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アネモネデイズ  作者: 田中優希
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4.昼食に思い出すは

キーンコーンカーンコーン

学校に昼を知らせるチャイムが鳴り響く。

先ほどの授業をまとめていた僕は机とにらめっこだったが、チャイムが聞こえたためノートを閉じた。

(さてと、お昼にするかな)

そう思うと前方に気配を感じ、顔を上げるとお馴染みの姿があった。

「春希。飯食おうぜ!」

笑みの琢磨。なんでこんなにご機嫌なんだよ。

「うん。いいよ。食べようか」

そう言い傍にあった机を移動させ向かい合う様に座り琢磨と昼食を広げる。

「俺今日から弁当なんだ」

「まじ?春希購買だと思って俺弁当持ってきてねぇよ」

「悪いね。母さんが弁当の方が安いって聞かなくてさ」

1年生の時はずっと購買で済ましていたが、いかんせん購買のみで高校生が満足できる量となるとそれなりにお金が掛かる。それを見かねた母が弁当を作ることになった訳だ。

「はぁ、仕方ねえ。買ってくるか」

「いってらっしゃい。戻ってくるまで待っててやるからさ」

「おう。すぐ戻ってくるわ!」

そう言い琢磨は購買へとダッシュしていった。

琢磨が帰ってくるまで暇になり、やることがなくなった。

(トイレでも行こうかな)

そう思い立ち上がろうとしたとき後ろから声を掛けられた。

「船橋君!西君も一緒だよね?よかったらお昼食べよう!」

ビックリし振り向くと雪乃が堂々と立ており、その後方に転校生の川瀬あかりがいた。

「え?い、一緒に?」

「そうだよ!約束したじゃん。一緒にたべるって!」

「そ、そういえばそうだったね。あはは、、、」

「もしかして覚えてないの〜」

「お、覚えているよ!」

雪乃がグイグイと近づき、ジト目で睨んでくる。

もちろん約束は覚えている。覚えているけど、、、。

川瀬あかりの表情を見るとにこやかしている。そういえば約束した時も同じような表情をしてたな。



――――――新学期当日の下校時。

「さぁ、立場話もなんだし、さっさと帰ろうぜ」

「おーー!!」

その言葉に掛け声の後、僕たち4人は教室を出て、学校をあとにした。

いつもの帰り道だがなんだか緊張するな。

先頭は琢磨と雪乃が話しながら歩いている。

そうなると僕は転校生。もとい、川瀬さんと横並びになる

(何か話さなくちゃ、、。)

そうは思ってみても会話が思いつかない。我ながらこういう時のコミュ力を疑う。

はぁ。このままじゃだめだ。何とかしないと!

「あ、あのさ!「あ、あの――」

「「あ、、」」

会話が被ってしまった。

(この場合やっぱり譲るべきかな)

「か、川瀬さんから話していいよ」

「ううん。船橋君の方が先だったから、ど、どうぞ、、」

焦っているのか動揺が隠せていない。しかも顔赤くなってるし。

「じゃ、じゃあ、僕から。川瀬さんはその、ゆ、雪乃と同じ幼稚園らしいね」

苦し紛れに出た会話だった。共通の話題はまだ雪乃しかないから当然と言えば当然か。

「そうだよ。幼稚園卒業までずっと二人で遊んでたんだ。だから今日会ってとっても驚いたんだ!」

「新しい学校で友達ができるか心配だったけど、雪乃ちゃんがいたから安心したよ」

彼女が嬉しそうに話している。その笑みに釣られ僕も思わず笑みがこぼれる。

「へ〜。そうなんだ。」

適度に相づちを入れる僕。もしかして川瀬さんはおしゃべりな方なのかな。

「あ、私、船橋君の事も知りたいな」

「え、僕の?」

急な言葉に動揺する。今まで雪乃の話だったのに?と言うより普段の僕って何してたっけ!?

「船橋君は何か趣味あったりするの?」

(趣味か、、)

あまりないと考えていると昨日の夜空が思い浮かんだ。そうだ僕はよくあの場所で夜空を見てる。

「趣味って程じゃないけど、夜空が好きかな」

「へぇ〜。夜空か〜。私ちゃんと見たことない」

「この辺りに良く見える場所があるんだ。今度案内しようか?」

つい口走ってしまった。(なにいってんだ僕は!)

いきなり誘うのはいくらなんでもと後悔していると

「うん。案内よろしくね。えへへ。楽しみだな〜」

川瀬さんがあっさりとオーケーしてくれた。僕は唖然とし立ち尽くしてしまった。

「おおーい。お二人さん!楽しそうだね〜」

(――はっ)

雪乃の声で我に返る。

「ま、まあね」

赤面で僕は言葉を返す。

「皆さん仲良くなったことですので、今度はみんなでお昼を食べましょうぞ」

「お!いいぜ!」

雪乃の提案に琢磨が乗っかる。全くコイツ等はすぐに物事決めて、、、

「あかりんもいいよね?」

雪乃が川瀬さんに問いかける。

「うん、いいよ。たのしみだな〜」

その時の彼女の表情はにこやかとしていた。



――――――そして現在琢磨不在の中雪乃と川瀬さんとお昼を共にしている。

「でさー、この前こんなことがあってさ―」

「えぇ〜。大丈夫だったの?」

女子同士会話が弾んでいる。気まずいってもんじゃない!

(琢磨〜。早く帰ってきてくれ〜)

そんな僕の願い悲しく琢磨は昼休憩終了のチャイムが鳴るまで教室には帰って来なかった、、、。

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