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3.5

「ユキヤ」

「えーと、はい」

「これはいったい、どういうことですか?」

「……それ、聞きたいのは僕の方なんですけど……?」

「そうですか……」

「ええ。だって、地図持って案内してくれてたの、フィーネさんですよね?」

「そう、かも知れませんが」

「いや、かもでなく確実にそうなんですけど……迷ってますよね、道に」

「……少し、遠回りをしているだけです」

「同じところをぐるぐるするのは遠回りとは言いませんけど……?」

「……」

「あと、最初に同じところへ出た際に『あれ?』って言ってたの、聞き逃してませんから」

「……」

「……地図、貸してもらえます?」

「……はい」

「ありがとうございます。……あ~、これ、今日中には街に辿り着けそうにないですね。もう日も暮れちゃいますし」

「……」

「まだ王都に近いからか、今まで馬車や徒歩で一日の距離だったので、こうして外で一晩を過ごすことって無かったじゃないですか。一応こんな時のためにテントは買ってアイテムボックスに入れてますけど……」

「……人気のない場所……ひとつのテントで一夜を共に……ふふ……」

「フィーネさん?」

「おほん。いえ、何でもありません。そうですね、致し方ありません。今夜はそのテントを使うとしましょう」

「ああ、良かった。じゃあすぐにテントを建てますから、フィーネさんは休んで下さいね。僕は外で見張りしますから」

「え?」

「テントに魔物避け効果が付与されてるとはいえ、そんなに強いものではありませんからね。大丈夫ですよ。勇者の特殊能力で三日三晩は眠らなくても大丈夫みたいなんで」

「……ええ?」

「たぶん、魔王に近づくにつれ激化と長期化するだろう戦いに備えてのものなんでしょうけど……こんなふうに役立つなんて思いませんでしたよ」

「……」

「じゃあテントを……あ、あの辺りがいいかな? 建ててきますね」

「はい……」



「そんなあ……」


 ▲▽▲▽▲


「ねえパパ」

「ん? なんだい、アン」

「これなんだけど……」

「ん、なになに『いろんなおしごとをしらべてみよう! みんなのまわりにはどんなおしごとがあるかな?』」

「うん。学校の課題なんだけど、私、パパのお仕事についてにしようかなと思って」

「ふむ……いいよ」

「ホント!?」

「ああ! パパもアンにお仕事をしてる姿を見てもらいたいね。あ、でも、ひとつだけお約束出来るかな?」

「おやくそく?」

「うん。ギルド長には絶対に近づいちゃいけないよ」

「え? ギルド長って、パパがよく殴り合いしてるっていう人?」

「ま、まあ……そうだね……不本意ながら……」

「? でもどうして?」

「それはね、絶対にめんどくさいことになるからだよ。特に、最近ギルド長のところによく来るシロウという冒険者が一緒に居るときは近づいちゃダメだからね」

「え?」

「あのふたりが一緒になると、ものすごくめんどくさいからね。そのお約束が守れるなら、学校がお休みの明日、一緒にギルドへ行こうか」

「……いいの?」

「もちろんだとも。でもお約束はちゃんと守ってね。いいね、絶対、絶対にだよ」

「う、うん……」


(でも、シロウって冒険者さん、もしかしてリーにゃんのノートにあった「シロにゃん」のことなんじゃ……? ううん、まさかね……)

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