表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第8話 とある冒険者見習い8

 その頃、謁見中のBランクパーティー。3人の前に現れたのは先日あった紺と白の髪の女性と、これまた珍しい容姿の女性だった。明るい緑の髪に同じ色の瞳。肩ほどで髪は切り揃え、三角形ののピアスと首飾りをつけている。30は超えているであろうが、思わず美しさに目を奪われてしまう。新緑の色をした女性の方が身分が高いらしく、3人に向かって挨拶をする。


「初めまして皆さん。私はメアリー・アルサード・トルッシェ。こっちはスカイ・ヴァーファル・フルーレットよ」


 後ろで控えていたリチェは、小声で「メアリー様は公爵夫人、スカイ様は女性で爵位持ち、侯爵本人であられます」と言った。


 この国で会う貴族は悉く美人である。ラルドはこの国では女性の方が権力が強いのか?などと考え純粋に驚いていたが、レイズ・ローラはどこか羨ましがるような、妬んでいるような顔をした。


 こちら側からの簡単な挨拶や軽い話し合いが終わるとメアリーは返事の手紙と、手紙を受け取り返事も持たせたという旨の書類をパーティーリーダーであるラルドに手渡した。


 


「…他国のお偉いさんに手紙を届ける依頼にしては随分と早く終わったなぁ」


「私、時間に余裕があるし、観光して帰りたいわ!」


「おめーは男漁りしたいだけだろ…」


「まぁいいんじゃないですか?僕たちは聖国に来たの初めてですし」


 3人は待っていたロンと合流して帰路についていた。思ったより依頼が早く終わりそうで観光しよう、と言う話になった。




 ジェンガル王国の西方には深い霧に包まれた森がある。それは誰も抜けることが叶わない森として有名だ。いや、有名だった。4年前までは。


 4年前、とあるSランク冒険者が森を抜けたのだ。そして彼は帰ってきて言った。


「国が、森の向こうには国があった」


 最初は皆半信半疑だった。しかし彼と共に他の高位ランク冒険者も森を抜けることに成功した。


 彼らは高純度の魔石や人魚の鱗など、その国で貰ったという珍しいものを持ち帰った。


 敵対の意思もなく、こちらとも交易をしたいとのこと。何度か冒険者を通じてやりとりを行い、向こうの国が品質の高い魔石ーー実際に使用する魔力の数倍の威力の魔法を放つ希少な石ーや、その他色々な希少で高価なものが取れることが分かった。


 そして、冒険者達が他にも言ったことがあった。


「いろんな髪色のやつがいた」


 そして、ジェンガル王国の最西端の都市、すなわちあの深い森に比較的近い都市で、向こうの国の貴族とジェンガル王国の貴族での会談が行われた。その時に聖国の代表として現れたのが、ジェンガル王国では公爵にあたる身分である男性と、その妻。まさにBランクパーティーが謁見したトルッシェ家であった。陽の色をした男性と、新緑の髪をした女性だ。


 それからさまざまな会談が行われ、次々と他の国とも国交を結び、聖国にもギルドが建てられたり法律や犯罪者の扱いなど、ようやく整ってきたところである。


 冒険者に国境はない。その国出身ということでどこかの国の戦争に参加したり、その国で活動したりということはあれど、よほど閉鎖的な国でなければ冒険者はどこの国でも入国することができる。


 また、依頼に無関係のことでーー個人的な事情で何か問題を起こした場合、冒険者ギルドは一切関与せず、裁かれる。冒険者は、信頼のもと成り立っている。そもそも冒険者ギルドに登録する際、巷では真実の石と呼ばれるものを使用し、1人で複数回の登録ができないようになっている。

 

 まだ一部貴族などを除いて低ランク冒険者だけであの森を抜けることが許可されていない。すなわちロンや低ランク冒険者仲間では聖国へ行くことができないのだ。


(ーージェンガル王国に戻ったら、一度村に帰ろうかな。お母さん元気かなぁ。…あんまりお金ないけど、滅多にこんな機会ないだろうし、お土産買って帰ろう)


 その日、城から帰った4人は明日の1日は自由行動、ということになった。


 


 その日の夜、ロンはふと目が覚ました。しばらくはベッドの中でゴロゴロとしていたが寝付くことができず、聖国は犯罪率が低いと聞いていたので、夜だが出歩いてみることにした。


 ひんやりとした涼しい風が通り抜ける。ロンは行く当てもなくウォート地区を歩き回った。店もほとんど開いておらず、ギルドも覗いてみたが数人の男がたむろしているだけなのでつまらなそうだ。


 ーー歩いていると、あの森まで来てしまった。この森は不思議な森だ。何故4年前まで誰も抜けられなかったのにも関わらず現在はBランクパーティーでも抜けられるのだろうか…。


 なんとなく、ちょっとくらいなら、と思いロンは足を踏み出した。


「………、…の…はよかっ…わ!」


「そ…ですか、こんな所ですが……少し声を抑えてくださ…よ」


 ーー聞き覚えのある声だ。


 咄嗟に大木の陰に身を隠す。恐る恐る覗くと、

1人は時々フードの間から見える赤茶の髪、1人は見慣れた眼鏡に泣きぼくろ。



 ーーローラとレイズだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ