1.高校2年の新学期の朝
「やっぱりここは綺麗だなぁ~」
夜の春風が心地よいこの場所に僕はいる。
辺りはすっかり暗くなり夜空が綺麗に見える。
「おい春希。明日から新学期だぞ。さっさと帰って準備するぞ。」
後ろから声が聞こえる。振り向かなくてもわかる。どうせアイツだ。
「僕はもう支度は終わってるよ。出来てないのは琢磨だろ?」
「っんな!?」
琢磨が慌てた表情を見せる。まさか本当にそうなのかよ。
つっこむのも面倒なので会話を次へと繋げる。
「あはは。冗談だよ。わかった。帰ろうか」
「へいへい。」
琢磨と並びながら帰路につく。
そう。明日から新学期。高校2年生生活が始まる。
「春希〜。今日から学校でしょ〜。早く起きないと遅刻するわよ〜。」
午前7時。一階から聞こえる母の声で僕は目が覚めた。
「ふぁ〜。わかった〜。今起きるよ」
眠い目を擦りながらベットから起き上がり、窓のカーテンを勢いよく開ける。
とうに上がりきった朝日が部屋を照らすと同時にまだ光に慣れない僕は目を強くつぶった。
「・・っうわ」
だんだんと慣れ始め、外の景色を眺めると木々が桜色に染め上げられている。
その景色を見て再び確認する
(あぁ。春になったんだなぁ)
ついこの間まで冬だったのに、月日が流れるのは早いものだ。
そんなことを考えていると再び、一階から声が聞こえた。
「春希〜。早くしないと朝ごはん片付けちゃうわよ〜」
なかなか降りてこない僕に母がさらに呼びかける。
「はーい。今行くって!」
早く行かないとな。そう思い早急に部屋から出る。一階に下りれば朝食が用意してあった。
母はゴミを片付けながら僕に言った。
「早く食べちゃてよね。もう」
「はいはい」
返事をして机に並べられた食事に目を落とす。何の変哲もないトーストと目玉焼き。
これが我が家の朝食だ。
(相変わらずいつも通りだな。はは。)
いつもと変わらない家庭に少し笑顔こぼしながら椅子へと腰を掛ける。
「なに笑ってるのよ。早く食べちゃいなさい。今日から新学期でしょ?」
「はいはい。新学期ですよ〜」
今日何度その単語を言うのかと思いながら返事をする。
「それじゃ、いただきます。」
そういって僕は朝食を食べ始めた。