0.プロローグ
カツン
カツン
カツン
床を叩く音が反響する。
この廊下はそれほどに何もなく、ひたすらに伸びている。
迷彩柄のの軍服に身を包み、顔を目出し帽で隠す、一人の兵士。
その前を金色の髪をなびかせる、長身の女が歩いていた。
「もう直ぐ到着する。準備はいいか」
緑を主とした陸軍の軍服に身を包む女は、振り返ることなく、背後の兵士に声をかけた。
「はい」
迷彩柄の軍服の兵士は短く、簡潔に、そう返事をした。
声色からして男なだろうか。
肩幅は広いが、レスラーやボディビルダーといった人間のそれには及ばない。
とはいっても服の上、それも軍服の上からなので、はっきりとした体格というものは分からないのだが。
前を行く女の足がピタリと止まった。
「ここだ」
女が横を向き、そこにあったドアノブに手をかける。
「準備はいいな」
女はそう尋ねるが、迷彩服の男は聞くまでもないという風に、ただ頷くだけだった。
「そうか・・・」
女は一拍開けて、ドアを押した。
「ようこそ。世界の命運をかける部隊へ」
世界特殊部隊連合。
通称、『WSA』
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。