後輩と秘密の制作
ああ、どうしよう……。
「ああ、おい。PC部のは書けたのか?」
「い、いえ……」
「お前なぁ。忘れ物はダメだろ。みんなはちゃんと出してるんだぞ?おかしいだろ」
(もう聞き飽きたし……おかしいとか、普通は生徒に言っちゃダメだろ。
つか、私が作ってたわけじゃないんだから知らないよ……)
いつも、担任は忘れ物をした生徒におかしいとか言う。つば飛ぶし、デブだし。
はっきり言うと、私はこいつが苦手だった。人のこと否定する前に自分の人生見直せってよく思う。
そんなことを考えたとある1月の金曜日の朝のことだった。
「部長なんだから、しっかりしろよ」
「うん……はい」
ついタメで言っちゃうけど、その後すぐに敬語に戻す。そんな自由な女の子が私だ。
眼鏡をかけたデブの宮澤先生は呆れた口調で説教する。その言葉を私は右から左へと流す。
(あーもー、わーった。わーったよ。煩いからはやくいけー)
そんなことを思っていた。その内宮Tー涼宮ティーチャーの略ーは話し終えたのか教室に戻っていった。
「はぁ……」
(コトキに今日訊かないとな……。うわぁ、面倒くさい)
コトキとは、私が所属しているPC部の一年生部員の一人だ。ちなみに今日の忘れ物は、部活紹介文だ。
なんの意味があるのか、毎年ウチの学校の生徒と部活の紹介文を書いてそれを束ねて配布するのが恒例になっている。
(死ねばいいのに……。うん。ホント、死んじゃえ)
無機物に死ねと言っても生きてすらないと言われるだけなのに何度も頭の中で呟く。
分かってても言ってしまうのは、生物には使っていないから。
教師なんてみんな大っ嫌いだけど、死んじゃえなんて思わない。
学校から消えちまえとは思うけど。
こんなことを思うようになったのは、いつか何かに書こうと思う。うん。
「〜♪〜♪……あれ、歌詞忘れた」
別に機嫌が良かったわけではない。ただ、歌ってしまう。私の癖だ。
PTO関係なく歌ってしまうから、よく誤解される。
(まあいいや。えっと、次何だっけ…)
朝は、結構楽しかったのに。
「……あ、ユーコおはよー!」
「あ、おはよーナオカ」
「ユウコ、明日オッケーだって」
「え、マジ?やったー!明日10時まで病院あったから昼過ぎが良かったんだよねー」
「あー…ならよかったね。一時で」
「うんー」
子どもと話すとき、私は笑顔を絶やさない。これも癖。
いつからか、素でいられる時は独りの時だけになった。
ネットでも、時々仮面をかぶってしまう。いつかは治したい。
ちなみに何がオッケーだったのかというと、
ボランティア体験の際紙芝居をとあるデイサービスにて使ったのだが、
それをそこに上げてしまったので返してもらいに行こうということだ。
そんなこんなで朝一番初めの鐘がなる。
それまで談笑していた私達も、
廊下にいた生徒たちも自分の席に座り本を読み始める。
(あ、また本忘れた。そろそろ買わなきゃいけないな……)
そんなことを思いながらも、私は教室にある本を取り席に座る。
席は後ろから三番目の窓際だ。柱で窓ないけど…。
ウチの学校はダテメは禁止されてる。が、私は堂々とPC用のメガネを使ってる。
世の中とは進歩したものよ。とよく思う。じじくさいけど。
この後にデブ先、宮Tに怒られた。ホント、最悪だ。
後輩に任せた私の自業自得だけどね。割り切れないのが中学生ってものだ。
お陰でずっと機嫌悪かったよ。
四時間目と給食を終えて昼休みになった。
「えっと、ええっと……あ、そうそう!」
私は急いで相談室に向かった。
いや、本当はコトキのいる1-Eに行かなければいけないのだが……
男に会いに行くなんて少し恥ずかしかった。なので近い相談室だ。
相談室は一年の下駄箱前にあって、
そこの扉を開けるといつメンの三年生たちと特別学級の生徒もいる。
「エンドーちゃぁん!!どーしよっ!」
「んー、なにー?」
ポッチャリンな女のカウンセラーのエンドウちゃん。吹奏楽のコーチをやっている。
「一年にかしわせい