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スキル鑑定

 私達は冒険者ギルドに連れてこられた。

 ここでは、クエストの発注に受注、冒険者としての身分証の発行、

 そして、冒険者自信のギルドに関する手続きを一手に取りまとめている。

 スキル鑑定もここなので、スキル次第では即スカウトなんてのもあるらしい。

 10才でギルドに所属なんてのもザラだそうだ。

 まぁ、有能株を逃したくないってことでしょうね。

「ここでのスキル鑑定はあくまでも生まれ持つ能力に過ぎません、

 いくら有能スキルを持っていたとしても、努力を怠れば堕落し、

 取るに足らないスキルであったとしても、努力を惜しまなければ、英雄となれるでしょう。」

 要はうさぎとかめみたいな物か。

 でも、こういうのって鑑定するものなの?

 ステータスとか唱えたら自分の能力とか確認できない?

「あの、ステータスを確認する方法はないのですか?

 そっちの方が鑑定するより、よっぽど早いと思うんですけど?」

「ステータス? 何ですかそれ?」

「いえ、なんでもないです。」

 この反応からすると、ステータスの概念は無さそうかな?

 自分の身体能力が数値化されたものを、可視化できたら便利だったんだけどなぁ。

「それではスキル鑑定に入りましょう。

 それではラルス君、この水晶に触れて下さい。」

 ラルス前に出て言われたように、水晶に手を触れた。

「強力、頑丈、短期修得、不屈ですね」

「アニキ、案外普通だな。」

 続いてアルスが前にでる。

「神速、英雄気質、成長限界突破!

 これは! 遂に勇者が誕生しましたか!」

 鑑定する人がアルスを見て興奮し、回りにどよめきが広がった。

 なんか胡散臭いなぁ…… 私は勇者なんて全く持って御免だわ……

 最近、勇者にいいイメージがないんだよね……

「どうよ? 俺の凄さがわかったか?」

「あー ハイハイ、スゴイスゴイ……」

 なぜ私にどやってくるんだ? めっちゃうっとうしい……

 なんか最近、アルスからの当たりが強い気がする……

 兄のラルスにもマウントを取ろうとしているし……

「怪力、鉄壁、成長限界突破ですね。」

 続いてサンのスキルが鑑定された。攻守良しの上に限りなく成長できるとかチートか?

 つまり、サンにも英雄の素質があるって事? 

「魔力精密操作、神に愛された少女、成長限界突破。」

 姉のサンが持っているなら、当然双子の妹も持っていても不思議ではないか……

 この二人なら、有名な冒険者になって活躍するんだろうな。

「かなた、次はあなたの番です。」

 最後は私のようだ。

 こういう時って何かとチートスキルを持ってたりするんだけど、

 私の場合はどうなるんだろう。

 私はみんなと同じように、水晶に手を触れてみた。

 表示されたスキルは全部で4つ……

「極集中力、絶対記憶、極想像力、魔眼」

 物騒なの来たなぁ…… なんだぁ? 魔眼って……

「なんだかなた? だっせースキルだなぁ?」

 うわぁ…… やっぱり来たよ……

 確かに一見、冒険者に関係なさそうなスキルのようではあるんだけど、

 これは捉え方の問題でしょうに……

「これで、子供たちのスキル鑑定は終了しました。

 おのおの、努力を怠ることなく、邁進するように。」

「おい、かなた、どうやらお前は冒険者にはなれないようだな?」

「なによ? まだ冒険者になれないって決まったわけじゃないでしょ?

 これをどう生かすかで変わってくるはずよ。」

「集中力と記憶力と想像力で何になるんだよ?」

「おいアルス! 言いすぎだぞ!」

「なんだよアニキ? アニキだって普通だよな?」

 ああ…… だめだ…… 自分が良スキルってなだけで、

 随分と天狗になってる……

 こういうのって自滅していくんだよなぁ……

「なんだよ! 生意気な目しやがって!」

「きゃぁ!」

 私はアルスに跳ね飛ばされて地面に尻餅をついた。

 確かに今までプライドの高いところはあったけど、

 こんなにも横柄は態度をとることはなかった……

「親父、俺はここで独立するぜ。」

「何を言っているんだアルス!」

「前々から気に入らなかったんだよなぁ!

 何かとラルスラルスラルス…… もううんざりなんだよ!」

 なるほど…… アルスはラルスと比べられることに憤りを感じていたんだ。

 私にはそういうのはわからないから何とも言えないけど、

 男兄弟ってそうやって比べられるものなんかな?

「おい、サン! ルナ! お前らもこっちにこいよ!」

 二人は私と目を合わさずにアルスの隣に歩いて行った。

「おい、サン! お前どういうつもりだ!」

「ごめんお父さん、私もかなたのことでうんざりしてたんだよね……」

「ルナ! お前もなのか?」

「うん、私にはかなたの事なんてどうなったっていいのよ。

 いい機会だし、私はアルスについていくわ。」

「じゃあな、アニキにかなた。

 ここで別れられて清々するぜ。」

 見下したような笑いを上げながら、アルスは出ていき、

 サンとルナもそれについて出て行った。

 仲がいい姉妹だと思っていたのに……

 そのように思っていたのは私だけってこと?

「すまない、アレク…… まさか、愚息があんなことをしでかすとは思わなかった……」

「いやロバート…… お前だけのせいじゃないさ……

 俺は三人の娘の仲が睦まじいと信じていたのは、間違いだったのか……」

 私はサンとルナから浴びせられて動揺していたが、

 同時に酷く冷静になっていた。

 普通なら泣きじゃくるところなんだろうけど、

 なぜか涙の一滴すら出ることがなかった。

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