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 神話には、この世界は三柱の男女神が創造したとあります。

 そのうちの男女二柱の神が夫婦となり、残り一柱の男神が残りました。

 そのあぶれた男神がひねくれて邪神となり、二柱の善良なる男女神と敵対している、と。

 あれですね…。恐らく邪神は夫婦になった男女神を見て、「リア充、うぜえええぇぇぇ!」と思ったのかどうかはわかりません。

 とにかく手の付けられない不良となって、現在に至る、と。

 その気持ちはわからなくもないのですが、皆さんは他人に迷惑をかけては駄目ですよ?

 その鬱憤の矛先が巡り巡って、まったく関係のないわたしに回って来たのですから。

 再生しては、邪神の気まぐれで殺される。

そして、また再生しては殺される、そんな日々の繰り返しです。

 今日もわたしは、邪神の創ったこの箱庭世界で死をまっとうしています。

 毎回死に方も様々なので、飽きることはありません。

 自分の死に方ながら、こんなに色々あるんですね、と感心せずにはいられません。

 次はどんな死に方が待っているのでしょうか?




 ちょうどオオカミの群れに遭遇し、襲われて血みどろになっている時でした。

「ちょっと、邪神! 出て来なさいよ! ここにいるのはわかっているのよ?」

 どこからか若い女性の声が聞こえてきます。

 いけませんよ。こんな危険な森の中に若い女性が一人で歩いていては。

 と、言っても、わたしは草の上に横たわって動けないまま、オオカミの群れに取り囲まれているのですが。

 俗に言う、万事休す、といったところでしょうか。

 こちらも折角死ぬのですから、出来ればオオカミたちにはおいしく食べてもらいたいところです。

 草を掻き分ける音は、こちらに近付いてきます。

 こっちに来たら、危ないですよ? 凶暴なオオカミの群れがいますよ?

 そう言おうにも、わたしの喉は血まみれで、声を出すことが出来ません。

 風に似た低い音がかろうじて出るだけです。

「ユウくん」

 若い女性がわたしを見つけて、わたしの名前を呼びます。

はっと息を飲む気配がしました。

 草を掻き分けて、こちらに駆け寄ってきます。

「邪魔よ、どきなさい!」

 まばゆい光と轟音が響きます。

 オオカミが哀れな鳴き声を上げて、逃げていく音が聞こえます。

「ユウくん、ユウくん、しっかりして!」

 少女がわたしに駆け寄り、抱き上げる気配がします。

 けれどわたしは、もう血を流し過ぎて、意識も朦朧としています。

 少女の顔を見ることなく、わたしは意識を手放しました。

 その少女とはどこかで会ったことがあるような気がします。

 はて、どこだったでしょうか?

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