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2 ヒロインの地位を奪っていても

本日2つ目の投稿

ヒロインの地位を奪っていても、ゲームの強制力とかいうヤツが働いて、やっぱり悪役令嬢は追放されました……となるかもしれないし。


背景に薔薇背負ってる派手顔の俺様王太子殿下なんて好みのタイプじゃないし。根拠のない自信を持っている奴、ぶっちゃけ嫌い。


前世の時、アオイねーちゃんがこのゲームプレイしていた時から別に好きでもなんでもなかったなあ……。うん、わたしの好みからぶっちゃけ外れてんのよ。俺様系って顔が良ければ許されるのかもしれないけど……わたし的には鬱陶しいっていうかなんて言うか……。うーん、紳士とか、執事とか、そういう系のヒーローのほうが好き。


そうね、戦隊ヒーローに例えるのなら、わたしはみんなのリーダー・熱血レッドよりも、最初はレッドと敵対しているんだけど、お話の終盤とかでレッドと共闘するようになる元敵キャラ、最終局面での頼りになる仲間になったりするクールな美形さんが好きですハイ。あ、もっと好きなのが、その元敵キャラの後ろに控えている副官な人です!クールを支える穏やかな美形。いいよねー!穏やかににっこり微笑んで、柔和なのに敵を倒すときには容赦しないとかサイコー!仕えるのは元敵キャラさんただ一人とかいう忠義の副官様。萌えるわー。


あ、例えが分かりにくい?失礼しましたー。


……で、なんだっけ。そうそう、わたしが婚約者のアレクセル殿下は好きじゃないから、そんなもの謹んでヒロインちゃんに進呈させていただきますよって話ですね。も、ムカつくっていうか、あいつ馬鹿としか思えない!


王族の結婚なんて、国のための契約でしょ?なのに、婚約者を大事にするどころか最低限の儀礼さえ守らないで、自分は平民娘と恋に堕ち、平民娘を妻に出来ないのは悪役令嬢がいるからだって、勝手にわたしを悪役にする王太子、短絡思考馬鹿か!


平民と王太子が婚姻を結べないなんて、そんなもの悪役令嬢のせいじゃないっての!国の決まりでしょうがっ!王族と婚姻を結べるのは伯爵以上の身分を持つ者って、この国では法的にも制定されてるってーのっ!


アレクセルとセレナレーゼの婚約も王命よ、王命!意味わかってんのかなあ、あの馬鹿王太子。国の最高権力者のご命令に、単なる侯爵令嬢が逆らえるかってーの!お前との婚約なんて、断れるんだったら最初から断っているわっ!


なのに、セレナレーゼが侯爵家の権力を使って無理矢理にアレクセルの婚約者に納まった、そんな奴は嫌いだとか言いやがってっ!


自分とヒロインは真実の愛で結ばれているのに、悪役令嬢のせいで不幸だってなーにが権力に引き裂かれた恋人同士みたいな顔、してやがんのよ。


自分の周りの女は全員俺が好きなんだろうなんて考えている自己中心的な馬鹿男。良いところは血筋と顔だけ。うわー最悪!


あ、サイテーなのは、残りの攻略対象四人も同じか。裏付けなんか全然取らないで、ヒロインのために悪役令嬢を追放しようって一致団結してるんだから。


まあ、マラヤちゃん可愛いからねー、仕方ないねーなんて、納得するわけないじゃないってのっ!マラヤちゃんを守るヒーロー面してさー。公務とかでわたしが王太子殿下に話しかけても、わたしを邪魔者みたいな目で見てくるしさ。……まあ、もうどうでもいいけど。どうせ攻略対象メンズなんてヒロイン第一主義。マラヤちゃんしか目に入っていないんでしょうしね。他の女なんて、ゴミムシ以下なんでしょうきっと。


あ、マラヤちゃんは乙女ゲームのヒロインの仕様通り、ふわっとした桃色髪に庇護欲をそそられる潤んだ瞳の持ち主です。

今もアレクセル殿下にぴとーっとくっついておりますよ。プルプル震えてる姿が小動物みたい。


そのヒロイン・マラヤちゃんの後ろには、商人の息子のベリル・スーフォン。

マラヤちゃんの右には公爵令息のカルセドニー・フォン・ヴェースヴィード。

王太子の背後に王太子の近衛騎士の一人のジェイド・フォン・グロッシュラーと神官の息子のフォアス・フォン・シデライトという攻略対象メンズが控えています。


みーんなマラヤちゃんが大好きで、悪役令嬢であるわたしを、汚いものでも見るかのように睨んでおります。

……うーん、ゲームの仕様だとわかっていても、ちょっとムカつくわね。


さっき冒頭で、アレクセル殿下が「婚約破棄」を叫んでいたから、次に来るのは「悪役令嬢がいかにヒロインを虐げたか」っていうやつね。王太子殿下だけでなく、他の攻略対象メンズも次々と悪役令嬢の悪事をパーティ会場の皆様に告げていくって流れでございますよ。


それでもって、婚約者の王太子殿下が「こんな悪女は将来の王妃に相応しくはないっ!私は真実の愛で結ばれたヒロインを婚約者とする」って宣言するの。

別にわたし、マラヤちゃん虐げてはいないけれどね。

ま、悪役令嬢が冤罪かけられるのはお約束ってもんか。


……っていうのが現在の状況。説明長くなってすみません。


だけどわたし、こんな状況にめげたりなんてしませんよ。


寧ろ、婚約破棄、イエスおっけーっ!お待ちしておりました!!の心持ちよ。

乙女ゲームはエンディング前のクライマックス!

はい婚約破棄、はい断罪。

悪役令嬢を排除して、ヒロインと王太子殿下はハッピーエンド(笑)


ようやくこれで……わたしの『とある疑問』が解消するかもです!わーい!!


……いえね、そんな大それた疑問じゃないんだけれど。

前世の時、色んな乙女ゲームをアオイねーちゃんがやっているのを横目で見つつ、逆ハーエンドとなった時に、ふと疑問に思ったの。


『悪役令嬢』を『断罪』し、見事『逆ハーレムエンド』を達成した『ヒロイン』は、複数の攻略対象たちに愛されたまま、一生涯幸せな人生を送ることが出来るのかなあ……って。


だって、考えてもみてください。


ヒロインちゃんは一人。

攻略対象の男性は複数。


女の子一人が、複数の攻略対象者である男性に囲まれ、その全員から好意を向けられるようになって……、で、その中の一人と結婚するとかして結ばれて、そのほかの攻略対象者たちは「自分はヒロインを愛しているが、大事なのはヒロインの幸せだ。ヒロインが幸せなら、自分がヒロインと結ばれなくてもいい。幸せを傍で見ていられればいい……」なーんて本気で思うんですかねえ?




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