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悲しみと記憶
「かんなーーーーーーーー」
叫ぶだけでは足りなかった。
事情を聴きに来る、マスコミ、警察。
信じられないその光景に、彼はその場から立ち去っていた。
「やばいな、これ完全に俺、犯人扱いじゃん」
なぜか心の底湧いてくる謎の感情。
「これってなんて言うんだっけ。」
帰る家もなく、あてになる友人なども居なく、どこに向かっているのか自分でもよくわからずに、
「一人になりたい」
そう思って、ただひたすらに歩いていた。
そして、彼は駅のホームに一人立っていた。
「まもなく、電車が参ります。白線の内側でお待ちください」
そうアナウンスが鳴り響く。
彼は、白線を踏み越え、一歩、一歩と歩を進めていた。
そして、彼は電車の先頭車両と衝突した。
そのとき、彼の耳には、何か聞こえていた。
その音は、懐かしい音だった気がする。