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夜の音
「夜の音を探すこと。それが貴方に与える最後の試練よ」
魔女であり師匠でもあるお祖母ちゃん。
私が魔女になるための試練を伝えられた。
でも、夜の音って何だろう?
「それを調べるのも試練の内よ」
そう言われては仕方がない。
森の動物たちに尋ねに回る。
ねぇ、あなたたち。夜の音って知ってる?
「知ってるよ。ホーホーって鳴くフクロウのことさ!」
「いやいや違うよ。夏の夜の虫のことだよ。あいつらのせいでいつも寝不足なんだ」
「うーん。夜の音なんでしょ。だったら僕らが寝てる時のいびきのことだよ!」
動物の皆がそれぞれ思う夜の音を教えてくれる。
どれも正解だと思うし、間違いだと思う。
見つけられるのかなと不安に思い空を見上げる。
すると、お月さまから声が聞こえてきた。
色鮮やかな楽器のように物語を読み上げる声。
それは私の夜の音のイメージにぴったりと一致した。
わかったよ、お祖母ちゃん。
夜の音。それは月の女神様が唄う月の音色のことだ!




