転生、目覚め
初日なので、とりえず二話目投稿です。
主人公が「おぎゃあ。」するだけの話なので、読み飛ばしていただいて差し支えないです。
暗い世界から、突然光が襲ってきた。
ついさっき、俺は死んだはずだ。
夢でなければ。
さっきまで俺は真っ暗な世界で膝を抱え込むように眠っていた。
暗く、孤独ではあるが不思議と安堵させてくれる世界。自分の心音が、リズムよく鳴ることがわかった。
心なしか、もう一つ心音が聞こえる気もするが。それがどうしようもなく心地よかった。最愛になるかもしれなかった彼女と別れてしまったが、それを忘れそうになるくらいの居心地よさ。
なるほどこれが浄土というものか。とても素晴らしいご褒美じゃないか。
生前は大きな徳を積んだ覚えなどないが、人として恥ずかしくない程度には真っ当な人生を送ってきたはずだ。
そう思いたい。そうだよね?
なるほどなるほど。近所の寺を切り盛りするお坊さんがあれだけ熱心に念仏を唱えていたのもわかるというものだ。
あのお坊さんは確実に俺よりも先に他界なさったはずだ。いい歳だったからな。きっと彼もこの世界にいるに違いない。
だが、その薄暗い安寧の世界から俺は突然放り出された。
光が眩しくて、目がつぶれそうだ。
肌がひりひりして火傷しそうだ。
心音以外に、大きな雑音がけたたましく聞こえ始めた。
やめてくれ。
俺は心音だけ聞いていたいんだ。耳が痛い。鼓膜が破れそうだ。
やめてくれ。俺はもっと眠っていたいんだ。
やめてくれ!
そう俺は叫びたかったが、口から漏れ出る音は「あー!」だけだった。
「あー!」って何だ。「やめてくれ。」の発声のどこをどうすれば「あー!」に変換されるんだ。
思わず俺は腕を振った。振った腕が思ったよりも軽くて、そして自分の筋力がとてつもなく貧弱で自分の顔を打ち付ける。
混乱した。
何故腕を動かすことができたというのか。
俺がいるのは浄土ではなかったのか。何故腕があるんだ。身体があるんだ。俺は真っ暗な空間に魂だけ折りたたまれていたのではないのか。何で顔に腕が当たるんだ。何で顔が痛いんだ。何で実体があるんだ。
これじゃあまるで。
これじゃあまるで――――。
俺が生きているみたいじゃないか。
身体がふいに、宙へ浮く感じがした。
感触から俺が抱き上げられていることがわかった。
巨大な人間だ。
いや、違う。これはもしかして、俺が小さいのか?
嗚呼、頭が重たい。首が痛い。何なんだ、何なんだ。
「フィオよ。貴方の名前は、フィオ。私の可愛い息子。」
この大きな人は何と言ったんだ?
声のトーンからして女性のように感じる。何と言っているのかわからないのは、俺の耳が悪いからなのか?
それとも、彼女の話す言葉が俺の知っている言語と違うからなのか?
それでもわかることはあった。
目が見えなくても耳が不自由でも、わかることが一つだけあった。
――何で貴方は、泣いているんだ?
ご一読感謝!




