父さんの手紙
ユウキヘ
やあ、ユウキ。どうだ、元気でやっているか。父さんはバリバリ元気だぞ! ところでな、父さんはこれから長期出張があって、海外に行かなければならなくなった。ごめんなユウキ! 夏休みは一緒に過ごせると思ったんだが、無理なようだ! 父さんもツライ!
その出張には、父さんの大切な友人たち複数を連れて行く予定だ。海外に出張に行くと言ったら、みんな、ここぞとばかりに行きたいと言ってしまってな。断るに断れなかったんだ。
でもな、その友人たちには小さい娘がいるんだ。連れて行けないわけではないが、そこは治安があまり良くない。というわけで、折り入ってユウキに頼みがある。
その子供をうちで預かってくれないか!
無論、またユウキには迷惑をかけてしまうことになる。
今回のことに限らず、ユウキには父さんのせいで迷惑をかけっぱなしだ。こんな一方通行な形で置き手紙を残していく、不甲斐ない父さんを許してくれ。
金銭面に関しては、心配はいらない。ユウキたちを不自由させるつもりは毛頭ない。もちろん、翌月分の通帳への振り込みはすでに済ませている。来月分はかなり奮発したからな!
夏休みが終わるまでには帰るから、それまで大切な友人たちの娘をどうか頼む!
今うちに来ている子は坂子朱里ちゃんといって、素直で明るいいい子だ!
可愛がってあげてくれ。ユウキのことだから、心配はいらないと思うが。
それと、もしもの時のために、近所の高音紗雪さんには話を伝えてあるから、用事のある時や、大変な時は電話をしてくれ。すぐに飛んできてくれるはずだ。
父さんはもう行かなければ、空港に間に合わない。
友人たちは、少し遅れて追って来ると言っていた。
他の子たちも、順を追って来るだろう。
それでは頼むな!
ああ、我が家にやって来る子たちは、全部で、11人いる。
最後に、言い忘れていたが、その子たちは全員、ユウキの妹だ。
親愛なる父より




