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電脳魔法少女 サイバズウィザーズ!  作者: マキザキ


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第5話 B 割れてる本社会議!




「へー! 結構デカいビルなんだな!」


『電脳世界でもかなり高くまで伸びてる……。これ中にサイバーエレベーターとかあるのかな……?』



 その日の放課後。

 2人は学校帰りに、かの情報漏洩を起こした工具メーカーの本社ビルを訪れていた。

 情報漏洩にバズラスの関与を疑ったためである。


 希海はそのビルの一階に入っている喫茶店で腰を下ろし、スマホと教本をセットし、あたかも勉強をしている風を装う。

 これで小一時間居座っても不審には思われないだろう。



『じゃあ……ちょっと行ってくるね……』


「大丈夫なのか?」


『うん……。何かあったらすぐに戻るから」



 美来はそう言うと、希海のスマホからビルの電脳世界へと入っていった。

 (これ不正アクセス扱いにならないよな……?)と、希海は一抹の不安を覚え、法に関して検索してみたが、電脳魔法少女のダイブに関する法がなかったので、安心して熱心な学生のフリに戻った。




////////////////////




「なに……これ……凄い!!」



 ダイブした美来の目の前に広がるのは、歯車やチェーンが動き回り、電動丸鋸やチェーンソーがサイバー鉄骨を切断したり、サイバー溶接工具がそれらを溶接している空間だった。

 彼女が“道”を通って飛び込んだ先は、メーカーの新製品開発室にある、製品の性能を計算するコンピューターの電脳。

 まさに、例の事件が発生した現場である。


 白銀の刃の煌めきや、溶接機の散らす火花が辺りを照らすその光景に、美来はしばらく目を奪われる。

 だがすぐに、下で希海が迷惑客の肩書に怯えていることを思い出し、彼女はバズラスの気配を探る。

 だが、その空間に、敵の姿はなかった。

 代わりに、美来は奇妙なものを発見する。



「これは……扉……?」



 電脳空間には不自然な白い扉。

 それはちょうど、新製品のデータが通過する経路上にあり、もし、データを盗むとしたら、いかにもお誂え向きな場所。

 というかこれは……。



「バックドア!!」



 そう。

 それこそが、犯人が設置したであろうバックドア。

 製品データを流出させるためのセキュリティホールだったのだ。

 しかも、美来の目の前で開いたその扉からタコの足のようなものが現れ、製品データに手をかけ……。



「サイバーインパルス!!」



 美来は迷うことなく、その扉諸共触手を粉砕した。

 直後、この電脳世界にある全ての試作品データが動きを止める。

 美来は自分の行動がここのメーカーのコンピューターによからぬ影響を及ぼしたのかと青ざめたが、すぐに全てのデータが再稼働を始めた。

 そして、壁の扉も復活した。



「……!? どういうこと!?」



 美来は再びドアを破壊する。

 するとまた一瞬、データたちが動きを止める。

 そしてまた、扉の復活と共に再稼働する……。



「違う……! これ誰かがデータを盗むためにシステムを動かしてる!」



 こうなったら飛び込んで相手の正体を突き止めてやると、美来はドアが開く時を待ったが、それは再び開くことなく、消滅してしまった。

 メディア取り出し音を響かせながら。



「そうか!! ウィルス入りのメモリーを使って……!!」



 美来は急いで希海の元へと取って返した。




////////////////////




「犯人が分かったって!?」


『うん! 今からそこのゲート潜って出てくる人!』


「いや、出てくる人ったって……今いかにも退勤ラッシュって感じだが……」


『え……!?』


「えってお前……こんだけデカい会社だぞ? しかも今は17時半だし……。何か犯人の身体的特徴とか分かるのか……?」


『………』


「今日はもう帰ろ?」


『うん……』




////////////////////




『悔し~! もう少しで犯人突き止められたのに~! 迂闊だった~!』



 補導時刻が迫る中、帰路を急ぐ希海と、その隣の電脳世界で吠える美来。

 彼女が事態を把握した興奮を抑え、Webカメラなどを動かして犯人を特定する行動を取っていれば、結果は異なるものになっていたに違いない。



「お前仮に犯人見つけてどうするんだよ」


『捕まえる……?』


「あのな……俺達はあくまでもバズラスと戦うわけで、リアルの犯罪を取り締まる立場にはないんだぞ?」


『でもさ! そんな悪人放っておけなくない?』


「分かるけどさぁ……」



 希海は決して正義感のない男ではないが、それ以前に公序良俗の男である。

 私刑は法に反することであり、彼の望むところではない。



「希海はさ、それでいいわけ? ああいう悪人がデジタル分野の品位を貶めてるんだよ? ああいう奴が、ネットを使って人の大事なものを傷つけるんだよ!? あのデータ流出だって、路頭に迷う人や家族が出るかもしれないんだよ!? 希海だって……分かるでしょ……?」



 しかし、美来は熱かった。

 自分が生きるネット界隈を悪く言われるのは面白くない。

そして何より、彼女は人の悪意によって挫かれる者の痛みを知る人間であった。

 悪の人間によって、正しく生きる人の成果が台無しにされるのは我慢ならないことだったのだ。



「明日、一人でも行くよ私。あんな悪事……絶対許さないんだから……」


「美来……」


「おやすみ」



 美来はそう言って、自宅の前から2階のPCへと飛んで行った。

 希海は複雑な気分で、その背中を見送った。




///////////////////




「なー本当に今日やるのか?」


『もちろん! とっちめてやるんだから!』



 翌日の学校、昼休みの屋上。

 いつになくやる気の美来と、イマイチやる気のない希海。



『なによー! つれない態度とって~!』


「いや……バズラスと違って、ガチの悪人が相手なわけじゃん? なんか生々しいなってさ」


『バズラスだって人の情報から生まれてるみたいだし、似たようなものじゃない。ていうかむしろ私の思ってた電脳魔法少女ってこういうのだし!』


「そうなのか……?」



 ついに訪れた、美来にとっての理想の戦い。

 だが、戦いとはえてして望まぬ形で襲い掛かってくるものなのだ。



「ねえ、投稿した画像半分に切れてない?」



 教室に戻った希海の耳に、クラスの誰かの呟きが聞こえた。

 それに続き、「え? なんか切れてる!」「私のは変なくっつき方してる!」と、騒ぎになっていく。

 そしてスマホからは、『もー! なんなのよ―――!』という叫び声が聞こえた。




////////////////////




「悪を焼き尽くす愛と勇気の炎! サイバーウィザード・ミライ! ファイヤーフォーム! 見参!」



 赤い光を纏った美来が、電脳世界に降り立つ。

 ほんの少し前までは平和だった電脳世界は、あまりにも煌びやかに変化していた。

 そこら中を丸鋸が飛び回り、チェーンソーが行き交うデータの光を次々切り払っていく。

 時折降り注ぐ火の粉は、溶接機がデータを好き勝手に結合させる火花だろう。



「こんなの……! あのビルの電脳世界そのものじゃない! もー! 情報漏洩どころかバズラスまで生み出すとかホント最っっっ低! 絶対許さないんだか……ら!!!」



 美来の振るう刃が、飛んできた丸鋸の刃を両断し、分解する。

 彼女が学校の電脳世界内を飛び交っていた刃や火花を一通り片付けると、周囲で起きていたざわめきが徐々に沈静化していく。



『希海! やっぱりあのビルからバズラスの気配が出てる! ね!』



 騒ぎに乗じて学校から飛び出した希海。

その横の電脳世界上を並走しながら美来が言う。



「ね!って……。まあバズラス案件なら……俺もやる気出さなきゃな!」



 希海も自分の顔をパンパンと叩き、かの本社ビルへ向かって加速する。

 その最中、彼はサイバーグラスの片隅に黄色い生物のシルエットを捉えた。

 様々なデータが途切れたり、異常な結合が起きたりして大混乱に陥った街の中、あのハリネズミのような生き物が力なくうずくまっているのが見えたのだ。


今はそれどころではない。

 と、割り切れる程希海は薄情ではない。

 その生き物に駆け寄り、「大丈夫か!?」と声をかける。


 黄色い生き物は「ダイジョウブ……?」と呟きながら、顔を起こす。

 その口元は大きく裂け、火花を散らしていた。



「どうした!? バズラスに襲われたのか!?」


「バズラス……ドウシタ……」



 弱々しい合成音声で言葉を発する黄色い生物。

 その生物が口をパクパクさせると、希海の尻ポケットから白い光が流れ出し、その口内へと吸い込まれ始める。


 彼のポケットに入っていたのは、スマホ用の大容量モバイルバッテリー。

 光を吸い込めば吸い込むほど、生き物の顔の傷が消え、表情に生気が戻っていく。

どうやらこの生物は、電気を生きる糧としているようだった。



『希海! 早く行かないと! 私一人でバズラスと戦わせるつもり!?』



 突然立ち止まった希海を、美来が急かす。

 希海はモバイルバッテリーをその場に置き、「すまん! 俺にはそれくらいしかできない! 頑張って生き延びてくれ!」と言い残して美来の後を追った。




////////////////////




「見つけた!!」



 美来が飛び込んだ、ビルの電脳。

 そして、バズラスの気配は、新製品開発室の電脳世界……その奥に佇むバックドアの向こう側にあった。



『希海! 準備は良い!?』


「任せろ! 応援コマンドも、リアル応援もいつでもいけるぞ! 頑張ろうぜ!」


『うん!』



 美来は敵の本拠地へ乗り込む恐怖を勇気で押さえつけ、そのバックドアへと飛び込んだ。

 その直後、メディア取り出し音と同時に美来との通信が途絶えた。



「ん!? どうした美来! おい!」



 支援アプリには、美来のダメ―ジ状況などを知らせる機能が付いているが、それらが一斉に停止。

 応援コマンドは灰色になり、彼女への支援も不能であることを示している。

 希海がいくら呼び掛けても、美来からの応答はなかった。




////////////////////




「はあああああ!! やあ!!」



 美来が振るう刃を、しなる体で回避するバズラス。

 彼女が対峙したのは、タコ、もしくは古式ゆかしい火星人像のような多脚の体に、電動工具を装着した異形のバズラスだった。


 突然途切れた希海との接続。

 そしてメディア取り出し音。

 美来は自分の入ったメディアが、抜き取られてしまったことを即座に理解した。


 だが、電脳世界は光を残している。

 それは彼女達を閉じ込めたメディアが、何らかの電源を備えていることを示していた。

 おかげで彼女は動くことが出来ているのだが、それは強敵との脱出不能なデスマッチを余儀なくされたということでもあった。



「セツダンスル」


「くぅ……!!」



 バズラスの振るったチェーンソーを剣で受け止める美来。

 美来の剣が纏うサイバーエネルギーを受けて尚、チェーンソー壊れることなく、激しい火花を上げながら回転を続けている。

 流石、町中の電脳を荒していた工具のボスとだけあって、そう易々と切断、分解させてはくれないらしい。



「はあああああ!! やあ!!」



 だが、美来も最早その程度で押し負けるほどヤワではない。

 赤い光を纏いながら、チェーンソーを弾き返し、返す刀で敵の足3本を切断。

 リューター、バズソー、研磨機を叩き落とした。


 すかさず、胸から放つサイバーファイヤーでそれを焼き尽くし、再生を不可能たらしめる美来。

 元来優秀な彼女のこと、4度の戦いは、確実にその戦闘スキルを向上させていた。



「はぁ……はぁ……このフォーム……消耗が結構激しい……!」



 だが、高火力、ハイパワーを獲得したファイヤーフォームは、その代償にエネルギーの著しい消耗を招いていた。

 未だ健在の5本の腕から繰り出される、チェーンソー、電動丸鋸、ドリル、ステープラー、集塵ノズルの波状攻撃に、徐々に劣勢になっていく美来。



「あぐぁっ!!」



 ついにその右腕を、ステープラーの一撃が捉えた。

 激しい痛みに、思わず剣を離してしまう美来。

 腕を貫通したサイバーニードルを、引き抜き、後退する美来。

 落下した剣を弾き飛ばし、バズラスが彼女に飛びかかった。



「サイバーファイヤー!!」



 胸のクリスタルから放たれた火炎放射が、敵の全身に吹きつける。

 しかし、敵はサイバー集塵機を突き出し、その火炎を見る見るうちに吸い込んでしまう。

 「うそっ……!」と驚愕する美来目がけ、ステープラーのサイバーニードルが降り注いだ。




////////////////////




「美来……! 見えるぞ……! 今助けに行くから……な!」



 一方その頃、いつもの仮面怪人コスチュームを纏った希海は、ビルの外壁をよじ登っていた。

 既にその高さは25階。

 彼のサイバーグラスに映るのは、ビルの中を登っていく美来のシルエット。

 少々機械に疎い彼だが、この期に至って美来の身に起きたことを悟り、物理的に救援に向かうことにしたのである。


 そのシルエットは30階のあたりで止まり、動かなくなった。

 どうやら、美来の入った機械を持った者は、そこで何かをしているらしい。

 希海は残る5階分を勢いよく登り、シルエットに最も近い窓へ近づいていった。


 その窓からは「この度の情報漏洩事件は、わが社にとって極めて重大な問題です。そのため、二度とこのようなことが起きぬよう対策を……」などと、バズラス騒動の最中にあるまじき、暢気な会議らしき音声が聞こえてくる。

 そして、その参加者の中に希海は見た。

 すました顔で座っている中年男性の胸ポケットの中、手足を引き伸ばされた磔のような体勢で、もがき苦しむ彼女のシルエットを。



「突然だが人命がかかっている!! お邪魔させていただこう!!」



 彼は矢も楯もたまらず、ビルの強化ガラスの窓を突き破って中に突入した。

 無論、下に落下させぬよう、細心の注意を払っての行動である。



「だ……誰だね君は! 誰か警備員を呼んでくれ! 取り押さえるんだ!」



 騒然となる会議場、その中年男性が立ち上がると、希海を指さして叫んだ。

 希海は指を指し返し、負けじと叫ぶ。



「黙れ黙れぃ! 取り押さえられるのは貴様だ! 貴様の蛮行は割れている! これを白日の下に晒すがいい!!」



 希海は割れたガラスをブーメラン代わりに投げつけ、胸ポケットに入っていたUSB型ミュージックプレイヤーを奪取した。

 すかさず、それを会議室のスクリーンに繋がったPCへと接続する。


 途端にウィルスバスティングソフトが作動し、そのメモリ内に潜むウィルスを暴く。

 そして同時に展開されたフォルダには、持ちだし不可のはずの新製品のデータがぎっしりと詰まっていた。



「檜山くん! これは一体どういうことだね!!」


「くそがぁ!! バレちまったら仕方がねぇ! 俺はこのクソみてぇな会社に……うっ!!」



 豹変し、会議室の外へ走り出ようとする中年男性を、希海がラリアットで阻止した。



「フハハハハ! このスイーツ仮面改め、情報漏洩防止仮面・怒りに暴けぬ情報漏洩はない! フハハハハハ!」



 希海はそう叫び、スマホ画面を連打すると、窓から飛び出していった。




////////////////////




「ああああああああああ!! ひぎゃあああああああ!!」



 逃げ場のないUSBデバイスの中、美来は四肢を複数のサイバーニードルに貫かれ、電脳の壁面に磔にされていた。

 そして、その肉体に打ち付けられる、電動工具の暴虐。

 肩をドリルが抉り、拘束された四肢を丸鋸が次々に斬り裂き、集塵機が破損した彼女の体からエネルギーを吸い上げていく。


 さらなるエネルギーを求めたバズラスが目を付けたのは、胸のクリスタル。

 彼女の命の源とも言えるそれに、ついにドリルが突き立てられた。



「ぎゃああああああああああ!!」



 想像を絶する苦しみ、痛みに絶叫する美来。

 その胸から、彼女のエネルギーが集塵機で奪われていく。


 辛うじて動かすことのできる肩を、腰を痙攣させ、悶え苦しむ美来。

 激しく痙攣する彼女の動きに、とうとう四肢を縫い付けていたサイバーニードルが外れ、彼女の体が前のめりに倒れる。

 倒れた彼女を蹴りで仰向けにすると、バズラスはトドメを指すべく、ドリルを、丸鋸を、そしてチェーンソーを、彼女のクリルタルに宛がった。



(私……こんな寂しいところで……負けたくない……死にたくない……! まだ……まだ負けない!!)



 遠のいていく意識を、意地で食い止め、美来は乾坤一擲の反撃に出た。

 最早死を待つだけの獲物を品定めするかの如く、彼女に接近しすぎていたバズラスの顔面目掛け、サイバーファイヤーを放ったのだ。



「カネツ……! イジョウカネツ……!」



 その一撃で、バズラスの腕の大半が消し飛び、同時に顔面に深い熱傷を与えることに成功する。

 よろけるように倒れた怪人へ、トドメの一撃を見舞おうとした美来だったが、立ち上がることが出来ない。

 深い切創を幾重にも刻まれた手足は、言うことを聞いてくれない。



「セツダン……セツダン……」



 先に立ち上がったのは、チェーンソー一本を残したバズラスだった。

 ゴリ……ゴリ……と巨大な武器を引きずり、美来に近づいてくる。

 だが、それを迎える美来の顔に絶望は無かった。

 天から降り注ぐ、応援コマンドデータが見えたのだ。



「希海―――!! 私……負けないから!!」



 彼が飛び降りる直前に送り込んだ応援コマンドが、彼女の体を見る見るうちに修復させていく。

 体が自由に動けば、最早恐れることはない。

蹴り飛ばされた剣を瞬く間に拾い上げると、美来はフラフラと歩くバズラス目がけ、赤刃の一閃を撃ち込んだ。




////////////////////




「スイーツ仮面三度現る! 大手工具メーカー幹部を機密漏洩の疑いで書類送検。だってさ」


「俺一応改めて名乗ったのに~……」



 美来の部屋で、笑う彼女と、項垂れる希海。

 どうやら、スイーツ仮面の名はそうそう上書きできないらしい。



「しかしまあ、今回は割と嫌な事件だったな……。人の悪意が発端で、バズラスが生まれる程のバズりになるとは……」


「こんなの……ネットの悪意では軽い方だよ……」


「オイオイ……嫌なこと言うなよ……」


「希海だって分かるでしょ」


「………」



 美来の言葉に、目を逸らす希海。



「でもさ……そういうのを解決できるんだよ、私達!」



 そんな希海の肩に手を置き、笑いかける美来。



「私達二人でさ、もっとこう……ネット上の人の悪意とかをこうさ……ズバッと」


「なんだよ途中から締まらないな!」


「だって仕方ないじゃん! 考えてたら自分すごい臭いこと言おうとしてるって思っちゃってさ!」



 そう言って笑い合う二人。

 だが、美来がバスラス事件の裏側に捉えた人の悪意は、想像し得ない場所から、この町を蝕み始めていたのである。


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