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出戻り転生したらぬいぐるみ!?~俺を魔法少女と呼べるのか?~  作者: 凪狐うどん
1章 魔法少女、始めました
4/12

2話~邂逅と説明と~

「そうですか。先輩、生き返っちゃったんですか」


 俺が交渉を持ちかけた後すぐさま蹴られた俺は、俺に起きたおかしな出来事を聞かれた事は全て包み隠さず語った。


「真宵ちゃん。いくら何でも生き返っちゃったって酷くないかい?」


「私としては、私のぬいぐるみに乗り移った事の方が酷いです」


 そしてこの有り様である。いや、ね。いくら何でもこの対応は流石に酷いと思うんだ。

 俺だって好きでぬいぐるみに転生した訳ではない。むしろぬいぐるみではなく人になりたかった。でも慣れなかった。



 閑話休題(ちょっと一休み)



「それで、先輩の手助けをする事が紗智を守る事に繋がる、と」


「そう言う事」


「馬鹿ですか?」


 またしても一蹴された。今回は実力行使でなかっただけマシだろうか。そうしておこう。


 だがな。俺はそう簡単にめげないんだよ。


「第一先輩が私のぬいぐるみに乗り移ったのと、私が戦うのって関係ないですよね」


「確かに関係ないようにも思える。でも1つだけ重大な事実があるんだ」


「悪魔祓いですか? じゃあ先輩を処分します(祓います)ね」


「やめて!? そう言う事じゃないからね」


「じゃあ何です? まともな事を言うなら聞きますけど」


 よし、今度こそヒットしたな。なら後は引き上げるのみ……!


「俺と真宵ちゃんが一定の距離を離れると俺の意識は真宵ちゃんに入るんだよ」


「ちっ」


 舌打ち!? 今舌打ちしたよこの子!


「あのですね先輩。構ってほしいのは分かりますけど、嘘を吐くならもう少しまともな嘘を吐いてください」


 あれー思った以上に信用されてない? おかしいな。だって真宵ちゃんのぬいぐるみに乗り移ったというトンデモ現象が起こってるのに信じてくれない。


 真宵ちゃん……恐ろしい娘……!


 と、ふざけてる場合じゃないね。言ってダメなら行動で、だ。

 幸い真宵ちゃんは顔を洗いに行こうとしていたところを止めた訳だし、すぐに証明可能だ。


「じゃあ先輩はそのまま動かないでいてくださいね。もし1歩でも動こうものなら先輩の存在を焼却しますから」


「怖い! さっきもそうだけど方法があまりにも具体的過ぎて怖いよ!」


 何? 真宵ちゃんぬいぐるみが好きじゃなかったの?


 だってさっき俺が目を覚ました場所の周りには巷で人気の曜日の妖精。通称、『曜精』のぬいぐるみや大人気ゲームヤケモンのキャラクターのぬいぐるみ等所狭しと並べられている。


 俺はその中でも数少ない現実の動物で三頭身にデフォルメされた針ネズミのぬいぐるみに転生した訳だが、その数少ない種類の(動物のぬいぐるみ)を焼却処分しようとするとは……。いやはや恐ろしい娘である。


 そう俺に死刑宣告して出ていった真宵ちゃんは、少し歩いたところでその歩みを止める。


 理由は単純。俺から離れたからだ。


 視界は先程とはうって変わって、位置が高い。


 元から俺と少ししか違わない真宵ちゃんの視界は、それでも新鮮味がある。

 何も知らなければ確実に混乱するけどな。


「(先輩。何で私の中に入ってきてるんですか)」


 頭の中に真宵ちゃんの声が響く。

 さっき説明して、そして真宵ちゃんが信じなかっただけなんだけどね。


「(そんな事はどうでもいいんですよ。私は誰の許可を得て私の中に入ってきているのかって事を聞いているんですよ)」


 誰って言われても、まあ神様だよな。正確には狐っ娘がほぼやってたけど。

 後気になるのが俺の頭の中で真宵ちゃんの声が鳴り響いている事だな。結構ガンガンと響くものだから頭痛と似たような現象が起こってる。


「(落ち着いてよ真宵ちゃん。俺だって好きで真宵ちゃんと一緒になった訳じゃないんだよ)」


「(なんかその言い方結構ムカつきますね)」


 真宵ちゃんの罵倒がストレート過ぎてツラい。


「(知らないですよ。そんな事)」


「(ねえ、真宵ちゃん。さっきから俺の心の声を読むのはやめようか)」


「(読んではないです。ただ聞こえてくるだけです)」


 えー、じゃあ真宵ちゃんで卑猥な妄想でもしてみよう。


 そうだな。例えば純粋なエロと言う事で触手責めとかかな。でも真宵ちゃんは日焼けしてるからな……。練乳をぶっかけるのもいいかもしれない。日焼けの小麦色と練乳の白濁――


「先輩の馬鹿ぁぁぁっ!」


「(ぐふっ……!?)」


 突如として謎の衝撃が俺を襲う。


 えっ、どうやって衝撃を? と思ったら真宵ちゃんは自分で自分の頭を壁に叩き付けていた。


「(真宵ちゃん。頭から血は出てない? 女の子なんだから大切にしないとだよ。変な事考えたのは謝るから)」


 感覚としては繋がっているものの、体のコントロールは真宵ちゃんが気を抜いている時以外はそうそう出来ない。そのため今のような不意な行動には間に合わない。


 そして真宵ちゃんは何気に簡単にケガを作ってくる子だったのでこれは注意していないと危ないだろう。俺が痛みを感じるのも、真宵ちゃんがケガをし続けるのも見逃せないからな。


「(大丈夫です。このくらいじゃケガとかしません。頭、鍛えてますから)」


「(あっ、そう?)」


 まさか鍛えてますからって返ってくるとは思わなかったよ。それに頭を鍛えるって勉強をするって意味で、真宵ちゃんが言いたかったのってまさか石頭って意味の方?


「(先輩。そろそろぬいぐるみに戻ってください。それから私と意識が一緒にならないぐらいに離れてくださいね。もしそれを破ったらその四肢1本1本を捻り抜きますから)」


「(分かった! 分かったから相変わらずその怖い例えやめて!)」


「(…………先輩。何で戻らないんですか)」


「(真宵ちゃん。俺近付かないと戻れないから)」


「(はぁ……つくづく面倒な人ですね。先輩って)」


 ため息を吐きながら罵倒される。おかしいな。何でこんなに俺不遇な目にあっているんだろう。


 真宵ちゃんがぬいぐるみに向かって少し歩いてくれたので意識をぬいぐるみに向けてジャンプするイメージを作る。

 そして――


「よし成功」


「じゃあ先輩。さっさと私から適度な距離を保ったまま着いてきてくださいね」


 ――この真宵ちゃん。かなりのスパルタであった。





 

次はまた1週間後に更新です。

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