王国
俺は死を迎えるのか……
天国に行く途中に。これで二回死んだんだ……
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ショックによってか俺は、気を失っていたようだ。
というか俺、生きてるのか?
目を開くと、俺はさっき螺旋階段で見た戦いをしていた場所の遥か上空にいた。
手の温もりを感じ、俺は直ぐに気づいた。
人が俺を抱えている。
しかしこのような上空を飛ぶということはこの人は羽でも生えているのだろうか?
それも束の間、俺に話しかけてきた。
「大丈夫か?お前」
「気を失って……あなたは誰ですか?」
「俺は、アルカナ・ルキアだ。お前の名前は何だ?」
「俺は、その……忘れたんです」
「そうか……まあよくあることだ。お前は今日から……ラギアでいいな。」
「何であなたが勝手に決めるんです?」
「それは俺達がお前を呼んだからだ」
言い方といい、男なのだろう。
この男がそう言い、しばらくすると、草原の様な世界が広がっていた。
「あ、さっきまで魔物と戦っていたのに……」
「いろいろ分からない事がありそうだけど、家の親父に聞けばいい。ああ、もう一時間飛んだか、そろそろだな」
草原はどこまでも広がっており、街なども見えてきた。
さっきまでは命懸けで魔物と戦っていたのに随分と呑気なんだなと小声で呟いたのだった。
「下りて行くぞー」
男が飛んでいる真下周辺には城の様な建物があった。この男は王の息子だったりするのか?
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久しぶりに地に足をつけた。
自分の目の前は大きな城と、その城の入り口には兵士達が両側均等に並んでいた。
「ルキア様!お帰りなさいませ!」
兵士達が口を揃えて言った。
「ルキア様、守り人の方もこちらへお入り下さい!」
あれ?今この兵士達、守り人って……
そう呟こうとしたら、横でルキアは
「後で分かるから……」
と俺にしか聞こえない声でなだめた。
俺達二人は王の間を目指しているのか、真っ直ぐ歩いた先のものすごい豪華な部屋があった。
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王の間に着き、やっと王の姿が見えたか、というところであった。
ルキアはその王に父上……と呟いていたので王の息子だと確信した。
父上……の後何を言っていたかは分からなかったが、王が話した。
「よく来て下さいましたな、ラギア様」
「さ、様だなんてとんでもない!」
「いやいやラギア様はこの国を守るために遥々別世界から召喚したのですから」
「召喚!?」
「ラギア様は螺旋階段の様なところにいたでしょう?」
「はい、まさに螺旋階段でした。」
「あの螺旋階段は周りに五つの石碑があるんです。その石碑の中央にあの螺旋階段を設置することにより、そちらの世界の人間を召喚できるのです。
もっともドラゴンの激突によりあの階段は使い物になりませんが……」
「では何故あの螺旋階段の下ではあのように戦いが始まっていたのですか?」
「この世界では人間、ドラゴン、魔物がいます。魔物は私達王族の魔力でシールドを張り、こさせないようにしていますが、この召喚によって魔力を使い切り、魔物を入れてしまいました。その魔物を追い返すためにドラゴン、人間を総動員したのです。」
「何故そこまでして俺を……」
「世界も変わり、疲れているでしょう。宿、食事はこちらが用意します。話は明日にでも……」
「は、はあ」