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第5話 死に戻りが紡ぐ真実の結末

侯爵令嬢エリス・ヴァレンシュタインは、今日もまた処刑日の朝に目を覚ました。

だが、胸の奥に不安はなかった。

――死に戻りで得たすべての知識と経験が、彼女の手の内にある。


王都では、王子と聖女、そして北の地から現れた魔王候補が、一気に動きを見せていた。

王国の未来は、不安定な糸の上に揺れ動く。

だがエリスには、攻略のプランがある。


午前、王宮の大広間。

王子は真剣な表情で彼女を見つめる。

聖女も、かすかな動揺を隠せない。

魔王候補は冷静に、だが鋭い視線を送り続ける。


「侯爵令嬢エリス……今回の一件、君の目的は何だ?」

魔王候補が問う。


エリスは微笑む。

「目的は一つ――王国の未来と、私自身の生存。そして……真実の愛を選ぶこと」


その言葉に、王子の眉がわずかに緩む。

聖女の目が、驚きと嫉妬で揺れる。

魔王候補は、興味深そうに彼女を観察していた。


戦略はシンプルだが大胆だった。


1.王子との誤解を完全に解消し、信頼関係を築く


2.聖女の陰謀を事前に回避・牽制


3.魔王候補の力を、王国防衛のために利用


死に戻りで得た情報を駆使し、エリスは一手ずつ、王都の危機を回避していく。

暗殺者は全て無力化。罠や策略はすべてエリスの掌中にある。


「……侯爵令嬢、恐るべき策士だな」

魔王候補は、わずかに微笑む。

「君の死に戻りの力を侮っていたようだ」


エリスは微笑み返す。

「死に戻りは、無限の失敗と学びの積み重ね。だからこそ、私は負けないの」


夜、王宮の庭。月光が水面を揺らす中、エリスは王子と向き合った。

「王子殿下……私は、あなたを信じたい。ですが、世界の未来も、私の選択も大切です」


王子は彼女の手を取り、静かに答える。

「僕も、君を信じる。君の知略も勇気も、すべてを尊重する」


その瞬間、聖女は微笑む。敵意ではなく、諦めとも取れる表情で、戦いの結末を見届けた。

魔王候補もまた、彼女の決断を評価するように頷く。


そして、侯爵令嬢エリスは最後の選択をする。


――世界を救うか、

――真実の愛を選ぶか、

――あるいは両方を同時に手に入れるか。


「……私は、両方手に入れるわ」


死に戻りで得た知識、戦略、心理的駆け引きすべてを活かし、エリスは王国を破滅から救い、王子との愛を確かなものにした。

魔王候補もまた、敵としてではなく、王国の未来を見守る存在として共存することを選ぶ。


侯爵令嬢エリス・ヴァレンシュタイン――悪役令嬢として生まれ、死に戻りを経て、世界をハードモードで攻略した少女は、

ついに運命の頂点に立った。


「……さあ、次の挑戦も楽しみにしてあげるわ」

エリスの微笑みに、王都の闇も、運命の刃も、すべてが従うかのようだった。

お読みいただきありがとうございました。

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