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言葉を飲み込む強さ

 僕はついつい感情にまかせて、どうしょうもなく流暢になる。

 テレビの大人たちがくだらない話をしていると、いつも馬鹿にしているくせに

自分はもっとどうしようもないことを言っている。

 


 メールというものはやっかいで、言葉は空気中の飲み込まれず、液晶画面に半永久的に残ってしまう。

 


 僕はついつい二度と見たくない毒を吐く。いったいどこからこの汚い言葉が入ってきたのか、そんなことすら分からなくなっている。自分の中のネガティブな部分から、その毒のある言葉が出てくるのか?

 それもたびたび! 

 僕は毒を溜め込む装置を体の中に持っているのか? それとももともと僕は悪をたくさん抱えているだけなのか?

 


 嫌な言葉を吐き出すことを防ぐために、本当の大人はそれが空気中に吐き出す手前に飲み込むことができるという。自分を守ることは当然、相手を傷つけないために、胸の痛みを我慢しながら、言葉を飲み込む。

 なぜ彼らはそんなことが出来るのだろう。

 なぜ僕はそのことができないのだろう。半世紀以上生きて、いまだに大人になりきれず、人を傷つけてばかりいる。知識が経験が知性と結びつくのなら、なぜ感情の迸りをとめられない?

 


 本当の孤独が僕の体を痛めつける。隣に誰がいようと、世界中で一人だけなのだ。どこにも包まれることなく、あらゆるものから一定の距離を置かれ、僕はなす術もなく佇んでいる。

 あなたは言う。「それは、その孤独はあなたが望んだものじゃない?」

 そうだろうか?

 僕は一人でいることを望んだかもしれないけど、一人きりを望んだわけじゃない。

 あなたは言う。「それはあなたが人の話を聞いていないから。あなたが大切な人をちゃんと見ていないから」

 僕は一生懸命耳をすまし、その人の話を聞こうとする。その人をイメージし、その人のいる世界を映像化しようとする。だが、いつの間にかその世界に僕が入り込んで、その世界を僕の色に塗り替えてしまう。そして描き換えられた世界は色を失ってしまう。

 


 僕はずっと一人なのだろう。どこにも属さず、だれとも触れ合えず、誰にも愛されず、独り言を言いながら彷徨っている。

 そういった生き方も何か意味があるのだろうか?そのような人生は僕に何を問いかけている?

「お前は激しく深く病んでいる。その痛みを潜り抜けると安息の地平が待っている」

 その言葉は希望というのだろう。

 だが、僕が希望を望まなければ、いったい僕はどこに行けばいいのだろう?

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