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完結●目覚めたら金髪碧眼の貴族の青年の幼馴染みだった件

なんだか久々に熟睡できた気がする。

そう思って目を開けた瞬間。

リラックス気分は一転、全身が固まる。

私の顔を見下ろす、とんでもない美貌の男子と目が合った。


映画や動画サイトでは見たことがあるが。

実物の碧眼の男子を見たのは、これが初めて。


すごい。

本当に碧い。

透き通る湖のような碧さ。


しかも金髪。本物のブロンド。

サラサラの前髪がカッコいい。


そして肌は白いが血色はいい。

さらに鼻が、鼻がとんでもなく高い!

唇は綺麗なパステルピンク。


ど、どなたでしょうか?

そして私、寝て起きたと思うのですが。

なぜ私がいる部屋にこの金髪碧眼の美貌の男子がいるの……?


「リナ、大丈夫かい? 君は昔からお転婆だから」


わあ、綺麗な声。

その姿にピッタリの爽やかな声をしている。

え、でも、あれ……?

英語じゃない。

というか……え、リナって誰?


「何、キョトンとしているの? 頭は打っていないと思うし、木から落ちた衝撃――つまりは驚いて意識を失っただけだと思うけど……。私のこと、見えている? 声は聞こえているかい?」


美貌の男子が私の目の前で手を振る。

状況はイマイチ飲み込めないが、どうやら私、木から落ちたらしい。


木から落ちた。


私は都会の大学に通う大学3年生だ。

地方出身だし、無論、子供の頃は木登りをしたこともある。

でも今はもう20歳。

木登りなんかしないと思うのだが……。


「あの、私……」


そこで自分の声が、自分ではないことに気づく。


え、え、え?

なんで?


「え、あ、え、なんで……」

「リナ、どうした? まさか木から落ちた心理的ショックで、記憶喪失にでもなったか?」


そ、そういうこと!?

いや、そんなわけはない。

そもそも名前、私の名前は……。


あれ、名前は……?


「あ、あの、すみません」


自分の声らしいのだが、慣れない。

でもとにかく事態を把握しなければならないと思う。

チラリと金髪碧眼の美貌の男子を見ると。

困った表情の彼が口を開く。


「『……すみません?』――随分よそよそしいな。私とリナは幼馴染みだっていうのに」


衝撃情報キターーーーッ!

幼馴染み、ですと!?

こんな金髪碧眼の幼馴染み、いるわけがない。

そもそも実家は。

周囲は畑で、隣の家だって500メートル近く離れている。

そのうち限界集落になるのでは!?と言われているのだから。

いない、いない、金髪碧眼の幼馴染みなんて。


うん!?

まさか……。


「もしかして、髪、染めていますか? あとカラコン?」


私の言葉に金髪碧眼の美貌の男子が絶句している。

こういう普通にカッコいい男子にこんな反応されると……。

めっちゃ汗かいているんですけど、私!


「リナ、間違いない。……心因性のショックで記憶が飛んだようだ。とりあえず、落ち着けるよう、状況を説明するよ」



キャノス……私の幼馴染みだという金髪碧眼の美貌の男子から聞いた話は、とにかく衝撃的だった。


木から落ちた。

その理由は、木に引っ掛かる風船をとるためだった。


キャノスと私は、幼馴染みで家は隣同士。

年齢は二人とも180歳。


180歳。

なんですか、この年齢。

そう思ったら。

私は……ヴァンパイアだというのだ。

ヴァンパイアは殺されない限り生き続け、かつ、自身の思うタイミングで成長を止められる。つまり人間の言う年齢の20歳で成長を止めたいと思ったら、その容姿でずっと生きられるのだ。つまりは不老長寿に近い。よって180歳といっても、容姿がよぼよぼということはない。どう見てもこの容姿や肌艶はティーンエージャーだ。


一方のキャノスはヴァンパイアと魔法使いのハーフらしい。


それで、180歳で、二人ともメクレンブル・アカデミーという学園に通う3年生。


メクレンブルというのは私がいる都市の名前で、ここブラッド国の首都だという。ブラッド国というのはヴァンパイアが暮らす国の名前で、魔法使いが暮らす国はテルギア魔法国。大きな湖を隔てたところにあるそうだ。


そして今は夏休みで、騎士見習いのキャノスは夏季休暇中だった。普段は、学校の勉強、騎士見習いとしての訓練、魔法と魔術の勉強で激務らしいのだが。この夏季休暇中は羽を伸ばすことに決め、朝夕の武術訓練以外は予定を緩く組んで過ごしていた。


魔法と魔術。


何が違うの?と思ったら、魔法使いが使うのが魔法で、ヴァンパイアが使うのは魔術らしい。つまりヴァンパイアの私は……魔術が使えると。


それで普段は激務のキャノスが暇をしていると知った私は、どうやら彼をテーマパークに誘い出したらしいのだ。


テーマパーク。


私からすると当たり前の存在なのだが。なんというか、自分の服装が、現代っぽくないというか……。西洋のお姫様が着ていそうなドレスを着ているのだ。よく見たらキャノスも、貴族っぽい服装をしている。白いシャツも少しフリルがあるし。それに騎士見習いだと言っているわけで。それに私もヴァンパイアであり、どうも中世っぽい世界観なのに、そこに現代的なテーマパーク。なんだか不思議と思ったのだが。話を聞いていると、この世界には車やパソコンがあるという。その一方で。馬車や舞踏会もある。


うん。間違いない。

これは中世と現代がごっちゃまぜになったような世界であると気づいた。


同時に。


多分、だと思うのだが、大学3年生の私は、この異世界に転生OR転移OR召喚されたっぽいのだ。


転移や召喚であれば、大学3年生の私の体のはずだ。

でも今の私は……。


キャノスに頼み、鏡を見せてもらって驚いた。


髪の色はキャノスと同じ金髪。瞳の色は淡いピンク。

肌の色や鼻が高いのはキャノスと同じ。

頬と唇はローズピンクで、すごく……可愛い。


しかも。


バストサイズが、西洋サイズ!

ドレスから見える谷間に自分でもビックリ。

手足もスラリとしている。


多分、元いた世界から転生したのだろう。

記憶はないが、死亡し、このリナに転生した。

それで木から落ちた心理的衝撃で前世の記憶がよみがえった。


そんな感じだと思う。


そうそう。


木から落ちた理由。


テーマパークでは子供の来場者に風船を配っていた。そして私はキャノスがトイレに行っている間に、うっかり風船を手から離した子供のために、木にひっかかる風船をとろうとした。つまり、ドレス姿で木登りをしたと。


ドレスで木登り。


ありえないと思うが、リナはお転婆。

おそらく、子供の頃、木登りは得意だったのだろう。

でもって、風船を手に、木から降りようとして……。

手を滑らせ、落下しそうになったところをキャノスの魔法で助けられた。


キャノスはこの時、私を助けつつ、風船もちゃんとキープし、子供に渡している。咄嗟の判断力・瞬発力・行動力が優れた逸材だ。


気を失った私はキャノスにより救護室に運ばれ、ベッドで寝かされた。

そして目を覚まし、キャノスにご対面となったわけだ。


そこまでは理解した。

理解はしたけど……まさか自分が人間ではなくヴァンパイアであるとか、いつの間にか転生していたとか、とにかく驚きの情報が満載で……。この先ちゃんとやっていけるのかと思ったのだが。


不思議なことに。


なんというのだろうか。前世の私の記憶とリナの記憶が見事に融合してくれた。


その結果。


家族のことも、学校のことも、勉強のことも。

ちゃんと全部思い出せた。

つまりは自分がリナだと理解しつつ、前世は日本という国の大学3年生だった記憶を部分的に保持している、そんな状態に落ち着いたわけだ。


これはもう、なんとも不思議な感じ。


二人の人格が一つの体に収まっているようなものなのだから。そして気づいてしまったことがある。リナである私は幼馴染みのキャノスのことをどうも好きらしいと。



前世での記憶を一部取り戻してから三日。

ようやくいろいろと落ち着いた気がする。

落ち着いたからこそ考えることになる。


リナがキャノスを好きだという件だ。


キャノスは、本当に驚くほど美しい容姿をしている。

その姿は頭にちょこんと小ぶりの王冠をのせ、「王子様」とキャプションをいれたくなるぐらい。つまりは子供の頃に読んだ童謡や物語に登場する王子様が現実にいたら、キャノスみたい、そんな感じだ。


そんな素敵な容姿な上に、キャノスは人柄がとてもよかった。

まずはとんでもない努力家。

学校の勉強、騎士見習いの訓練、魔法と魔術。

これだけを同時進行で取り組んでいるだけでもスゴイことだ。


しかも、そのどれもが優秀な結果を収めている。

努力すればした分だけ、それが結果に結びつく。

これはもう奇跡。


さらにはその性格の優しさ。

基本的に穏やかで、落ち着いていた。

声を荒げることもない。

気遣いもでき、気配りもできる。


それに……。

剣を手にしている時はキリッとしている。

だがそこから一転。普段見せるあの笑顔。

もう、それはそれは女性のハートを鷲掴みにするものだ。


これだけのハイスペック、当然、女子にはモテるのだが……。


1点だけ。

キャノスにはウィークポイントがある。


ウィークポイント。

本人はそれをとても気にしている、実際それで嫌な思いをしている。それは……私も、リナも知っていた。でも前世の記憶がよみがえったからなおのこと、そこは気にしなくてもと思ってしまうのだが……。


そう。

キャノスはヴァンパイアと魔法使いのハーフ。

そんなのザラにいるだろうと思ったら、違う。

そもそもとして。

この世界の魔法使いはプライドが高い。

魔法使い以外の種族を低く見ている嫌いがある。

魔法使いが暮らすテルギア魔法国には、純血主義派が多く、ハーフは穢れた存在とみなされる。一方のブラッド国では、5つの有力ヴァンパイアという、王族が存在しないこの国おいて、権力者たる5つのヴァンパイアの一族がいる。彼らは純血を重んじているが、それは5つの家同士のみのこと。本来、そこに当てはまらない貴族のヴァンパイアや庶民は純血であることを気にする必要はなかったのだが……。


気にするのである。

上流貴族の皆さまが純血を気にしているのなら。我々も純血がいいと。その一方で、ブラッド国が存在する大陸には、テルギア魔法国以外に、ライカンスロープ……すなわち狼人間が暮らすウルフ王国、ただの人間が暮らすポリアース国が存在している。あとは死者の国があるがそれはさておき。


ヴァンパイアが結婚するとなった時。

まず魔法使いと人間との結婚はあり得ない。

魔法使いはプライドが高いため、ヴァンパイアとの結婚をそもそも考えない。その姿勢をヴァンパイア側も感じ取っているから、結婚相手とみなさない。さらに人間に至っては、ヴァンパイアからすると供物。つまりは吸血のために存在するもの。


この世界のヴァンパイアは見た目など一見すると人間そっくり。まあ、殺されない限り生き続けるとか、怪力であるとか、魔力があるとか、人間とは違うところもあるが。食べ物に関していうと、人間と同じ。


そう、普段は人間と同じものを食べている。ただ、血液を沢山失った時に、人間を供物として召喚し、吸血を行うのだ。


供物である人間との結婚。これまたあり得ないことなのだ。


そうなるとライカンスロープとの結婚は……あるかないかというと、あるかもしれないが稀。というのもライカンスロープはヴァンパイアより、人間との結婚を望むからだ。


ライカンスロープの一族は元はただの狼。それが進化し、人間と結婚することで、狼人間が誕生した。人間と結婚しないと、どんどん野生の狼へと戻ってしまう。ゆえにライカンスロープのニーズは人間に向いているというわけだ。


というわけで、複雑な種族の均衡関係の中、魔法使いとヴァンパイアのハーフであるキャノスは異質な存在。魔術と魔法のその両方を使えることも、奇特なものと見られてしまう。


その一方で。

キャノスが騎士見習いとして仕えているレッド家は。

このブラッド国の5つの有力ヴァンパイアの一つであり、筆頭である。つまりはこの国の実質最高権力者の一族。もちろん純血主義であるが、そこの長女であるベリルという絶世の美少女は、少し変わった思考の持ち主。


レッド家はそもそも魔力の強い一族。だからベリルは魔力が強いヴァンパイアを見ても驚かない。でもキャノスは魔法を使える。ベリルは使えない。だからキャノスをスカウトしたのだという。騎士見習いとして鍛錬を積み、自身の三騎士になるようにと。


三騎士というのは、ベリルのような上流貴族の護衛の騎士のことだ。第一騎士、第二騎士、第三騎士と三人の騎士で構成されるので、三騎士と呼ばれている。通常、ベリルのような令嬢には女性の三騎士が就くのがセオリーだが、キャノスは魔法を使えるということで、ベリルから青田買いされたのだ。


キャノスは自身が魔法使いとヴァンパイアのハーフであることをウィークポイントと感じ、自己評価がとても低かった。でもベリルはキャノスがハーフであることに価値を見出し、騎士の中のエリートの中のエリート、自身の三騎士になるようスカウトしたのだ。これでキャノスの自己評価も上がると思ったのだが……。


そんなことはない。

むしろ……下がった……?


というのもの。

キャノスはあの容貌。金髪碧眼の王子様のような姿をしている。それは前世のみならず、この世界においても、女子受けが高い。つまり、モテる。


だが。


キャノスが純血ではないと分かると、途端に女子の態度が変わる。ハーフではない、純血でキャノスのようなハンサムはいないわけではない。純血ではないイケメンより、純血のイケメン。自分から告白しておきながら、女子はキャノスが純血ではないと知ると、告白はなかったことにして、その側からフェードアウトする。


そんなことを繰り返されていれば……キャノスの自己評価も下がるというわけだが。


レッド家の騎士見習いとなることで、変化が起きる。

レッド家といえば、この国で知らない者はいない。というか他国であってもレッド家のことは知っている。


そのレッド家で騎士見習いをしている。

しかも長女であるベリルの三騎士になることを請われているのだ。


キャノスは純血ではない。でも未来のレッド家の三騎士。

それが分かるとこれま純血ではないかからと敬遠していた女子達が、途端に手の平を返す。


「レッド家の騎士なら、純血ではなくても構わない」に。


これに対してキャノスは……。

それではなくても、ちやほやしては純血ではないと分かると去って行く女子を何十人、いや何百人と見てきた。女子を大嫌い、にはならないが、「女子に極力近寄りたくない。関わりたくない」という思考になっていた。


そんな状況で「純血ではなくてもレッド家の騎士なら」とすり寄られても……。キャノスの女子を回避したい気持ちはさらに高まり、同時に、自己評価もなかなか下げ止まらない。


それでも。


幼馴染みだからか。キャノスはリナとは、私とは腐れ縁のように行動を共にしてくれている。ならばとっと告白すればいいのにと思うが。リナはそれがなかなかできない。


では。


前世の記憶を一部取り戻した私であれば、キャノスに告白できるのか。


……いや、無理。


何を隠そう。

恋愛経験がない。20歳でこの異世界に転生したのだ。

仕方ない。

仕方ない……よ、ね?

え、みんな、20歳前に彼氏や彼女、いるもの?

とりあえず私の友達、さくら、萌っち、凜ちゃんに彼氏は……いなかった。


高校の頃。

クラスの目立つ女子は。

クラスメイトの男子と付き合っていたり。

部活の先輩と交際していたりしていた。


大学に入学した後。

サークルにでも入れば彼氏もできるかと思ったけど。

サークル内では既にカップルができている。

もちろん、新入生に対する関心は高いが。

その関心はやや軽めなものも多く……つまり、遊び。


もちろん飲み会とか参加するけど、だからって即彼氏なんてできるわけもなく。


ともかくだ。

恋愛経験がない。

その上で、あの美貌のキャノスに告白!?

無理だよ~、リナちゃん!

前世の私より、うんと美人さんだけどさ。


その一方で。

一応年頃なのだ、リナは。

両親は当たり前のように縁談話を持ち込む。

なんでもレッド家のベリルには婚約者がいないのため、優良物件とも言える男子は皆、ベリルの婚約者候補にあげられ、今、残っている男子は数も少なく、非常に貴重なのだとか。


だから。

つべこべ言わず、見合いの一つでもまずしてみろと。


これには……少し心が揺れる。

だって。

残っている男子は少ないと言うのだが。

身上書は30枚ぐらいあるのだ。

30人男性の中から選ぶことができるの!?

前世では考えられない。

年齢が上なの方も多いが、ヴァンパイアは成長を止められるから。見た目は若い。だからそこはひとまずクリアだ。しかもベリルの候補になるのは、次男が多いらしく。思いがけず、長男も多い。


長男は跡取り息子。だから次男以下と違い、ある程度の年齢になったからといって、屋敷から追い出されることもない。つまり食うに困ることはないと。


自分から告白とか……できない。けれどお見合いであれば。

お膳立てしてもらえるのだ。好き嫌いではなく、この話を受けるか受けないかで進められるのだから。相手の気持ちを想像し、悶々と悩むより、分かりやすく進められるお見合いって、楽じゃない? そんな風に思ってしまう。


でもこれ、「これだから近頃の若い者は……」って怒られちゃうのかな。あ、ここは異世界だから大丈夫か。


というわけで。

ヒマワリみたいな黄色のワンピースドレスを着て、自室の机でその身上書をパラり、パラりとめくっていると。


キャノスが訪ねて来てくれた。



「リナ、今晩から始まるサマーフェスティバルの件、覚えている?」


サマーフェスティバル。


それは蛍の森と呼ばれる、夏になると蛍が沢山現れる森で毎年この時期に行われるイベントだった。5つの有力ヴァンパイア主催で行われ、彼らがホストとなり、料理を振るまい、魔術を使ったショー、ナイトウォーキングなどが行われる。


昼間は主に、子供を対象にしたイベントが多く、夜は大人向けに様変わりする。お酒も登場するし、夜の森を蛍を眺めながら散策できたりするのだ。


このイベントは。

大人になるとみんな、恋人同士で行くのが当たり前だった。

子供の頃は、遊び仲間とつるんで、わいわい足を運ぶ。

でも思春期になると……。

日中ではなく、夜。

恋人たちは、蛍が舞う森の中を散策するナイトウォーキング目当てに、このフェスティバルへ向かうのだ。


一方。

キャノスは幼馴染みであり、このイベントにはいつも私と一緒に行っていた。子供の頃はお互いの家族も含め、参加していた。そしてキャノスは騎士見習いを始めてからも、このサマーフェスティバルの時期には必ず夏季休暇をとり、私と一緒に行くことを当たり前にしてくれている。


ただ……。

行くのは子供の頃と変わらない。昼間だ。

だから行ったとしても、魔術ショーを見たり、食べ歩きをしたり、宝探しに参加するだけだった。


もしも。

サマーフェスティバルに夜に行きたいと提案したら。

私とキャノスの関係に変化はあるのだろうか?


「……リナ、随分熱心に何か眺めていると思ったら……。身上書じゃないか」


「! そ、そんな、別に。熱心になんか見ていないわ。ただ興味本位よ。どんな人が婚活しているのかしらって思っただけで……」


キャノスは当たり前のように私の机のそばにきて、折りたたみ椅子を開き、腰をおろす。こうやって頭のいいキャノスは、よく私に勉強を教えてくれた。今は騎士見習いとして忙しく、その機会も減っているが。


「……すごい。ピスタチオ家って……5つの有力ヴァンパイアの一つだよ、リナ。ピスタチオの栽培で財を成した一族であり、純血の一族。彼は末っ子だけど、あそこは相当財力はあるから……彼はかなりおススメでは?」


そんな風にキャノスに言われた瞬間。

ものすごく悲しく感じた。

同時に。

リナである私は、キャノスが本当に好きなのだと実感してしまう。


「……私は……別に、婚約とか……」

「でもリナだって年齢的に、婚約者がいてもおかしくないよね」

「……」


こんな風に言われると言うことは。

悲しいけど、リナ、脈なしなのでは……?

感傷的な気分を誤魔化すため、キャノスに尋ねる。


「私のことよりも、キャノスはどうなのよ? 婚約者、作らないの? どうせ沢山、身上書が届いてるのでしょ?」


するとキャノスはふうっとため息をもらす。


「……これまで。両親から身上書を見せられることなんてなかった。でも……レッド家で見習い騎士になったと知られるようになったら……両親のところに私の縁談話も持ち込まれるようになった。皮肉な話だと思わないか、リナ。純血じゃないと分かっているから、見向きもしなかったのに。レッド家という名が出た途端、縁談を申し込むなんて」


「それは……」


「そんな相手と婚約しても幸せになれる気がしない。好きな相手と結ばれることは……叶わないかもしれない。でもせめて私を純血かどうかではなく、魔法使いとヴァンパイアのハーフであることを認めてくれるなら……。私はその相手を心から愛するようにしたいと思うのに」


やっぱりキャノスは……。

そこがウィークポイントなんだね。


「ねえ、そこを認めるなら、どんな相手でもいいの? ものすごい年上とか、大食いの巨漢とか……人間とかでも?」


「リナは極端だな。種族の違いは気にしないよ。人間は……そうだな。どうだろう。人間の方が私達を好きになることがないと思うけど……。ポリアース国とは交易をしているけど、ブラッド国のことは嫌っているだろう」


それは……そうだろう。

例えハーフであってもキャノスにはヴァンパイアの血が流れ、必要な時には吸血を行う。吸血されると分かっていて、求婚する人間なんて……きっといないのだろう。羊と狼のカップルが成立しないように。


「それで、話は戻すけど、サマーフェスティバル、行くかい?」


……!

ついさっきまでは。

夜に誘えば何かが変わると思ったけれど。

何も……変わらない可能性の方が高い。

私が答えを保留にしているとキャノスは……。


「サマーフェスティバルは蛍の森で開催され、ポスターには蛍が飛び交う絵が描かれているのに。夜に行ったことがないよね。……リナ、今回は夕方から参加してみる?」


「……! ええ、そうしましょう、キャノス! 私、一度ナイトウォーキングに参加してみたかったの」


思わず嬉しくて頬が緩む。

するとキャノスも笑顔になった。


本当に綺麗な王子様の笑顔。


「では夕方からということで、日中は……宿題をやろうか、リナ」

「えっ」

「えっ、じゃなくて。私が勉強を見なくなったから、リナの成績が落ちているっておばさんが嘆いていたよ」

「そ、それは……」


事実だった。

ということでサマーフェスティバルに行くまでの間、みっちりキャノスから勉強を教えてもらうことになった。



夜のサマーフェスティバルにキャノスと行ける。

これはとても胸が高鳴るものだった。

自分からは言い出せない。

でもキャノスから夜に行かないかと誘われたのだ。


嬉しかったし、身支度にも気合が入った。


キャノスの家も私の家も共に貴族。

一応首都に住んでいるし、領地もあるが、ザ・貴族という感じではない。屋敷に執事やメイドもいるが、キャノスが騎士見習いで仕えているレッド家に比べたら……。もしレッド家が我が家を見たら、貴族ではないと思うかもしれない……。まあ、それは上と比べたらということで。上を見なければ、現状で困ることはない。ちゃんと食事も楽しめるし、素敵なドレスだって持っているし、舞踏会にも参加できるし、問題はない。


というわけでメイドに手伝ってもらい、ドレスに着替えた。


夜でも映えるように、色はミルキーブルーにした。

乳白色の水色というこの色味は、森の中でも目立ちそうだ。

ラメの入ったフリルは、少しの明かりでもキラキラしてくれる。

髪はハーフアップでまとめ、ドレスと同色のリボンで留めた。

姿見に映る私は、シンデレラっぽくて素敵だと思う。さらに言うなら、金髪碧眼のキャノスとこの姿で並んだら……。


物語の中の王子様とお姫様みたいになれる……!


そして私の期待はその通りとなった。

私を迎えに来てくれたキャノスは。


瞳と同じ碧い色のシャツにズボン、そして白の上衣を羽織っている。とっても爽やかで涼し気だ。やはりこの姿には、頭に冠をのせたくなる。でもってどこか素敵な洋館の前で一緒にツーショット写真を……。


そんな風に思わせる王子様のような姿だ。


馬車で蛍の森へ向かい、森へ続く入口で馬車から降りた。

同じようにしているヴァンパイアが多く、沢山の馬車が止まっている。


馬車から降りた後は、徒歩で小川の方へ向かう。

ドレスでも歩きやすいように、板が渡されており、それに沿って小川の方へとキャノスにエスコートされながら向かった。


私をエスコートするキャノスは間違いなくカッコいい。

だからすれ違う女性達が熱い眼差しをキャノスに向けている。そしてついでのように私を見て眉をひそめた。どういう意図でその表情をするのか。キャノスには似合わない女と思っている? この程度の女を同伴していると見下している? この女とどんな関係と妬んでいる? いろいろ想像はできるが、ひとまず分かること、それは……。


私に対して決して好感を持つことはないということだ。


キャノスと行動するとそんな風に見られることはザラなので……。気にしても仕方ない。それにキャノスは……。


「リナ、揚げたてのパンを配っているよ、食べる?」

「レッド家が経営しているスイーツ店の焼き菓子をもらえたよ、一緒に食べよう」

「果汁100%のウォーターメロンのジュースだって。はい、リナの分」


とっても優しくしてくれるのだ。

おかげでジロジロと見てくる女性達の嫉妬の視線を忘れることができた。


ウォーターメロンのジュースは小さな紙コップに入っていたので、あっという間に飲み終わってしまった。スモークチキンのサンドイッチを食べ終えたところで、キャノスが私を見た。


「リナ、そろそろ蛍を見に行く? 今の時間はまだみんな、食事を楽しんでいるから、空いている気がする」


「確かに。行きましょう」


キャノスにエスコートされ、小川の川沿いを進んでいくと、隊服姿の騎士が立っている。


「ナイトウォーキングに参加されますか?」


騎士の一人に尋ねられたキャノスが、ハッとした表情になる。相手も「!」という顔になった。


「なんだ、キャノスか! そうか、お前、夏季休暇中だったな」


「リッカ隊長、この度は長期で夏季休暇をいただき、申し訳ありません!」


「なに、気にするな。キャノスは普段、土日返上で頑張っているじゃないか。ベリル様も心配されていたぞ。あれでは体を壊さないかって。っていうかお前、食堂でスプーンにスープをのせたまま、寝ていたって聞いたぞ。無理はすんなよ」


どうやら騎士の訓練をつけてくれている先輩のようだ。

20代後半らしきリッカ隊長はニッコリ笑い、キャノスの頭を撫でている。


「それで……そちらは……ほう。お綺麗なお嬢さん。もしや……キャノスの婚約者……?」


「違いますよ、リッカ隊長! 彼女は純血の一族で、私とはただの幼馴染みですから」


「そ、そうなのか。えっと、それじゃあ、二人はそこで2列で並んで。順番が来たら声をかけるから。蛍にストレスをかけず、混雑し過ぎないよう、調整しているからな」


リッカ隊長に言われ、列に並んだが……。

ただの幼馴染み。

即答されたことに悲しくなる。

やっぱりキャノスからしたら、私は……リナは幼馴染に過ぎないんだ。


それは……分かっていることだった。

分かっていることだったけど……。


「リナ、ごめんね。私と一緒にいると誤解されてしまう。リナは純血の一族なのに、私みたいな半端ものの相手に間違われるなんて、迷惑だよね」


キャノスは心底申し訳ないという顔をしている。

そんな迷惑だなんて、これっぽちも思っていないのに。


「では次の方、こちらへ」


リッカ隊長とは別の騎士に声をかけられ、前に進む。


「ここから10メートルほど進むと、ぽつぽつと蛍が見えてきます。そこから先にさらに進むと、だんだん蛍の数が増えてきます。彼らは繊細なので、大声を出したり、光を当てたり、捕まえようとしたりはしないでくださいね。魔術の行使も禁止です。板を渡した道がこの小川沿いにあり、立ち止まることができるポイントがいくつかあります。そこ以外では立ち止まらずに、進んでくださいね」


一通りの説明を受け、キャノスにエスコートされ、歩き出す。


さっき。


キャノスが言った言葉に「そんなことはない」と伝えたかったが。思いがけず騎士に声をかけられ、説明を受けたことで、完全にその件について話す機会を逸してしまった。


「リナ、蛍って、成虫のみが光っているイメージがない?」


なんとかさっきの件について話したいと思っていたら、唐突にそんなことを聞かれ、一瞬キョトンとしてしまうが、慌てて答える。


「そ、そうだね。成虫が光るイメージしかないけど、もしかして幼虫の時にも光るの?」


「うん。卵の時にも、さなぎの時にも光るんだって。理由は不明らしいけど」


「知らなかったわ。キャノスは……博学ね」


その後は、森の中で暮らす蛍もいることや地域によって光り方が違うことなど、キャノスは蛍についていろいろ教えてくれた。そしてそんな話をしていると。


「あっ」


チカチカと光る蛍が見えてきた。


その蛍を見ていると。

前世の記憶が一部またよみがえった。

そうか。

私はこんな蛍の輝きを、前世の子供の頃に何度も見たことがあった。

自然が豊か……自然しかないような場所で育ったから、蛍なんて当たり前で見ることが出来ていた。都会暮らしを始めたら、蛍なんてまったく見かけなかったけど。


「ここだね、立ち止まっていい場所は」


板が五角形に並べられ、少しだけ川にせり出すように設置されている。

結構な広いスペースで、十人ぐらいはそこにいることができそうだ。今はキャノスと私以外は、カップルと思われる2人組しかいない。


そこでキャノスと二人、並んで川を眺める。

沢山の蛍が明滅しながら飛んでいた。

川の流れる音と、虫の声しか聞こえず、まさに大自然の中で蛍を見ている状態だ。


見上げれば、空には美しい天の川。

気温は暑すぎず、丁度いい。


「来年の夏は……もうリナともサマーフェスティバルには、来られないかもしれない」


蛍を驚かせないように。

押さえ気味の小さな声でキャノスが告げた言葉に、心臓がドキリと反応する。


「え、どうして……?」

「もう来年の春には学校を卒業し、私も一人の騎士としてレッド家に住み込みになる予定だから。さっきのリッカ隊長みたいに、参加する側から運営側に回る可能性が高いと思う」

「そうなんだ……」


こうやってキャノスとこれからもサマーフェスティバルを楽しめると思ったのに……。


「それにリナ、私達も幼馴染みとはいえ、もう大人になるわけで。リナにだって縁談話がきているのだろう? きっと婚約者がリナのことを、サマーフェスティバルに連れて来てくれるよ」


この言葉を聞いた瞬間。

涙がポロッとこぼれ落ちていた。

サマーフェスティバルは……もう一緒に行くことはできない。

でも、スプリングフェスティバルやオータムフェスティバル、ウィンターフェスティバルは一緒に行けるかもしれないと思ったが。

そうではない。

キャノスは……。

いくら幼馴染みでも学校を卒業し、大人になるから、これからは別々の道を歩むことになる――そう言っていると分かった。

そう分かった瞬間に、涙がこぼれ落ちていた。


「リナ……?」


私の様子がおかしいと気づいたキャノスに声をかけられたが。泣いていると気付かれたくないと思い、思わずそっぽを向いてしまう。


キャノスは……優しいから無理強いはしない。

だからなのか、私が背を向けると、「どうしたの?」としつこく尋ねることはない。


気づくと、さっきいたカップルの姿はない。


元来た方角からこちらへ向かってくるヴァンパイアの姿もなかった。


「……リナ、そろそろ行こうか。遅くならないうちに帰ろう」


「いや!」


そう小さく叫んだ私は、キャノスの上衣を掴んでいた。


「季節のフェスティバルは、5つの有力ヴァンパイアが主催するもの。レッド家の騎士になるキャノスは運営側になるから、参加するのは無理、それは分かる。でも木苺を摘みにいったり、湖に水遊びに行ったり、スケートしたり、乗馬をしたり、キャノスがお屋敷に戻ったらできること、沢山あるよね? それにキャノスは学校を卒業したら、レッド家に住み込みになって騎士になる。確かに騎士に叙任されたら、大人だってみんな思う。キャノスは……大人になるよね。でも私は大人になりたくない。だから大学に行く。大学に行って、大学院にも行って、社会に出ることを、大人になることを、全力で拒むから」


「リナ……」


キャノスが驚いている顔が、蛍の優しい光と星明かりに照らされている。


「私は子供でいるから、だから、キャノス、1年に1度でもいいから。来年も再来年も、その先も私に会いに来てよ」


「リナ、それは……」


「私は純血種ではないとか、そんなこと気にしていないよ。キャノスはキャノスでしょ。半端者だなんて思っていないよ。私はキャノスが……」


そこまでは。

勢いままで話していたが。

自分が何を言おうとしているのかと気づき、その瞬間、猛烈に恥ずかしくなってしまった。


私が黙り込み、静寂が続く。


「……リナ、その、今、言おうとしたことって……」


「な、何でもないわ。取り乱してごめんなさい。……行きましょう……」


歩き出そうとした私の手を掴んだのは、キャノスだった。


「待って、リナ」


ドキッとして息を飲む。


「リナは……私が純血種ではないことが気にならないの? 魔法使いとヴァンパイアのハーフな」


「キャノス」


キャノスが私を見た。

本当は恥ずかしいし、心臓は爆発寸前だし、手だって少し震えている。

でも……。


「キャノス、私は子供の頃からずっと、キャノスはキャノスだって思っている。キャノスが魔法を使えるのを羨ましいと思ったし、私も魔法を使えるようにならないか、一生懸命魔法についてかかれた本も読んだし、試したりもした。でも魔法を使えない。私も魔法使いとヴァンパイアのハーフだったらって、思っていたよ。だから、もう、そんなに純血種にはこだわらないで。すぐにその思考を変えることはできないと思うけど、でも少なくともこの世界には、キャノスはキャノスのままでいいと思っているヴァンパイアがいることは、忘れないで」


本当は……。

好きなんだって言いたかったけど、これが限界。


「リナ……」


「行きましょう、キャノス」


今度こそ歩き出そうとしたら。


「リナ、ありがとう」


キャノスに後ろから抱きしめられていた。

驚き過ぎて、固まり、声も出ない。


「……私が魔法使いとヴァンパイアのハーフだと知っても、変わらず私と過ごしてくれるリナに、感謝していた。これからもずっとリナと……そう思ったけれど……。私といると誤解される。ハーフの婚約者だと勘違いされてしまう。それが申し訳なく思ってしまった」


「だからそれは……」


まだしつこくウィークポイントにこだわるキャノスのおかげで、ドキドキよりも、イラッとしていた。


「でも、リナに対しては、そんなこと気にしなくていいと分かった」


「そ、そう。それなら良かったわ。ようやく分かってくれたのね」


「……来年も、サマーフェスティバルに誘っていい?」


「……!? だってキャノス、運営になるのではなないの!?」


驚く私にキャノスは「うん」と頷き……。


「運営を手伝うと思う。でもサマーフェスティバルは3日間の開催だから、一日は休みをとる」


「なんだ……休み、とれるのね。もう一生サマーフェスティバルは楽しめない――みたいな言い方をするから……」


「それは……リナだって婚約者が……」


あ、そっち。

それも気にしてくれていたよね、キャノス。


「さっき宣言した通り。私はまだ社会に出るつもりはないから。子供に婚約者は早いわ。だから気にしないで」


「……リナ、もし私が君の婚約者になりたいって言ったら驚く?」


大声を出しそうになり、慌てて自分の手で口を押さえた。

キャノスは……冗談でこんなことを言うタイプではない。

心臓はもう大爆発しているし、驚きで意識が飛びそうだ。

でもそれをなんとか、なんとか、押さえ込み、声を出す。


「お、おど、おど、驚くに決まっているわ!」


「そうだよね、ごめん」


その瞬間、キャノスが私から離れようとしていると分かり……。

こんなこと、私、できたのかと感動してしまう。

キャノスに抱きついていた。


「あやまらないで、キャノス! 告白もなく婚約者だなんて言うから、驚いただけよ」


こんなことを落ち着いて言えるなんて。

自分が自分ではないと思ってしまう。

なんだか……夢の世界にいるようだ。


「……! そうだね。リナ、ごめん」


キャノスは私の腕をつかみ、そして――。


「リナ、君のことが……好きだ。まずは恋人になってくれるかな」


未来の騎士らしくその場に片膝をつき、跪くと、私の手をとった。

その姿は。

まるで童謡に出てくる王子様そのもので。

私はお姫様になった気分で、頬を赤らめ、答えていた。


「私もキャノスが好きよ」


お読みいただき、ありがとうございます!

切なさとキュンとハッピーエンドを詰め込んだ短編でしたが。

実はこの作品に登場する、美青年のキャノス、美少女ベリルが登場する連載作品があります。キャノスとベリルの出会いのエピソードは『22:夏の日、美少女との出会い』というタイトルで4月18日に更新したばかり。

もし本作を面白いと感じていただけた方は、ページ下部にリンクを貼っておりますので、そちらから飛んで、ぜひお楽しみください!

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『異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~』(R15)で、キャノスの活躍をお楽しみください!
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