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つぼみとシルエット

月の音色289回で読まれました!

「見えてはいけない花があるって知ってる?」


蠱惑的に笑う彼女。

赤い口紅が妙に印象に残っているのに、顔は何故かよく覚えていない。


「名前も知ってはだめ。色も形も誰も知らない。けど、それは一目見たらわかるの」


何だそれはと思った。

なぞなぞですかと聞いたら、彼女は否定した。

全然違うわと笑って。

可愛い人ねと言って──嗤った。


「親切心から忠告してあげる。花が見えたとしても誰かに言ってはダメよ」


理由は聞く気にならなかった。

別に言いませんよとぶっきらぼうに言った。


「なら良かった。それじゃあ、またね」


まばたきをしたら、いつの間にか彼女はいなかった。

夏の蒸し暑い夕暮れ。背中の汗が気持ち悪い。

早く帰ろう。

私は外に出て目を疑った。

人の目から、口から、至る所から生えている花のつぼみの影が見えた。

何だこれはと思う間もなく、目の前のビルから人が落ちてきた。


そして、私は花が咲いたのを見た。


見えてはいけない花がそこにあった。


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