第5話 痛々しい自己紹介は見ているほうも地味に恥ずかしい
お久しぶりです。
数日間インフルで活動を休止していました。
申し訳ありません。
顔は一言で言えば美人だが、気性の荒そうな顔立ちだ。
背中に身長程の長さをした大太刀を背負った女性は俺を呼び寄せた後、こちらを睨み付け、
「お前、ネウレアを利用して金儲けでも企んでいるんじゃねえだろうな?」
とんだとばっちりだ。こちらは勝手に送られ仕事を押し付けられただけだというのに。
「アァ!? そんな訳無ぇだろうが!」
当然、この喧嘩は買う。
女は一瞬驚いたが、眉を吊り上げで続ける。
「だったらなぜネウレアに近づく! 特に男はご法度であることを知らないのか?!」
「あぁ知らないねぇ! お前こそ何だ、人を上から目線で呼びつけやがって、何様のつもりだ!」
「私を知らぬだと? ならばその目に焼き付けるがいい! 我が名はパリス、流剣のパリスだ!」
ご丁寧な自己紹介。
こんなヤツだが、ギルドの雰囲気から感じるに、そこそこの名はあるようだ。
すると、ギルド内の視線に耐えきれなくなったのか、一緒にいたローブの魔道士が杖を持ち、俺とパリスの間に割り込んで、
「パリス、恥ずかしいからやめて。新人を見るたびに何回難癖つけたりするの」
「エリトリナ、コイツはネウレアを……」
「別に誰が誰と組んだっていいでしょ。八つ当たりなんてしないでよ、みっともない」
パリスはエリトリナには頭が上がらないようで、不満そうな顔をしたまま、逃げるようにどこかへ行ってしまった。
ふぅ、助かったな。暑さを感じてパーカーを脱ぎ、近くの席にかける。
ギルドを後にするパリスを見た後、エリトリナは申し訳無さそうに、
「ごめんなさい。パリスは昔からあんな性格で……本当は優しくて少し天然な所があるのですが、ギルドではあんな感じなんです」
「いえいえ、こちらこそつい感情的になってしまいましたので、お互い様です」
「お許し頂きありがとうございます。それはそうと、パリスが聞こうとしていたことですが、なぜあなたはネウレアと一緒にいるのですか?」
やっぱり聞かれた。聞かれるとは思っていたが、いざ聞かれると困る質問だ。
「まぁ、訳あって行動を共にすることになりました」
「そうですか、理由は言えないのですね。その、アドバイスと言っては何ですが、ネウレアを信仰の対象にする変な人々もいるのでお気をつけください。特に、そのようなあまり目立つような格好をするのは……」
と、俺の腹辺りを指差す。
死んだり転生したりヤンデレ見たりで気付かなかったが、俺がパーカーの下に着ていたのは、変なキャラクターの描かれたTシャツだった。
ヤダァ、メチャクチャ恥ずかしいんですけどぉ!
次回もよろしく!




