第54話 序盤にあったことをしっかり覚えている人、挙手
「ご主人様? お前、まさかMだったの?」
「もしMだったら『女王様』でしょ。いや、そうじゃなくて」
ご主人様も女王様も、意味としては大した差が無いと思うが。
アメスはあーもう、と頭を抱えている。
「ミカミ、とりあえず来てくれ。長くはならない」
「長くはならないって言われも、謎の変態人形に言われて行く気になんてならないだろ」
「あ゛ー、ここで普段の行いがぁ!」
自覚あるのか。
アメスは、説得することが億劫になったのか、俺の腕を引き、強引に連れ去る。
「ネウレア! ミカミ借りてくよ!」
「アメス、ちゃんと返してよね」
「俺は物扱いかよ! てか、さらわれる~!」
◇
アメスに連れて行かれたのは、人気の無い住宅街の外れ。
通った道の途中には、所々に補修のされていない建物もあった。
道は鋪装すらされておらず、荒れた地面が剥き出しになっており、ちらほらと雑草が生えている。
「おいアメス、こんなところに誰が来るんだ? 人の気配なんて全くしないし、まさか俺を一人にして、何かヘンなコトをする気なんじゃあないのか?」
「違う。……あまり人前では話せないことだからね」
コイツ、普段は三枚目キャラのはずなのに。
「おっと、到着されたようだ」
俺達が来た荒れ道から、遅れてやって来たのは、
大きな魔法石のようなものが埋め込まれた杖を持つ、放浪者のような茶色のフードを着た青年。
年は大体俺と同じくらいかな。
アメスが『ご主人様』と言っていたのと、この風貌から、アメスを作ったのもこの人だろう。
「やぁ三上くん、初めまして。待ちくたびれたよ」
ご主人様とやらがフードを取る。
「えっと、初めまして。アメスに言われて来たんだけど、この俺が何か」
「キミだけではないよ。アメス、邪魔だから下がっていて」
アメスは主人の青年の後ろに下がる。
そして、青年は杖を天高く掲げる。
すると、雲に穴が空いて地面に魔方陣が描かれる。
そのまま、魔方陣が白い光を放ち、やがて消える――と、そこにはあの神を自称する白髪の爺がいた。
「おぉ三上くん。久しぶりだね」
「三上くんはもう会ってると思うけど、こちらの方は全知全能の神、ゼッウスゥ様ね」
おいゼッウスゥ。
物語の最初からいるのに、第54話にして初めて名前が出たぞ。
「これはこれは、嫌なことを。まぁでも、三上くん。会えて嬉しいよ」
俺は嬉しくない。
微妙な再開ムード。
アメスの主人が、パン! と手を叩く。
「さて。全員揃ったことだし、始めようか」
「始まるって何をだよ。状況が飲み込めないのだけど」
「そうだね。内容だけ先に言うと、この世界を救うためのことについて、だね」
へ? それは確か、ここに転移させられ時、ゼッウスゥに頼まれたことだが、ネウレアでラスボス倒せば良いのではなかったのか?
「この世界を救うって、ぶっちゃけ魔王的なラスボス倒せば良いんじゃないの? ほら、ゼッウスゥが俺を送る時に、世界最強であるネウレアの世話をしろ的なこと言ってたし」
「待て三上くん。わしはそんなこと言ってたか?」
へ?? いや、保護者になれ! 的なこと言ってただろ。
「ゼッウスゥの悪い癖だよね。言葉足らずってやつ?」
「え、世話すれば勝手にネウレアが勝手に世界救ってくれるとばかり……」
「わしは確か
『君に頼みたいのは、異世界の魔王倒せとか、そんなんじゃないのだ。その惑星を救うかもしれない第一級特異点の世話を頼みたいのだ』
と言ったじゃろ?」
第1話からの引用か。
あぁ、そういえばそんな言い回しだったな。
「わしはそもそも、魔王がいるとも言って無いし、誰かを倒せばこの世界を救えるとも言っておらん。てか、ネウレアで魔王倒すのが目的だと、まるでドラ○エのジョー○ーシリーズみたいではないか」
わしの作った世界が、そんなに単純でたまるか。
いや、ジョーカ○シリーズはそこまで単細胞なストーリーではなかった気がするぞ。2しかやってないけど。
「ゼッウスゥ、テリワ○とイ○ルカを忘れてるよ」
ジョ○カーシリーズ以外のモンスターズ系列作品はどうでも良い!
そして、作者がDS・3DS世代ということが読者にバレる!
「話が逸れてしまったな。わしが三上くんにネウレアの世話を頼んだのは、紛れもなく彼女が世界の命運を握っているということだ」
「俺に任せた理由は、結構酷いけどな」
「それは仕方なかったのだ。しかし、実感は無くとも、役には立っているのだよ」
本当にか?
自分としては早急に、モテない設定を改善して欲しいのだが。
「ゼッウスゥ、あまり時間があるわけじゃないから。この世界を救うために、君には未来のことを伝えなくてはならない。そのためにボクは来たのだからね」
青年は、杖を掲げて丸い画面を作り、そこに映像を映す。
そこには、無残に破壊された建物や火事で燃える森の映像が。
「これは、どれくらい後の未来かは言えないことなんだけど」
映像が切り替わる。
そこには、人の屍が積み重なっている上に、屍より一回り小さな、普段から見慣れたアイツが、立っていた。
「将来、ネウレアは世界を滅ぼすんだ」
次回もよろしく!




