうさん」

「とも、つかいかたは、わかっているのかい?」

「このガラス(がらす)まどのところから、のぞいて、シャッター(しゃったー)をおすんでしょ?」

「まあ、そうだけど」

 ともくんは、「もう、あれこれいわれたくないや」とばかりに、いえをとびだしていきました。

 もう1だいのデジタルカメラ(でじたるかめら)をもって、おねえさんが、ついていきました。

 ともくんは、うつすものを、さがしました。


 こうえんで、ともくんは、かずくんにあいました。

「やあ、ともくん。ぼくの、ようちえんのおとうとが、じてんしゃに、のれるようになったんだよ。なにそれ、カメラ(かめら)? ねえねえ、ぜひとってあげてよ」

 かずくんのおとうとくんは、ついさっき、じてんしゃに、のれるようになったばかりのようです。

 これは、きねんしゃしんの、とりがいがありますね。

 ともくんは、かずくんのおとうとくんに、じてんしゃを、はしらせてもらいました。

 しゃーっ。おお、なかなか、さまになっている。さっき、のれるようになったばかりなのに。

 ともくんは、ふるーいカメラ(かめら)で、おねえさんは、5ねんまえのデジタルカメラ(でじたるかめら)で、しゃしんをとりました。

 ともくんが「いいのがとれたんじゃないかな」とおもって、もうやめようとすると、おねえさんが、ともくんとカメラ(かめら)をとりかえて、かずくんのおとうとくんに「もういっかいはしって」と、たのみました。

 しゃーっ。おお、こんども、さまになっている。もうすっかり、のれるようになったね。

 ともくんがデジタルカメラ(でじたるかめら)で、おねえさんがふるーいカメラ(かめら)で、しゃしんをとりました。

「ともくん、どうもありがとう。しゃしんができたら、おしえてね」

 ともくんとおねえさんは、かずくんたちと、わかれました。


「ねえ、おねえちゃん。はやくしゃしんを、かずくんと、おとうとくんに、みせてあげたいよ」

フィルム(ふぃるむ)というのはね、24まいくらいとらないと、おわらないのよ。たしか」

 ともくんは、はやくフィルム(ふぃるむ)をおわらせたくて、おねえさんにジャングルジム(じゃんぐるじむ)にのぼるよう、たのみました。

 かしゃかしゃかしゃ。

 ともくんは、おねえさんにカメラ(かめら)をむけて、やたらにシャッター(しゃったー)をきりました。

「こら、とも。フィルム(ふぃるむ)が、もったいないでしょ」

「いいねー、いいよー。じゅうしんを、もうすこしこっちに」

カメラマン(かめらまん)のひとのまね? どこでそんなの、おぼえたのよ」

 ともくんは、しゃしんのなかみはともかく、フィルム(ふぃるむ)を、つかいつくしました。


 ともくんは、おねえさんといっしょに、えきのちかくのおみせに、いきました。ぶんぼうぐのおみせですが、フィルム(ふぃるむ)を30ぷんで、げんぞう(フィルム(ふぃるむ)からしゃしんをつくるのに、ひつようなしょり)してくれるのです。

 いまは、こういうおみせも、すくなくなりました。

 ともくんは、しゃしんができるのを、いまかいまかと、まちました。

「はい、おまちどう。デジタルカメラ(でじたるかめら)のほうが2まい。ふるーいカメラ(かめら)のほうは、1まいもうつってないよ」

 おみせのおじさんが、いいました。

「えーっ! なんでなんだろう。こわれてるの?」

 おみせのおじさんは、ともくんのふるーいカメラ(かめら)をみて、きのどくそうなかおを、しました。

「なんでうつらないか、わかったよ。そういうかたちの、ふるーいカメラ(かめら)は、レンズ(れんず)のふたをとらないと、だめなんだ」

「えーっ! ガラス(がらす)ののぞきまどからは、むこうがみえるのに!」

「おじさんも、むかしは、おなじしっぱいを、したものさ」

 ともくんは、とぼとぼと、おみせをあとにしました。おねえさんも、ついていきました。


 ともくんは、こうえんにもどりました。まだ、かずくんとおとうとくんが、いました。

「しゃしんできたの、うわあ、じょうず! おとうと、かっこよくうつってる! すごい、きねんになるよ! ありがとう、ともくんとおねえさん!」

 かずくんは、おおよろこびです。

 ともくんのしゃしんも、ほめてくれました。

 めでたしめでたし、となるかとおもいきや、ともくんは

「なにかがちがう・・・」

 とおもったのです。

「ふるーいカメラ(かめら)でとったしゃしんで、ほめられないと、ほめられたことにならない」

 ともくんは、ふるーいカメラ(かめら)で、ちゃんとしゃしんを、とりたいのです。

 とっても、やるきに、ひがついたのです。


 おねえさんが、さっきのおみせでかったフィルム(ふぃるむ)を、じょうずに、ふるーいカメラ(かめら)に、いれてくれました。

 ともくんは、また、うつすものを、さがしました。

 おねえさんといっしょに、あるいていくと、こんどはコンビニ(こんびに)のまえで、えいくんにあいました。

「ともくん、これみてよ! コンビニ(こんびに)くじで1とうが、あたったんだよ! ぼく、はじめてだよ! もう、ないかもしれないよ!」

「えいくん、ぼくはいま、カメラ(かめら)をもっているんだ」

「だったら、とってとって! いいからとって!」

 ともくんは、ゆっくりと、ふるーいカメラ(かめら)レンズ(れんず)から、ふたをはずしました。

 そのそぶりが、おねえさんのわらいのつぼに、はいったらしく、おねえさんは、わらいだしました。

 ともくんは、ふるーいカメラ(かめら)で、しゃしんをとりました。

 おねえさんは、デジタルカメラ(でじたるかめら)でとりました。

 ふたりはカメラ(かめら)をとりかえました。コンビニ(こんびに)くじの1とうしょうひんを、だいじそうにかかえたえいくんの、しゃしんをとりつづけました。

「ありがとう! ともくんとおねえさん! いやー、このかんどうよ、えいえんに」

 ともくんは、えいくんとわかれて、まちをあるきました。


 いつものとしとおなじような、いつものとしとちがうような、ふうけいでした。


 ともくんとおねえさんは、うみのちかくまできました。

 なみのうちよせるさま、うみどりがちゅうをまうさま、かいがんにうちよせられた、き。

 ともくんとおねえさんは、カメラ(かめら)をとりかえながら、しゃしんをとりました。


 ともくんがおねえさんといっしょに、おみせにフィルム(ふぃるむ)をもっていったのは、つぎのひでした。

 おみせのおじさんは、しゃしんができるとすぐに、ともくんにみせてくれました。

 こんどは、ふるーいカメラ(かめら)のしゃしんも、うつっていました。

「あ、やったあ、うつってる! ねえ、おねえちゃん」

「とも、この、うみのしゃしん、よくとれてる」

「うわあい!」

 ともくんは、おおよろこび。

 ともくんは、もともと、なんのしゃしんをたのまれていたか、わすれかけていました。

 ともかく、ふるーいカメラ(かめら)で、しゃしんがとれました。ともくんは、やりとげたのです。

 めでたしめでたし、となるところだったのですが。

 ともくんはおもいだしたように、えいくんのしゃしんに、めをやりました。

「ええー?」

 ともくんは、がっかりしました。

 えいくんのしゃしんは、ぼけぼけ。えいくんはかろうじて、だれだかわかりますが、1とうしょうひんは、なにがなにやら、わかりません。

 ともくんは、なにがあったのだろう、とおもいました。

 おみせのおじさんが、いいました。

「ふるーいカメラ(かめら)は、とおくをうつすときと、ちかくをうつすときで、レンズ(れんず)をちょうせつしないと、いけないんだ。ピント(ぴんと)っていうんだけど」

「じゃあ、うみがちゃんととれて、えいくんがぼけぼけなのは」

ピント(ぴんと)が、とおくにあっていたんだね」

 ともくんは、レンズ(れんず)のつつのぶぶんについている、わをまわしてピント(ぴんと)をあわせるやりかたを、おしえてもらいました。


 ともくんは、おねえさんといっしょに、えいくんのいえに、いきました。

 ともくんはえいくんに、デジタルカメラ(でじたるかめら)のしゃしんだけを、わたしました。

「ありがとう、ともくん、おねえさん、ぼく、このしゃしん、たからものにするよ!」

 えいくんは、きのうのかんげきぶりも、そのままに、たいそう、よろこんでくれました。

 ともくんとおねえさんは、えいくんのいえを、あとにしました。

 ともくんは、また、しゃしんで、よろこんでもらえました。

 でも、やっぱり、ちがうのです。

 ともくんは、ふるーいカメラ(かめら)のしゃしんで、よろこんでもらいたいのです。

 ともくんは、ふるーいカメラ(かめら)を、つかいこなしてみせたいのです。


 ともくんとおねえさんがあるいていると、おねえさんのおともだちの、6ねんせいのおんなのこに、あいました。

「ちょうどいいわ。とも、あたしたちふたりの、しゃしんをとってよ」

「うん、いいよ」

 おねえさんとおともだちは、ふたりならびました。

 ともくんは、おしえてもらったとおりに、ふるーいカメラ(かめら)ピント(ぴんと)をあわせました。

 かしゃかしゃかしゃ。

 デジタルカメラ(でじたるかめら)でも、かしゃかしゃかしゃ。

 さんにんは、うみべへ、いきました。


 おねえさんとおともだちは、すこしきょりをとって、ふたりともマスク(ますく)を、はずしました。

 うみべであそぶ、おねえさんとおともだち。ともくんはシャッター(しゃったー)をきりました。

 フィルム(ふぃるむ)がなくなると、デジタルカメラ(でじたるかめら)で、とりつづけました。

 たくさん、とりました。

 

 ゆうがたになりました。おともだちは「たのしかった」といって、おねえさんとわかれて、あるいていきました。

 おねえさんとともくんも、いえにかえりました。

  

 おみせでしゃしんが、できあがったとき、おねえさんは、ともくんに「ありがとう」といいました。 

 おねえさんとおともだちは、べつべつのちゅうがっこうにすすむので、3がつではなればなれになるのだと、ともくんはあとでききました。


 ふるーいカメラ(かめら)でとった、おねえさんとおともだちのしゃしんは、ともくんのじしんさくです。

 なんどもしっぱいして、くろうして、やっととれたというのもありますが、おねえさんとおともだちの、いきいきとしたひょうじょうを、うつせたのです。

 ともくんは、とっても、ほこらしげです。

「たいしたしゃしんだ。じょうずだね」

 しゃしんをみせたおじいさんにも、ほめてもらいました。

 おじいさんは「ともくん、ぜひそのままカメラ(かめら)をつかってほしい」と、いいました。

 ふるーいカメラ(かめら)デジタルカメラ(でじたるかめら)は、ともくんのものになりました。


 ともくんは、がっこうがはじまったら、みんなに「カメラ(かめら)をもらったんだ」といおうとおもいます。

 みんなとまちであったとき「しゃしんをとって」とたのまれないかなあ、とわくわくしています。


「ふだんはデジタルカメラ(でじたるかめら)でとるけれど、ここぞというときには、ふるーいカメラ(かめら)でとってやるんだ」

 そうおもっています。


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― 新着の感想 ―
[一言] フィルム式カメラ。 懐かしいですね〜。 楽しく読ませていただきましたー。
2023/04/24 22:35 退会済み
管理
[一言] 学生時代に写真の現像バイトをしていました。 最近ではそういうお店は減りましたね。 そういう私もフィルムタイプのカメラで写真を撮ることは無くなっているので、これも時代の流れなのでしょう。 友…
[一言] フィルム式のカメラは本当に撮るのが難しかったです。ピントは合わないし、すぐに手ブレするし、撮影したものは現像しないと成功かどうかわからない。せっかく現像してもイマイチなものばっかりで、現像代…
感想一覧
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