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17 ……何がどうしてこうなった。

誤字報告ありがとうございます。


毎回助かっていますm(__)m



……何がどうしてこうなった。目に映る光景が信じられない。


王都城下髄一と言っても過言ではないデートスポット。王城をぐるりと取り巻くお堀がありましてね。ほら、日本にも皇居の回りにも千鳥ヶ淵ってのがあるでしょう?それを西洋チックにした感じのお堀。そこに浮かんでいる手漕ぎのボート。それにわたしはアウィン先輩と二人で乗っているのです……。


空は澄みきって青く、雲ひとつ無く。堀の水は穏やかで、水鳥たちが水面で羽を休めて。千鳥ヶ淵のような満開の桜は無いけれど、お堀の淵に沿って色取り取りの花が植えられている。

ゆったりとボートを漕ぐアウィン先輩。

そのボートには日射し除けの傘も、冷え対策の膝掛けもある。バスケットに入れられたサンドイッチにマフィン。水筒には飲み物までもが用意されている。用意してくださったのはアウィン先輩だ……。


「ふうっ!久しぶりにボートを漕ぐのも楽しいですねえ」


前髪をかきあげるイケメンの、達成感に満ちたキラキラしい笑み……。


何ここ天国?


正気を失いかけていたら、アウィン先輩はボートを漕ぐ手を止めて、わたしに水筒を差し出してくれた。


「さっきは紅茶でしたので、今度はコーヒーにしてみました。レイナの分はミルク多めにして貰ってます。砂糖は入ってませんから、一緒にマフィンでもどうぞ」

「あ、ありがとうございます……っ!」


わたしの好みの飲み物までっ!

完璧です!

男前ですアウィン先輩!

惚れるわマジで!


そしてわたし、連れてこられただけで、何もしていないよっ!女子力皆無かわたし!


「すみません何から何まで!」

「ふふっ、デートにお誘いしたのは僕の方ですから。エスコートは当然です」


気負いもなく、さらっとこういうこと云えちゃうのよね、アウィン先輩ってば。


絶対にこの人モテるわ。


頭を下げて、わたしはミルク多めのコーヒーを口にする。


「美味しい……」

「レイナに喜んで貰えて嬉しいです」


比べる訳じゃないけど、元婚約者のアレクセル殿下にもこんなふうにして貰ったことなんて無い。

婚約者の交流とかで、王城のローズガーデンでお茶した程度。しかもイライラしているアレクセル殿下と始終無言のわたし。……愛なんて生まれようの無い、殺伐とした、実に無駄な時間でしたね。


アウィン先輩もコーヒーを一口飲んで、それからニッコリとわたしに微笑みかけてくれた。


「さて、レイナ。悩み相談の前に、僕はレイナに伝えたいことがあるんです」


前髪の隙間から見える真剣な瞳に、わたしはどきっとした。


こ、これは……、この流れは……もしや愛の告白!?


わたしは息を詰める。

期待で鼓動が速い。


アウィン先輩の形の良い唇が開き……そして言った。


「レイナ……、いや、『悪役令嬢』セレナレーゼ・フォン・オブシディアン嬢。貴女も日本人転生者ですよね」


真っ白になった。

何がってわたしの脳内がだ。


え、えええええええっ!ちょっと待って。今の発言なに?何なの?それにアウィン先輩何者!?


混乱中のわたしの手を、アウィン先輩が掴む。


「ああ、レイナ。僕は貴女の敵ではないので転移で逃げないでくださいね?寧ろ僕はレイナと同類ですから」

「同類?」


何も考えられず、言葉だけを繰り返す。


「貴女も……と、今言ったでしょう?そこから予測がつくのではないかと思いますが、僕も日本人転生者です」

「えっ!」

「改めて自己紹介致しますね。日本人名、安達翔也と申します。この世界ではゼシーヌ帝国の第四王子という肩書きも持っています」

「え、ええええええっ!」

「ちなみに『逆ハー王妃2~悪役令嬢の逆ハーレム~』での攻略対象です」


え、え、え!?アウィン先輩が、転生者で、元日本人で、帝国の第四王子?

しかも『逆ハー王妃』には続編が出て、その攻略対象!?

『悪役令嬢の逆ハーレム』って何っ!わ、わたしが逆ハーするの!?えええええええ!?




お読みいただきありがとうございました。

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