魔力の限度
きっ鬼畜過ぎる…………
ペプラは俺に回復魔法の能力があるって言ってたよな?
もうかれこれ20人ほどにフェクトをかけてきたが、誰一人喉の痛みや腫れが収まる人はいなく、
みんな揃って怒りながら帰って行った……
呪文もザイックス・エラストートで合っているし……
ペプラめ何だよ騙したのかよ。
他の世界から無理矢理呼んどいてこのザマか。
くっそ、今からあの城に行って聞いてくるか……
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
今いた病院から城まではそこまで遠くはなく、徒歩10分掛かったか分からないくらいだった。
「あっペプラ様、ラギア様がいらしてます」
「おお、ラギア様、どういったご用件で?」
「どうもこうも、魔法が使えないんだよ! 魔力? 本能? そんなの知らないけど俺は魔法が使いたいんだよ!」
俺は一体国王に対して何を言っているんだろうか。
反省の気持ちが込み上げるが、これは何か理由があるはずだ。それを追求しなくては。
「ふむ、魔力の問題しかあり得ないかと。一度部屋に戻り、調査します」
「今日は外出をやめにする。急用が出来た」
そう言い、ペプラは俺を王室に連れて行った。
「そこに座ってくれ」
俺が椅子に座るとペプラは内ポケットからペンと紙を出し、机に置いた。
「私達王族は魔力を自由に使える、と言いました。ラギア様も回復魔法の能力はあるのですが、王族ではないため魔力の限界があるのです。
この世界に来たことで、魔力は必ず体に入ってきます。
あなたは回復魔法の技術が本能的に備わっているため、必要な魔力は最小限のはず。
この世界にもう少し慣れる事で魔力が体に取り込まれるはずです。
一応あなたの他の能力も確認するために私の“アナライズアビリティ”で、HP,《体力》MP,《魔力》MAT《魔法攻撃》DEF,《耐力》を
診てみます。」
そう言うとペプラは目を閉じ、精神統一と思われる行動をとって奇声をあげた。
「キェェェェェェェェェェェェェェェ!」
しばらくしてから目を開けて持って来た紙に何かを書いて行った。
何故かペプラの顔は驚いたを通り越し、驚愕した顔であった……
ペプラは紙を俺に見せてくれた。
その紙にはこう書かれていた。
HP100
MP50
MAT500
DEF100
まずステータスを見て気付くのは魔法攻撃力の高さ、これだろう。
「もっと詳細なステータスって分かるんですか?」
「まああるのだが使っていない。ただもう気付いたかもしれないが、魔法攻撃力、この数値はおかしい」
「と、いうことは薬局よりも戦線に出た方がいいのでは?」
「いや、この能力はラギア様の潜在能力として心に閉まっておいた方がいい。
この魔力をもしアナライズ能力を持った魔物が見つけたらラギア様を本気で殺しにかかるだろう。もし襲われそうになったらその能力を爆発させるのだ」
「では、魔力については?」
「魔力は王族平均より低い様だが、充分魔法を使える魔力だ。
もう少し魔力を磨けばフェクトの上位魔法も使えるぞ」
「魔力ってどうやって磨くのですか?」
「磨くというか、呪文を強く念じたり、普段から呪文を頭に思い浮かべたりするのです」
今日は収穫が多いな。魔力を磨く、とかもやってみたいし、切り上げるか……
「今日はありがとうございました。新しいことも知れたし……」
「また何か困っていたら来てくれ………………あっ城に行くのは面倒かもしれないので何かあったらここへ行くといい」
ペプラは地図を渡してくれた。今度寄ってみるか……
「こんなことまで……本当にありがとうございました」
色々考えたいのでそそくさと家に帰る俺だった…………