いちのいち【アインという盗賊】~食い逃げ~
彼女らは盗賊であって、盗賊らしくない。
盗賊でありながら街を守り、悪の存在でありながら悪を滅する。
目には目を、歯には歯を、悪には悪を。
そんな少し変わった彼らのいつものお話。
「待ちやがれーーっ!この食い逃げ常習犯どもっ!」
とある王国のとある街。
木造やレンガの家が建ち並ぶ平和な街。
左手にフライパン、右手にお玉を持ったこの街でも特に人気な酒場の亭主が、大通りを猛スピードでダッシュしている。
追いかけられているのは男女三人組の、見るからに盗賊っぽい格好をした集団。
「おーおー、おかんむりだなぁー」
「呑気なこと言ってる場合かっ!つかそのスピードで走って平気とか…あ、姉御いったい…はぁ…どんな身体…はぁ、のうりょ」
「あーわかったわかった、もう喋らんでいいからちゃんと呼吸しろ。」
先頭を走っている赤髪の女は、かなりのスピードで走っているが、全く呼吸を乱していない。
対してその半歩後ろを追っていた茶髪の若い男は、何とかついて行っているが、かなり疲弊している。
「もぉールイにぃひんじゃくぅー。」
「うっ…うっせぇ…はぁ…」
そんな男に辛辣な言葉を投げかけるのは、真っ白な髪のまだ幼い少女。ちなみにこの子も赤髪の女同様、ケロッとした表情で走っている。
そんな三人を追いかける酒場の亭主は叫ぶ。
「いい加減貯まったツケ払ってけ!!盗賊共っ!」
そう、ダッシュで逃げている三人組は紛れもない盗賊。
だが、街の人々は恐るどころか気にもとめずに
"またやってるよ笑"といった表情を浮かべている。
鬼ごっこを続ける集団が通り過ぎた店先に、バケツを片手に提げて出てきた花屋の娘は、のんびりと言った。
「あぁ、今日も平和ね!」
というわけで始まりました初投稿です。
ギャグとかコメディとか言っといて、このあと割とシリアスですごめんなさい。
とにかくかっこいい女主人公の話が読みたい!
書こう!と単純思考でやってきました。
楽しんで頂ければ幸いです!
では。