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忘却の輪郭  作者: 雨香
第2章

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ep19 森の決戦・結びと刃

 森の空気が異様に重い。

 黒影と白光のぶつかり合いで、木々は粉々に砕け、枝葉は空を舞う。

 けいは導標を握り締め、全身に力を込めていた。


 縫はまだ完全には覚醒していない。

 体を震わせながらも、繋の手にしっかりと触れ、意識を集中させている。


 「縫、怖がるな。俺がいる!」

 繋の声が森に響く。


 黒影の塊が迫り、鋭く伸びる手が縫を貫こうとする。


 「けい、後ろ!」

 リセルが叫ぶも、時すでに遅し。

 黒影の手が縫の肩に触れる瞬間、導標の白光が爆ぜた。


 光が衝撃を受け止め、縫の体を覆い込む。

 黒影は一瞬押し返され、地面に叩きつけられる。


 「よし……!」

 繋が息をつく暇もなく、黒影が再び動き出す。

 圧が増し、森全体が揺れる。


 アサルが一歩前に出た。

 刃が鋭く光る。


 「――これ以上、猶予はない。」

 その声に含まれる冷酷さと痛みが、森の静寂を切り裂いた。


――――――――


 縫が目を大きく開く。

 体の黒光が白光に変わり始め、影の形が徐々に人型に近づく。


 しかし――


 黒影の攻撃は容赦がない。

 森を押し潰すほどの力で迫る。


 繋は導標を縫の前に構え、全身で光を流し込む。


 (これが……結びの力……!)

 導標の光が縫の体に絡みつき、黒影の力を徐々に押し返す。


 縫の体から白光が溢れ、黒影の輪郭が崩れ始めた。

 その瞬間、縫が口を開く。


 「……ケイ……結ぶ……!」


 その声に反応して、導標の光がさらに強く流れ込む。

 縫の体が完全に覚醒し、黒影はもはや制御できないほどの圧力を放つ。


――――――――


 アサルが刃を振るう。


 「まだ甘い……!

  名前を与えただけで抑えられると思うな!」


 縫は鋭い光を纏って飛び上がる。

 黒影の手を蹴散らし、森を押し返す勢いで対抗。


 繋も縫と共に導標を振るい、白光の盾を展開。

 森中の黒霧が吹き飛び、衝撃の波が木々を打ち倒す。


 リセルは震える声で叫ぶ。


 「けい……縫……二人とも、大丈夫!?」


 「大丈夫……絶対、守る!」

 繋は叫び、縫の手を握り締める。


――――――――


 アサルは刃を構え、静かに息をついた。


 「……こうなることは分かっていた。

  だが……あえて止める。」


 刃が空を裂き、黒影と縫の間に走る。

 だが、縫の白光はアサルの刃を受け止め、反射するかのように光を増幅させた。


 衝撃で森が大きく揺れる。

 枝や葉が飛び散り、地面は亀裂だらけに。


 その瞬間――


 縫の体が一層輝き、黒影の残骸を完全に消し去った。

 森は静かに息を取り戻す。


 「……終わったのか……」

 リセルが安堵の声を漏らす。


 繋は導標を下ろし、縫の肩に手を置いた。


 「大丈夫だ、縫。お前はもう、ナニカにはならない。」


 縫は頷き、黒光が白光に変わった体を揺らしながらも微笑む。


 「……ケイ……ありがとう……」


 アサルは深く息をつき、刃を鞘に収めた。

 目にはわずかに疲労と悲しみが浮かぶ。


 「……よくやったな、新人。

  だが、忘れるな。

  発見者として、これから何度も命を賭けることになる。」


 繋は深く頷く。

 縫の手を離さず、森を見渡す。


 黒霧は消え、森は再び静かになったが、二人が知っている――

 この戦いは“始まり”に過ぎないことを。

作者の一言

今回は少し短めです。許して!

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