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第27話 ― 王国の反応と影の組織

オークウェルの丘陵地帯から放たれた魔力の震動は、単に建物を崩落させただけではなかった。

それは、オーレリアン王国の『白亜の宮殿』における平穏をも完全に打ち砕いたのだ。

二日後に届いた詳細な報告書は、普段は壮麗で威厳に満ちた大謁見の間に鳴り響く、弔鐘のようであった。

今やその空間は息が詰まるほど重苦しく、古い羊皮紙の匂いと、高官たちが流す冷や汗の悪臭に満ちていた。

アルドリック国王は高い玉座に腰を下ろしていた。

その鋭い双眸は、王国の誇る秘密研究施設が『街の半分ほどの巨大なクレーターとなり、永久に凍りついた』という事実を告げる書類の山を睨みつけている。

「あの忌まわしい施設の稼働を許可したのは、貴様らのうちの誰だ?」

アルドリック王が、部屋全体を震わせるような低い声で問う。

その言葉の一音一音に、死刑宣告にも等しい脅しが込められていた。

「余の鼻先で火遊びをするほど、度胸のある愚か者はどこのどいつだ?」

作り出された沈黙はあまりにも濃密で、壁時計の秒針の音すらハンマーの殴打のように響いた。

二代の王に仕えてきた老臣、ヴァイリン宰相が、豪華なローブの下で膝を激しく震わせながら、ついに一歩前に出た。

「陛下、あの施設は……十年以上前の『土蛍グロウワーム』計画の遺物でございます」

「本来は、自然のマナの奔流を研究するだけの裏の事業であったはずなのです」

消え入りそうな声で、彼は囁いた。

「まさかヴァルン教授が一線を越えるとは、夢にも思いませんでした」

「最新鋭の魔力水晶でさえ計測できないほどの力を持つ存在から、子供を攫うなどと」

「これは純粋に、研究者個人の暴走による過ちでございます、陛下」

ヴァルトラにおいて、あの『災厄』の紫の瞳を直接覗き込んだ唯一の人物であるヴェイロン総司令官が、広間の中央へと進み出た。

彼は、オークウェルの完全な破壊状況を記した追加の報告書とスケッチを提出した。

「ただ『計測不能』というだけではありません、陛下」

「あれは『歩く虚無』です」

ヴェイロンが極めて深刻な声で告げると、周囲の将軍たちが一斉に彼を振り返った。

「我が軍の捜索隊は、クレーターの中心で一つの警告文を発見しました」

「絶えず脈動を続ける、紫色の水晶の薔薇です」

「それに触れようとしたり、破壊しようとしたりした者は、数秒で氷の彫像へと変えられてしまいました」

「彼女は我々と戦争をしているわけではありません、陛下」

「彼女は警告しているのです」

「もし次に彼女の所有物に触れれば、消え去るのは研究施設だけではなく、このオーレリアン王国そのものになるだろう、と」

アルドリック王は、木枠が大きく軋むほど玉座の肘掛けを強く握りしめた。

その瞳には、怒りと、自らが追い詰められているという事実への自覚が交錯していた。

「つまり貴様は、この王に膝を屈しろと言うのか?」

「領土の一部を平地にされながら、報復もせずに黙って見過ごせと?」

王は挑発的な口調で問いただした。

ヴェイロンは深く恭しい礼をとったが、その信念を曲げることはなかった。

「私はただ、明日という日を見るために生き延びるべきだと進言しているのです、陛下」

「彼女が王都を襲わなかったのは、今の彼女の関心が、ただ家族の平穏にのみ向けられているからです」

「もし今、軍を派遣すれば、我々は勝利を掴みに行くのではありません」

「全国民のための、巨大な集団墓地を掘りに行くことになります」

「我々は選ばねばならないのです」

「粉々に砕かれた矜持をとるか、それとも物理的な完全なる破滅をとるかを」

一方その頃、権力の中枢から何千キロも離れた場所。

太陽の光が一筋も届かない防音の地下室で、全く別の派閥が会合を開いていた。

そこに黄金の獅子の紋章はない。

あるのは長い黒のローブと、目を象った銀のブローチ。

秘密組織『永遠のリングカラン・アバディ』のシンボルである。

上座に座る人影は、鈍く光る赤い目を持つ黄金の仮面を被っていた。

青白い指先が、円卓の上でコツコツと音を立てる。

「ヴァルン教授は確かに便利な駒だった」

「だが、あのアークデモンを早すぎる段階で刺激した彼の愚行は、我々が丹念に組み上げた盤面を丸ごと焼き払ってしまった」

魔術で歪められたその声は、耳障りな不快な反響を生み出しながら呟かれた。

影の中から、銀の仮面を被った別のメンバーが、ひどく皮肉めいた口調で応じた。

「しかし、オークウェルの壊滅は我々に極めて貴重なデータをもたらしましたよ」

「彼女のマナは、間違いなく純粋で、そして古のものです」

「この王国が建国されるよりも前から存在していたであろう、何かです」

「あそこへ残存マナを回収するために、狩猟部隊ハンターを派遣しますか?」

黄金の仮面は低く笑った。

背筋が凍るような、感情の欠落した乾いた笑い声だった。

「馬鹿を言うな」

「オーレリアン王国には、我々の盾であり餌であり続けてもらおう」

「《呪われた森》を遠くから監視し続けろ」

「だが、決して物理的な接触は図るな」

「あの『災厄』が再び落ち着きを取り戻し、日常の中で油断するのを待つのだ」

「その時にこそ、我々はあの計り知れない力を手懐け、我々のものにするための隙を見つけ出せるだろう」

ここまで読んでいただきありがとうございます!


この物語の世界やキャラクターを少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

これからも少しずつ更新していきますので、よろしければブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!


今後ともよろしくお願いします!

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