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第57話 人間は繰り返す。流行も話題も、どうせまたやるんだからタピ○カブームはいつか来る。まだタピ○カ飲んだこと無いけどきっと来る

 窓から溢れる朝日で目が覚める。

 いつものように、階段を降りてリビングへ


 入ると、またもやアメスがネウレアに刺されていた。


「あっ、ミカミおはよう」


 と、返り血のついた笑顔でこちらを振り返る。



 このくだりにも、もう慣れてしまった。

 もはやルーティーンだな。


 ネウレアをアメスから引き剥がし、アメスを追い出すしたら、パリスとエリトリナが起きて来た。


「もう起きていたのか、ミカミ。永遠に起きなくてもよかったのだぞ?」


「地味に永眠させようとするな。お前は土にでも還ってろよ」


「お前も同じこと言ってるではないかぁ!」


「こらこら。ミカミとパリス、朝からケンカは止めなよ」


 と、パリスがエリトリナに杖でどつかれる。

 パリスが杖の当たったところを痛そうに押さえていると、1日の始まりを告げる街の鐘が鳴った。


「さて、朝ご飯作るから。パリスとミカミは遊んでて」


 俺達はやっぱりそういう扱いなのかよ。


 ◇


 腹ごしらえを済ませ、家を出る。

 朝っぱらから向かった先はギルド。


 街の冒険者達は、魔族襲来の時に入った臨時収入のおかげで、のんびりできている。

 しかし俺達は、旅行での出費がかさんだせいで、それほど余裕が無いのである。


 ギルドに入ると、案の定冒険者の姿はまばらで、例の受付も暇そうにしていた。


「ミカミさん達ではないですか、おはようございます。朝っぱらから殺戮ですか?」


 間違ってないけど聞こえが悪い。

 あと、自分もそれの関係者だからな。


「依頼なら、そこにたくさん溜まってますよ。金が入った途端、この街の輩は意欲無くすんですよね」


 と、あくびをしながら言った。


 意欲が無いのはお前もだろ。


 だが、少し見なかっただけなのに、依頼の量が倍増している。

 ここまで増えているのは正直、想定外だ。


「ミカミ、今日はさっさと終わらせられるやつにしよう。街の外は危ない気がする」


 パリスの意見に賛同するのは心外だが、激しく同意する。


 放置された依頼が多いということは、それだけ外に危険な生き物がいるということである。


 というか、俺達は家をそう長く空けていなかった。

 それに、依頼内容を見ると最近ギルドに出されたの依頼が多い。


 これは魔族の襲来した影響なのか?


「なぁエリトリナ。魔族が来ると、その付近にいろいろと集まってきたりするのか?」


「うぅん。むしろ、自分より上位な存在が来たりすると、生き物は怖がって逃げたり隠れたりするんだけどね」


 魔族が来たのは、街の正門の正面からだ。

 けれども、掲示板にある街の正面方向からの依頼は、他の方角と比べても少なくない。


「それじゃあこれ、お願いします」


「ミカミ~何ボーッとしてるの? 早く行くよ!」


 依頼の紙で真っ白になった掲示板を眺めながら考えていたら、ネウレア達が勝手に依頼を受注していたようだ。


「行くって、何を受けたんだよ」


 すると、ネウレアが俺の袖を引っ張る。


「ミカミも知ってるやつ」


 とてつもなく抽象的で形の捉えられない表現なんだけど。


「いいから行くぞ。ネウレアも、今すぐ行きたいみたいだし」


 ブライバスがギルドの扉を開けつつ、俺を待っている。


「居たのか、ブライバス」


「ミカミ。だんだん私の影が薄くなってきているの、なんで?」


「…………」


 俺に言われても。


 ◇


 ギルドから街の門を出ると、ネウレアは真っ直ぐ駆けて行く。


「おい、ネウレアはやる気マンマンだけど、一体何を受けたんだ?良い予感が全くしないのだが」


 腕を組みながら歩くパリスは、


「ネウレアが選んだのだが、見ていなかったのか?」


「全然。何も言わずに受付へ持って行っただろ」


 すると、歩きながら飲んでいた水をバッグに戻したエリトリナは、申し訳なさそうに


「ごめんね。ネウレアちゃん、張り切っていたから」


「張り切っていたからって、ネウレアのことだからとんでもないのを受注したりしてないよな」


「うーん、ネウレアちゃんは『ミカミと会ったばかりの時に倒したことあるから大丈夫』なんて言ってたけど」


 悪い予感が当たりそうだ。

 転移生活の序盤は特に、ろくなことが無かった。


 会ったばかりの時に受けた依頼も、なかなか危なかった記憶がある。


「本当に大丈夫なのか……? ネウレアと会ったばかりの時といえば、命の危険しか感じなかったけど」


 すると、一番前を歩いていたネウレアが止まった。


「いた」


 ネウレアが指差す方には、あの懐かしいドラゴン先輩がイビキをかきながらご就寝されていた。


「やっぱり大丈夫じゃねぇ! これ、ドラゴンじゃねぇかぁ!」


「ミカミ、静かに……!」


 慌てたパリスに口を押さえられる。

 出会ったばかりというか、初めて行ったやつだこれ。


 ネウレアは草むらに隠れながら口の前に人差し指を立て、隠れるようにジェスチャーした。


「寝ている内に、静かに近づくよ」


 ネウレアは、率先してドラゴンへ慎重に近づいていく。

 初めての時は、ドラゴンへ突っ込んで行ったのに……


「ネウレア……成長したんだな……!」


「ミカミ、なんで泣いてるの……」

次回もよろしく!

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