表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/10

書籍化やデビューがゴールではない

 言ってしまえば当たり前のことなのですが、書籍化やプロデビュー、出版というのはひとつのステップに過ぎません。


「1巻出せて良かったー。これで満足。もう何も悔いはない」

 ……という考えであれば、そこがゴールでも構わないと思います。


 しかし多くの作者は、売り出したからには人気作になって欲しいと願うでしょう。

 シリーズが続き、あわよくばコミカライズやアニメ化を夢見ることでしょう。

 それらの高い目標を見上げた時、『書籍化』や『デビュー』というハードルの、なんと低いことか。

 あんなに苦労して登ったのに、まだ登山口に着いた段階でしかないのです。


 頭では分かっていても、初デビューの時に私はそこで慢心していたのだと思います。

 それは『打ち切り』という分かりやすい結果として表れました。


 しかしなにも、それはラノベ出版に限った話ではありません。


 高校受験や大学受験、志望校に入ることができても、ゴールしたわけではありません。

 入社試験や就職面接に受かって採用されても、その後に何十年と続く会社員としての人生、その始まりに過ぎないのです。

 テストの成績が悪ければ、留年や退学も有り得る。業績が悪ければいつ解雇(クビ)になるか分からない。

 ライトノベル作家には、特殊な技能や才能が必要と思われているかもしれません。

 ですがやっていることは、世に住まう人々と大差ないのです。


 既に多くの先人達がアドバイスされていることかとは思いますが、改めて私からも言わせて頂きたいです。

 新人賞に受賞したり、Webから書籍化を果たしてデビューした皆様。あるいは私のように再デビューを果たした方。

 嬉しいでしょう。幸せでしょう。心から、おめでとうございます。

 しかし喜ぶのは、長くてもその日一日だけにしてください。


 人生はフィクションのようにはいきません。

 私だってそうです。10代で打ち切りという悲劇を経験し、冬の時代を経て、20代でリベンジできたのは感動的でしょう。

 ですがそれでハッピーエンドではないのです。受賞した日にベストセラー作家になってヒロインと結ばれて、エンドロールが流れることはありません。

 もしかしたら、また1巻で打ち切りになるかも。その可能性は常に存在しています。急に「やっぱ出版はナシで……」と言われるかもしれません。


 挫折しても、人生は終わらない。

 しかし同時に、成功しても、そのままハッピーエンドを迎えるわけではないのです。また新たな悲劇の入り口かもしれません。


 それでも、進まないことには先の展開は分かりっこないです。

 ですのでどうか油断することなく、気を引き締めて執筆活動を続け、プロとしての活動へと、踏み出して頂きたいと思います。


 それが――立ち止まることなく、お先に歩を進める、私からのメッセージです。


 全ては『途中』です。

 作家になっても、何ひとつ『確約』などされていません。

 ですが同時に、想像を超える反響や大ヒットという可能性も存在しているのです。

 だからこそ我々は、()(この)んでこの過酷な世界に足を踏み入れるのでしょう。


 そしてどうか、その苦しくも素晴らしい『旅路そのもの』も楽しんで欲しいというのが、最後の持論となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ