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アネモネデイズ  作者: 田中優希
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3.初めまして、川瀬あかりです。

「か、川瀬あかりです。よろしくお願いします、、」

彼女がそう言い放った教室はとても静まりかえり、しばらくの静寂の後どよめき始めた。

「か、かわいいー!!」

「え、モデルさんなの?ちょーかわいい!!」

一斉に興奮状態となる教室。それもそうだ。綺麗な黒髪ロングに対し透き通ったような白色肌、くっきりとわかる可愛らしい目。恥ずかしがり屋なのか自己紹介の声は若干上ずっていた。絵にかいたような大和撫子の女の子だ。

(へー。確かにかわいいなぁ)

僕も皆と同意見だった。

(だけど、なんだか、、、)

心に引っ掛かるものがある。何かはわからない。だけど何か引っかかる。

「え、、。いや。何もしてないだだの人ですよ、、。」

顔を隠しながら恥ずかしそうに返事をする転校生。

そんな仕草にB組の皆は釘付けとなっている。そんなとき。

「もしかして、あかりん!?」

ガタッと椅子から立ち上がり叫んだのは塩原雪乃だった。

「え。なんでその名前で、、」

困る転校生。また塩原もとい、雪乃が無駄絡みでもしたのかと思っていると。

「私だよ!雪乃!塩原雪乃だよ。幼稚園で一緒だった!」

「雪乃、、。」

しばらく考え込む転校生。数秒後何かを思い出したのか

「あ、あぁーー!雪乃ちゃんか!懐かしいー!」

「思い出してくれたー?懐かしいねー」

そんな会話が教室を占める。その後担任が口を開いた。

「ん?塩原知り合いだったのか。なら塩原、川瀬にいろいろと教えてやってくれ」

「はーい。任せてくださいな!」

勢いよく返事をする雪乃。なんだか顔がすっごい二ヤけてるな。

「それじゃ、川瀬は開いてる一番後ろの席に座ってくれ。」

「は、はい。」

担任の呼びかけで転校生が移動し始める。

教卓から一番後ろの席に行くにつれ、皆が振り向き彼女を見つめる。

僕もつられて彼女を見る。するとその瞬間目と目があった。

(あ、、、。)

「おーし。転校生も紹介したし、ホームルームを始めるぞー」

担任が仕切り直す。その一言で僕は前へと視線を戻した。

しかし、その後のホームルームの内容はまるで覚えておらず、彼女の姿のみが頭の中を駆け巡っていた。



ホームルーム終了後、特に授業もなく帰宅するだけとなった。

転校生はと視線を向けると雪乃と話していた。

やはり幼稚園の時の友人ともあり、懐かし話に華を咲かせているのだろう。

「おい春樹。一緒に帰らないか?」

琢磨が僕の机まで来て声を掛けてきた。特に予定もないし、、、。

「いいよ。帰ろうか」

そう言い、カバンを担ぎ教室教室から出ようとしたとき

「あ、おおーい。西尾君、船橋君!」

元気いっぱいで大きな声により呼び止められた。

振り返ると雪乃と転校生がカバンを背負いながらこっちへと向かってきた。

「先に帰るなんて寂しいではないか。一緒に帰りましょうぞ!」

「え、、、。」

僕は少し答えに詰まってしまった。別に雪乃と帰る事に抵抗があるわけではない。1年の時にも話したこともあったし。琢磨もよく雪乃と帰ってる。いつもならば問題はない。しかし、今日は隣に転校生がいる。

「えぇ〜。ダメなの?それとも、転校してきたあどけない女の子を一人でかえらすの〜?」

雪乃が嫌味染みたことを言う。

「別にそんなことはないけどさ」

僕はすかさず否定する。僕はそんな小さなヤツではない。

すると転校生がモジモジと話し出した

「や、やっぱり悪いから私はいいよ、、」

気を使ってくれたのか遠慮気味になっている。

「だめだめ!あかりんも一緒に帰るんだよ!さっき早くクラスの人たちと仲良くなりたいって言いってたじゃん!!」

「で、でもぉ〜」

そんなやり取りをしていると

「いいよ。帰ろうか」

琢磨が口を開いた。

「おぉ〜。西尾君!話が分かるね〜」

雪乃がご機嫌となっている。またシッポがブンブンと振れてるのが見える。

「俺は西尾琢磨。よろしくな。んで、こっちが春希だ」

「ふ、船橋春希です。よ、よろしくね」

急な自己紹介で動揺してしまう。どうも自己紹介は苦手なんだよな。

「川瀬あかりです。こちらこそよろしくお願いします」

そういってにっこり笑う彼女。やっぱりかわいいな。

「さぁ、立場話もなんだし、さっさと帰ろうぜ」

「おーー!!」

その言葉に雪乃が乗っかり、僕たち4人は教室を出て、学校をあとにした。

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