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プロローグ

虚しい。

こんな感情、どこから来るのだろう。





新島冴栄(にいじまさえ)。22歳。一人暮らし。

同じ県内の少し離れた所に、家族が住んでいる。ジョークの苦手な父、大らかな母、天真爛漫な妹。どこにでもある普通の家庭。月1回は実家に帰って父とお酒を飲んだり、母と買い物をしたり、高校生の妹の勉強を見たり。本当に普通の、仲良し家族。



フリーターでアルバイト生活。その事にも不満はない。

大型ショッピングモールの中の飲食店で、接客業を楽しんでいるし、店の人も良い人ばかり。

一人暮らしなのは、ここが店に近くて家賃が安いからだ。小高い丘のてっぺんに建つ2階建てアパートの1階。アパートの裏は絶壁になっていて、1階に住んでいるのに高層ビル50階位の高さから街を見下ろせる。この景色も付いてくると考えたら、提示された家賃は破格と思えた。



友達もずば抜けて多くはないけれど、本音で話せる人が何人かいる。それで十分。

かと言って、他の人と友好関係が築けない訳ではない。至って普通に人付き合いができる方と言えるだろう。

今日もさっきまで女友達の家に男女7人が集まって宅飲み。美味しい手料理と美味しいお酒。愚痴や悩みや惚気もつまみに盛り上がった。

別れ際、今度は冴栄ん家でしよ、と言われて、OK、夜景分も合わせて高く金取るよ、なんて言いながら楽しい気持ちで家に帰ってきた。





それなのに今こうして、ベランダで夜風に吹かれながら、缶酎ハイを飲んで眼下に広がる夜景に目を落としてふと、虚しいという言葉がよぎったのは何故だろう。

毎日大した不自由なく、寧ろ満ち足りて過ごしているのに、何もない気がしているのは何故だろう。

何てことない見慣れた景色の無数に広がる小さな灯りを目にして、鼻の奥がツンとするのは何故だろう。

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