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26.金属疲労で鉄パイプが折れたー今日におけるその経済的考察


 パソコンデスクでキーボードをパタパタ打ち、それが疲れると椅子の背もたれに体重をかけて背伸びをする。それば僕の癖である。

 

 ところが先日、いつものようにその背伸ばしをしていると、背中の感覚が妙なのだ。いつもの安定した手ごたえ(背ごたえ?)がない。そう思っていると「ガギッ」とかいう変な音が聞こえて、背もたれを支えている黒い鉄パイプが折れてしまった。幸い私の第六感が働いたのか、それとも鋭敏な反射神経のおかげなのか、ひっくり返るという無様な醜態をさらすことはなかったが・・・・・・

 なぜ安定した強度を誇る鉄パイプが折れてしまったのか? 僕の体重が若干増えてしまったためなのか。それとも何か不吉な出来事の前兆なのか。否! 原因はその椅子が古いからである。

 

 その椅子は妻が小学生に上がるときに購入した学習机の椅子なのだ。現在の学習机の椅子のように木製でカッコよく丈夫なつくりの物ではない。妻は僕と同い年なので、その椅子は40年以上も前に買ったことになる。さすがに40年以上も人の身体を支え続けると鉄だって疲れてしまう。しかしあの頑丈な鉄パイプが折れるという現場を見てしまうと、アレレッといった感じで少し信じられない気がしたのも事実だ。

 

 しかし話は終わらない。実はこの椅子以外にも鉄パイプの足が4本ある丸椅子も壊れてしまった。座席が丸いビニールでできていて背もたれがなく、補助椅子みたいな安っぽいアレである。これを仕事用の机の椅子として使っていたのだが、あるときどうも不安定な座り心地に気づいた。早速チェックしてみると4本の足の1本が妙な方向にねじれている。さらによく見ていると、その4本の足を固定しているところの部品(これもおそらく鉄)が壊れているではないか! この椅子はさきほどの背もたれ椅子よりもさらに古そうで、半世紀は経っているフンイキである。さすがに半世紀を越えて負荷をかけられ続けると、単純構造の椅子でも壊れるものだなあと妙に感心していしまった。

 

 ところで僕はボールペンのインクを使い切ったりすると異常に喜びを感じる人間なのであるが、今回は相当長い期間頑張ってくれた家具がその役割を果たしたことは感慨もひとしおである。しかしこのように物が壊れるまで使い切ってしまう人間は、(CDラジカセしかりテレビしかり携帯電話しかり)現在の資本主義社会においては有害人物かもしれない。なぜなら背もたれの壊れた椅子を補助椅子として、まだ使っているのだから。これでは経済市場は活発化しないかも?


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