後日譚
そんな小旅行から帰宅して、部屋の中でゆっくりとしていると部屋の外から騒がしい足音が聞こえた。
「ママに怒られたー!」
扉を開けて部屋に入ってきたのは想像通りの彼女だった。
「こんな時間までお隣さんを引っ張りまわすんじゃないよだって!」
帰宅した時には夕食の時間を過ぎていたので、いつもよりもだいぶ遅い帰宅になっていた。
「まあ、こうなる気はしていたよ」
お隣さん同士で昔からの付き合いだしね。
そんなことを思いつつ、お腹に飛びついてきた彼女の頭をなでる。
「ということで傷心中だから今日はこっちに泊まる!」
その手にはお泊りセットらしきものが見えていたので、最初からそのつもりで飛び出してきたのだろう。
「晩御飯は食べて来たの?」
「おかわりまでしてきたよ!」
「怒られたて飛び出してきたはずなのに準備万端ね……」
彼女のつむじを眺めながらため息を吐いていると、双眸がこっちを見つめてきた。
「あ、でもお風呂はまだだから一緒に入るよ!」
「はいはい、そうだ……ね、……え?」
ちょっとまって、それは聴いていない。
「はーい、言質取ったから行くよ!」
お腹に抱き着かれたのかと思っていたら、それは実はタックルでそのまま部屋の外へと引っ張りだされる。
「あ、いや、ちょっと待って、タイム!」
「にしし、女同士なにを恥ずかしがるのよ」
嵌められたと思ったときには時すでに遅く、流されて気恥ずかしい思いをしたのはまた別のお話である。
どうも337(みみな)です。
この度は『終着駅はよく知らない』を読んでいただきありがとうございます。
本小説は冬童話2025に向けて書いたものとなっております。
去年のあとがきで冬童話に参加するのが13回目と書いていたので、今回で14回目になるみたいです。久々に新作を投稿しようと思ったら、なろうの仕様がいろいろと変わっていて驚きました。
最後に、過去の冬童話祭で投稿した『夢であればいいのに』『在りかを求めて』『無関心であり続けて』『さよなら透明人間』『Your time,My time./その表情が見たくて。』『黄色い百合の造花を貴女に』『スノードロップに託した想いは――』『うそつき』『僕が願った勇者の夢は――』『生きたがりの僕。』『死にたがりの僕が見つけた生きる理由。』『ハルジオン』『見えるから。』もよかったらご覧ください。
では、ありがとうございました。