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第59話 三回倒れるか吐血すると、三國志(演技)では死亡するらしいです

「ごめん、詠唱ミスった」


 コイツは本当に……!

 せっかくファンタジーらしい戦闘シーンだったのに、なんでドジするんだ!


「ちょっ、ミカミが何か咳き込んでる!」


「ほっとけ! それよりもドラゴンだ!」


 ほっとけじゃねぇ! パリス、後で覚えてろ。


 ドラゴンは、エリトリナの火炎弾がパリスの付けた斬り傷に当たり、悶えている。


 効いているが、それやると傷口が塞がって……


「ガガガ……グォォォォォォォ!」


 しばらく悶絶していたが、しばらくして痛みが収まったのかドラゴンが立ちあがり、咆哮を轟かせる。


「まだ立つのか、エリトリナはもう一発やってくれ。ブライバスはちゃんと詠唱してくれ」


「さっきのはたまたまだから! 次はちゃんとできるからぁ!」


 だったらヘマしないでくれ。


 ブライバス達がヘマしている間に、やっと息が整ってきた。

 少しフラつくが、ゆっくりと立ち上がる。


「ミカミ、大丈夫なの?」


 草の影から声がする。


「ネウレア、なんで隠れてるんだよ」


「だって怖いもん」


 超無責任。

 いざという時に全く頼りにならないの、なぜなんだ。


「ごめん」


 あ、傷ついた。


「ぐぅ!」


 そして、空気を読まないパリスが俺達との間に飛んで来る(物理)。


「パリス、お前なんで来たんだ」


「ゴホ、ゴホ。吹き飛ばされたんだ、仕方ないだろ」


 腕利きのパリス達といえど、やはりドラゴンは手こずるようだ。

 ネウレアのせいで、少し舐めていた。


「おい、これは不味いぞ……」


 ブライバスが震えた声で言った。

 ドラゴンの口から炎が漏れている。


 炎のブレスで、焼き払おうとでもいうのか。


「エリトリナ!」


「わかってるって!」


 熱気がこちらまで伝わって来る。

 心もとないが、俺の小さな盾で……


 だが、ある意味その必要は無かった。


「キシシシシ」


 聞き覚えのある声が聞こえ、ドラゴンが倒れる。


「な、何が起きたんだ!?」


「キシシシシ。こんなのも倒せないなんて、弱くなったんだぁね」


 コイツ、例の!

 温泉街の時と同じく、腕に氷の刃を生やしている。


「あれ? まだ生きてたんだぁ」


「ミカミ、これが例の金髪か?」


「あぁ、こんな所で会うなんて……」


 まさか、観光地からずっと付けられていたのか。

 片道でさえ何日もかかる道のり、追跡ってレベルじゃない。


「ミカミ、下がって」


 ネウレアが、俺の前に出た。


「ネウレア、アイツの狙いは明らかにお前だ! 何で出てきた!」


「だって……嫌なんだもん」


 それだけ言って、ネウレアは包丁を持ち飛び出して行った。


「キシシシシ、すっかり腑抜けたんだねぇ」


「乗るなネウレア! 戻れ!」


「わかってる、でも」


 骸になったドラゴンの上で、金髪に襲いかかった。


「パリス、ブライバス。俺達も」


「ミカミはいい、この間やられたばかりでしょ!」


 その通りだ、でも。

 ネウレアにやらせてはいけない。

 ネウレアは死なない、俺がやらない限り。


 だけどあの時、俺は言ったんだ。


『「俺が、ネウレアも世界も守ります」


「それが答えなんだね」


「はい」』


 思考はいらない。

 誓ったのならば、通す。


 すっかり手に馴染んだ剣と盾。

 それを氷の金髪野郎に、一撃を叩き込む。


「み、ミカミ!?」


「うぉぉぉぉぉ!」


 氷の刃と俺の剣が交わる。


 今まで、ネウレアやパリスやエリトリナに頼りきろうとしていた部分があった。さっきもそうだった。


 でも今は、譲ってはいけない気がする!


 金髪の氷と、剣にヒビが入る。

 ビキビキと音を立て、同時に真ん中から折れた。


「ミカミ!」


「借りるぞネウレア!」


 至近距離のまま、何も持たない相手。

 ネウレアが持っていた包丁を取り、真っ直ぐ突く。


 愚直に突き出した包丁は、金髪野郎の胸に刺さった。


 包丁の柄を氷を生やしていなかった方の手で持ちながら、後ろに何歩か後退する。


「ぐぅ、ゲホォ」


 吐血する敵。

 俺の手で、やってやった!


「ネウレア、急に借りて悪い。すぐに返す」


 包丁を掴み、一思いに引き抜いた。


「ミカミ、お前たまにはやるじゃないか!」


 なぜか上から目線のパリス。

 恨みは果たした、俺としては悔いは無い。


 ドラゴンの死骸から降りる。


「当たり前だ、あの時は何も無かったし」


 それに、ブライバス達の襲撃で俺も経験を積んだ。

 丸腰でなければこのくらい!


「ネウレアー降りて来いよ! 街に帰るぞ!」


「う、うん!」


 少し動揺した様子のネウレア。

 だがこの後、報告とかいろいろしなければならない。

 早く帰って、さっさと休もう。


「ギジジジジ、やってくれるじゃん……」


 と、ドラゴンの上をフラフラと立ち上がる何か。


「ネ゛ウ゛レ゛ア゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」


 突然、ドラゴンの上から氷柱が生え始め、地面にも広がる。


 こんどは、金髪の背中から腕や足にかけて氷の刃が続々と生えてきた。


「アイツ、まだ息が!」


「ぜんぶぜんぶぜんぶ、消してやるぅぅぅぅぅぅ!」


 地面から氷の刃が現れ、ネウレアを貫いた。


「ネウレア!」


 更に、ネウレアの周囲から同様に氷刀が現れて串刺しにする。

 ネウレアが気を失う。

 金髪は氷を地面に引っ込ませ、ネウレアを肩に掛けた。


「ハァ、ハァ。今から世界を滅ぼすからぁぁ」


 金髪はそれだけ言い残し、どこかに飛びさってしまった。

次回もよろしく!

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