何をしたって結局は 2
別に何したいわけじゃない。過ごしたい日々を過ごしたい、だなんて意味の分からないことをやりたい。唯一の親友は分かってくれた。それなのに、どうして教室にただ居るだけの奴らは分からないんだろうか?謎なぞを出されてる気分だ。
「あ、えっと……よろしくね?」
転校生の声が遠くで聞こえる気がする。そもそも、無理に心にもないこと言わなくて良い。だって、仲良くなんて出来るわけがないし。きっと親切な誰かが言うんだろう。ーーこいつと仲良くしなくて良いーーってね。
「24番、咲菅 雅。趣味はサッカー。ヨロシクな!」
重い空気を破り、笑顔を向ける雅は無自覚のプレイボーイ。そして、空気は読めないが俺の理解者であり親友だ。これには英離もぎこちない笑顔を変え、少女マンガで何かしら模様がつきそうな笑顔を見せる。
周囲の奴らは情けないほど鼻の下をのばして英離のキラキラ笑顔を目に焼き付けている。ああ恥ずかしいったらありゃしねぇ。
「隣、よろしくね!」
何が起きたんだろう。英離は俺の隣の席に着席した。迷惑すぎる。何でまた俺の隣だよ。お前を待ってる奴はその辺に腐るほど居るぞ。約20人ほど。
「あー、菊斗?お前大丈夫か?」
大丈夫に見えるか?見えるんならとんでもない目をしてるんだな、雅は。
「遅くなりましたが出欠とりますよ!前を向いて!」
ヒステリック教師が金切り声を上げると、盛大な音を立てながら席に着いていく奴ら。さっきまでのヘロヘロな情けない姿はどこへ消えた。
「……坂口菊斗!もう、23番坂口菊斗は居ないんですか?!」
あ、もう呼ばれてたのか、気がつかなかったぞ先生。
「坂口菊斗出席してます」
この先生は好きじゃ無い。出欠確認の方法が面倒だから。
「24番咲菅雅!」
「ウッス!出席してます!」
……元気が良いのは良いことだ。
本当にもう、厄年の厄日だな。