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窓からの景色
窓から見る景色というのは格別だと思いませんか?
私は昔から一等好きでしてね。
こうやってガタンゴトンと揺られながら、のんびりと景色が変わるのが楽しくて仕方がないんですよ。
四季折々の様子を車窓を通してみる。
こんなにも心躍ることはありません。
はっはっは。ピンと来ていないご様子ですね。
まだまだお若い貴方にはわからない感覚でしたか。
ですが、いつかきっとわかる時が来ると思いますよ。
歳を重ねるとはそういうことなのですから。
窓から見る景色というのは一人一人違うものでしてね。
多くは幸せだった思い出を想起するのですよ。
貴方はどうでしょうか?
ほほう。実に良き人生を送っているようだ。
景色を見ていればわかります。
ですが、貴方は少々若すぎますな。
この列車に乗るには些か早かったようです。
もう少し人生を重ねてから来てくださいな。
あぁ、自己紹介が遅れましたな。
私は走馬灯ならぬ走車窓。
人生の振り返りの達人です。




