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出戻り転生したらぬいぐるみ!?~俺を魔法少女と呼べるのか?~  作者: 凪狐うどん
1章 魔法少女、始めました
6/12

4話~登校と親衛隊と~

「さて先輩。そろそろ行きますか」


「そうだね。じゃあよろしく」


 結局真宵ちゃんはぬいぐるみを学校に持っていくのはいざと言う時に行動しにくいのはイヤだと言うのと、もし無くしたら今後俺とずっと一緒になるのがイヤだと言う2つの理由から学校へ行く時は意識を同化させる事を選んだ。


 真宵ちゃんはぬいぐるみをリビングのソファーに置いてから玄関に向かう。


 ある程度歩いたところで真宵ちゃんの後ろ姿は見えなくなり、目の前は玄関とそこに置かれている靴が見えた。


 座って靴を履き、靴紐を縛る。


「よしっ!」


 真宵ちゃんが気を引き締めるように息を吐く。

 そして玄関の扉を開ける。


「(真宵ちゃん。テニスラケット持ってかないの?)」


「(ラケット……ああ、それはもういいんです)」


 確かに今の真宵ちゃんは少し前と違ってそこまで日焼けをしていない。

 俺としてはあの健康的な小麦色の肌と、日焼けしていない肌のコントラストがエロくて、なおかつかっこよかったんだけどな。

 まあそれを俺が言ったところで戻るなんて事はないだろう。


「(って、あれ? いつもより時間が遅いって事は紗智も辞めたのか?)」


「(……ええ、紗智も止めました)」


「(そっか)」


 紗智もテニス部を辞めたのか。


 なんだろう。少し悲しくなってきたな。朝からこんなしんみりするつもりなんて毛頭無かったのに。


「(先輩。私の頭の中で一々鬱にならないでください)」


「(鬱になってないし、好きで鬱になる人なんて居ないだろ)」


「(ええそうですね。ですが先輩は先輩なので)」


「(まるで俺が好きで鬱になってるみたいな言い方をすんな)」


 全く。その言い方だとまるで俺が俺だと言う理由で全て片付けられるみたいじゃないか。

 アレって結構傷付く事もあるんだからな。


「(先輩、いつまでもグジグジしてないで行きますよ)」


 真宵ちゃんが玄関の鍵を閉め、鍵を鞄にしまう。

 それにしても女の子によくあるストラップやキーホルダーでジャラジャラとした鍵ではなく、むしろその逆でなに1つそう言ったものは付いていない。


 あのぬいぐるみ好きな真宵ちゃんの事だから大量とはいかなくとも1つや2つは付いているものだと思っていた。


 そう言えば真宵ちゃんの家には真宵ちゃん以外の人が生活している様子だったな。何かあったのだろうか?


 いや、余計な詮索は止しておこう。もしかしたら単に真宵ちゃんが一人暮らししているだけかもしれないし。


 歩いているとやがて景色は見慣れた場所へと変わる。周りには由美子さんの運営してる鏑木高校の学生服を来た人がチラホラ。紗智の親衛隊だな。


「(それにしても今日はまた一段と親衛隊の奴らが多いな)」


「(先輩が死んだからなのか、特に最近は親衛隊の動きが活発になっています)」


「(ふーん、そうか)」


 死んだと簡単に言われた事に少し戸惑いを感じるが、それを振り払って親衛隊を創った時の事に思いを馳せる。

 あの頃はただただ紗智を見守るための組織だった。

 兄である俺が先頭に立って指揮をとっていたのだが、いつの間にか指揮権は俺から他の奴の手に渡っていた。


「(先輩。私の中でいきなり過去編とかやめてください)」


「(えっ、いやそう言う訳じゃなかったんだけど。ごめん)」


 素直に謝る。ここでお互いいがみ合っていても時間の無駄だし、親衛隊の牽制も出来やしない。


 そう言えば真宵ちゃんいつも親衛隊を無双ゲームの如く倒しているけど、俺が同化してる時は戦えるんだろうか?

 正直俺の反射神経は結構鈍かったりする。真宵ちゃんの体とは言えそこら辺は俺の能力で結構なハンデにもなる気がするし多くに囲まれたりでもしたら、正直なところ自信はない。


「(――い、……ぱい……先輩!)」


「(うわっ、びっくりした。どうしたの?)」


「(聞こえてるならさっさと三回回ってワンと吠えてください)」


「(えっ、いきなり過ぎやしないかな!?)」


 びっくりだよ。まさか呼び掛けられたと思ったら三回回ってワンと吠えろだなんて。


 仕方ないので真宵ちゃんの体を無理矢理動かす。


 1歩2歩と助走をつけて斜め前に思いきりジャンプをし、ジャンプしている間に三回回りながらワンと叫ぶ。ジャンプした後に叫ぶのは、流石に恥ずかしいからね。


「(先輩なにやってんですかーーっ!)」


「(いや真宵ちゃんが三回回ってワンと吠えろって言うから)」


「(いや、だからって何で意識の中ではなくて私の体で三回回ってワンって吠えたんですか)」


 そんなの勿論決まっている。


「(真宵ちゃんの体でやりたかったからだよ!)」


「(もういっぺん死にさらせ!)」


 何でだろう。今日はもう2回目だよな。今回は理不尽な気がするよ。どうやってるのかは知らないけど真宵ちゃんの意識によって蹴り飛ばされる感覚を味わうと同時に、俺の意識はそこで刈り取られた。






読んでくれてありがとうございます


亀のような投稿ペースですがお陰さまでアクセス数2500突破しました


次話辺りから少しずつ話が動き出すので1週間お待ちいただけたら幸いです


今後も『出戻り転生したらぬいぐるみ!?~俺を魔法少女と呼べるのか?~』をよろしくお願いします

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