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18 ちょっと待って、情報多すぎて

誤字報告ありがとうございます。


毎回助かっていますm(__)m

ちょっと待って、情報多すぎて、わたしの脳の処理が追い付かないっ!

落ち着こう。深呼吸深呼吸。ヒーハーヒーハー……、よし。一つ一つ、聞いていこう。


「あの、まず『2』って何ですか?『逆ハー王妃』はあれで綺麗に完結していたと思うんですが。続編って……、しかも悪役令嬢が逆ハー?」

「国外追放された『悪役令嬢』セレナレーゼのその後の物語です。僕も『2』はかなりやり込みました!控えめに言って、サイコーでしたねセレナたん!夏コミとかでセレナたんの同人誌、大手壁際サークル様も、皆様こぞってお描きになられておりましたっ!フィギュアなんかもねえ、僕も出品しましたし。いやあ、コミックマーケット、激アツでしたっ!」


アウィン先輩がきらっきらと目を輝かせながら語っておりますが……。ちょっとお待ちくださいアウィン先輩。


セレナたん?

夏コミ?

同人誌?

フィギュア出品!?

それにゲームをやり込んだだの、ツッコミ入れたくなるキーワードがちらほらと……。

ハテナ・マークが頭の周囲に浮かんでいるわたし。

それに気も付かず、熱く語り続けるアウィン先輩。


「王太子に婚約破棄をされ国外追放になったセレナたんが、安住の地を求めて旅をする間に五人の男と知り合いになり、彼らに助けてもらい、関係を深めながらゼシーヌ帝国へと向かいます。最後の五人目の攻略対象者がこの僕、アウィン・ルネ・ゼシーヌです」


……ううむ、アウィン先輩、前世はゲーマーの方かヲタク系の方だったのでしょうか……?

それからえーと、日本人名が。安達、翔也さん……。

どうしてだか、なんかお名前、知っているような知らないような……。記憶を探る。前世の兄のコレクションか、姉のコレクションの中にそんな名前があったっけ?同人誌作家の方とかかな……。それとも……、うーん、聞き覚えはある感じなのに、思い出せないっていうか、わからない……。


「えっと、わたし『2』は知らないのでアウィン・ルネ・ゼシーヌという名に聞き覚えは無いのですが。えっとえっと、安達さんですか?その……日本人のお名前のほうは何故か知っているような気がする……のですが……」


つっかえつっかえ、考えながら聞いてみた。


「クラスメイトとかではないし、ご近所さんでもない。えっと、アウィン先輩、前世では芸能人とか著名人とか有名人だったんですか?」


聞いたら、アウィン先輩はちょっと顔を赤くして、視線を逸らした。


「僕は……ショーヤ・アダチという名でとある業界ではそこそこ名が通っておりました。イベンドでフィギュアを売ったり、その制作過程を動画に撮ってユーチュー……」

「あー―――――――――っ!!アダチ神!!!!神フィギュア原型師様!!!!!!」


話途中のアウィン先輩の声を遮って、しかも思いっきり指さして、大声出してしまいました!!


アウィン先輩はわたしの大声にびくっと肩を揺らします。


「あ、ええと、ご存じでした……か?」

「アニメや漫画などのキャラクターを立体的に表現したフィギュアを作られる方は数多くいらっしゃいますが、その中でも一番勢いがあるのがアダチ神ではないですかっ!デジタル造形される原型師の方が増えていますが、アダチ神が造形物の原型をお作りになられる時は全て手作業!粘土やパテを使われるその手先の器用さ、キャラクターのポージングや立体的な表現力っ!国内のみならず、そのお名前は海外にまで注目されてっ!わ、わたし、セレナレーゼのフィギュア制作動画拝見いたしました!!繰り返しガン見ですっ!体のラインが出来上がっていく過程が本当に美しくっ!それからそれから『イカ天使ゲーム』の桜子ちゃんのあのミニスカと太もも!!『ダンジョン・ハレルヤ』の犬娘ちゃんと猫娘ちゃんの繋いだ手がもう尊すぎて泣きました!!うわあああああっ!神降臨!ああああ、どうしよう!一緒に写メ撮って下さ……って、ここにはスマホがないっ!えと、えと、えと、あ、せめて握手を!握手していただいて宜しいですかあああああああああああっ!」


ふんすふんすと鼻の穴が大きくなってしまうくらいの大興奮!

あ、『イカ天使ゲーム』の桜子ちゃんは土曜五時アニメの人気キャラクター。

それから『ダンジョン・ハレルヤ』の犬娘ちゃんと猫娘ちゃんは謎解きゲームの登場人物。わたしが前世で大好きだった物語で、グッズもたくさん販売されてるし、アダチ神だけでなく、いろんなフィギュア制作者の方々が素晴らしい作品を作り上げていらっしゃいます。


「………………落ち着いてくださいレイナ」

「はっ!フィギュア神・アダチ様に対して大変失礼を致しましたっ!」


わたしはその場で土下座した。

勢いつけ過ぎて、ボートが揺れる。アウィン先輩……アダチ神様は右手でボートの縁を掴み、もう片方の手でわたしを支えてくれました。



お読みいただきありがとうございました。

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