第46話 修学旅行とかの自由行動時間は普段の人間関係が出すぎる
「わぁぁぁぁ!」
ブライバスが独りで歓声を上げる。
火山をいったん諦め、商店街の方に来た。
あちこちに屋台があり、ここならではのグルメを楽しむことができるそう。
……宿にもあるらしいのでいまいち興ざめだが、宿の中より、このような場所で食べる方が雰囲気としては良いだろう。
「エリトリナ、これ食べないか?」
「ガイドブックにも載ってたやつだね。うん、そうしよっか。すいませ~ん、2つくださーい!」
パリスとエリトリナが、入り口辺りにあった屋台で、何かの串焼きを買っている。
最近は別行動や全員で一緒にいることが多かったから忘れてはいたが、パソコンとエリトリナは常に二人行動するタイプの女子だったな。
どうでも良いけど。
「えっと、これ3つお願い」
「ほぉ、姉さん友達の分もかい? 優しいねぇ」
ブライバスは、少し先の屋台でアイス×3を注文。
もちろん、3つとも自分用だろう。
夜とかに、腹を壊さないか心配だな。
「ミカミ」
呼ばれた方向へ向くと、ネウレアが俺の袖を引っ張り、商店街の奥を指差している。
「こっちに行きたいのか?」
無言で頷く。
ネウレアも一人で別行動するかと思ってたが、意外だな。
「だって、ミカミが注文した方が良いでしょ」
そうか、ネウレアだと屋台のおっちゃん刺すかもしれないからな。
わかってるなら最初から止めればいいけど、本人はそれができないのかも知れない。
「わかった、じゃあ行こうか」
袖を引かれたまま、前に進む。
と、一歩あるいた所でネウレアが立ち止まる。
「ミカミ、これ買って」
「……」
あのなぁ、そばにあるなら、その場で言ってくれよ。
◇
「もう食べられないよぉ」
ブライバスが、宿のエントランスにあるソファーに横になっている。
腹下す展開じゃないのが、とても不思議。
一方のエリトリナは、一人で土産物を見ている。
そしてパリスとネウレアは、たぶん部屋で寝ているのだろう。
宿に帰ってから、姿を見ていないからな。
明日までの水と街でお世話になっている人へのお土産を買って、さっさと部屋に戻るか。
「エリトリナ、ブライバス、先に部屋戻ってるから」
「了解。じゃあ後でね」
「ミカミ……お腹いっぱいで動けないから、連れてって……」
「断る」
紙袋を持って廊下へ行こうとしたら、宿の職員とすれ違った。事件でもあったのだろうか、とても慌てている。
火山でも事故か何かで入られなかったが、トラブルが多発しているのだろうか?
フラグが立ったからには、気を付けよう。
「あ、ミカミ」
顔を廊下に戻すと、ネウレアがいた。
なんだ、寝ていると思ってた。
「どうした? 水は買ったけど」
「トイレ」
部屋に無かったな。
◇
「それじゃあおやすみ」
ネウレア達の部屋を出る。
帰ってきてから気付いたが、俺は男だし女性陣と寝るのはいろいろアレなので、部屋を別で取った。
まぁ、それのせいで懐が寒くなってしまったけど。
最低限のマナーと、R指定にならないためにはしょうがないことだ。
読者サービスはまた今度、期待して欲しい。
部屋に戻り灯りを付けると、窓の外にあるはずの庭は暗くなって見えない。
代わりに、窓から見上げると満月が出ていた。
水を冷蔵庫(ここの世界のはどのような仕組みなのだろうか?)に入れ、ベッドに潜り込む。
明日も観光だ、早く寝て体力を温存しよう。
さっき灯したばかりの明かりを消そうとした時だった。
隣の部屋の扉が開く音がする。
そこはネウレア達が泊まっている部屋なのだが、もう寝るような雰囲気をしていた。
普通に考えれば、さっきのネウレアみたいにトイレ行くのだろうが、そんな気がしてこない。
我ながらおかしいと思うが、そっと自分の部屋ドアを開ける。
廊下に出ると、そこには一人の小さな影。ネウレアだ。
出口の方へ抜き足、差し足、忍び足で向かっている。
どこに行くつもりなのだろう、腹を下したのはブライバスではなくてネウレアだったのか?
なんてどうでも良いことを思ったが、馬車での話のように、外に出るかも知れない。
気付かれないように追いかけるか。
次回もよろしく!




